リスク要因を洗い出してリスク管理!
プロジェクト管理とはリスク管理とイコールだ!と言っても過言ではありません。
すべてのリスクを回避すれば、プロジェクトは
期限通りに、
要件通りに、
お客様も満足して、
幸せに、
終わるはずなのです。
ITプロジェクトのリスク予防への実践的アプローチ
IPAが、そんな幸せへの最短ルートと言うべきドキュメントを出しています。それが、
です。
長いですが、一読の価値はあるというか、百読の価値あるドキュメントです。
プロジェクトの最初に、プロジェクトの途中で、プロジェクトが終わってから、それぞれ違う読み方が出来ると思います。
ただ、長いので、簡潔なチェックリストにしてみました。
これをチェックするだけでも、割といい線でリスクの洗い出しが出来るはずです。
リスクが見つかったら、対応方法を考えなければいけません。基本的にはチェックに引っかからないようにすればいいのですが、どうするのがベターなのかはPDFを見たほうがいいです。
PDFのページ番号と、項目を対応付けておくので、リスクを見つけたらサッと対応策を見つけて下さい!
一番大事なことは、プロジェクトの成功のためにはベンダの努力だけではダメで、ユーザにも協力をしてもらわなければいけないということです。「こういう協力をしてもらいましょう」という対応策がほとんどなので、ユーザを頑張って説得しましょう。お互いの幸せのために!
リスク要因チェックリスト
主プロセス
1. システム化の目的が明確でない (P.16)
- システム化の目的は文書化されているか?
- システム化の目的が複数あれば、優先度はついているか?
- システム化の目的は誰が責任をもって決めているか?上位層も見ているか?
- 仕様が膨らんだ場合は、誰がどんな基準で対応を判断するか?
2. 現行機能の調査・確認が不足している (P.19)
- 業務知識のある人がプロジェクト内にいるか?ユーザ側?ベンダ側?
- 現行システムの要件定義をやったメンバーはいる?
- 現行システムのドキュメントは最新化されている?
- 「現行どおり」という記載があるか?あればそれは危険箇所。
3. 現行システムとそのドキュメントが整合していない (P.22)
- ドキュメントは存在するか?何が存在するか?
- ドキュメントの網羅性は?最新性は?
- 作成者は在籍するか?質問は出来るか?回答の精度と速度は?
- いっそスクラップ&ビルドという手は取れる?
4. パッケージ選定に関する検討が充分でない (P.25)
- 選定の前提条件は明文化されているか?
- 検討・レビューは十分か?
- 必要な機能要件・非機能要件は満たしているか?Fit&Gap分析の時間は取ってあるか?
5. 性能の検討が充分でない (P.28)
- 性能目標を明文化しているか?
- 性能見積もりの前提データは十分あるか?正確か?妥当なものか?
6. 可用性の検討が充分でない (P.30)
- 稼働率目標は明文化されているか?
- 稼働率見積もりの前提データは十分あるか?正確か?妥当なものか?
- 可用性検証作業(復旧テスト等)は計画に入っているか?
7. 運用要件の検討が充分でない (P.32)
- 運用関連の手順書の作成計画はあるか?
- 運用手順書の作成メンバーはシステムを理解しているか?
- 障害発生時の代替・回復方法は手順書に入っているか?
8. 運用に向けての制約条件が明確でない (P.34)
- 非機能要件は具体化されているか?
- 運用体制は明確か?
- バックアップ等の作業を想定してスケジュールが作られているか?
- 運用担当者のウォークスルーはあるか?シナリオはあるか?
9. 要件を獲得すべきステークホルダーが網羅されていない (P.37)
- ステークホルダーのリストはあるか?職位は?知識レベルは?その人の信頼感は?
- 合意の形成方法は明確か?
- キーマンは誰か?
- 経営層は?コンプラ担当は?開発責任者は?運用責任者は?社外の人も使う?
10. システム部門による要件取りまとめが充分でない (P.40)
- 要件の引き出しプロセスは明確か?
- システム部門は決定権を持っているか?
- システム部門の業務知識は十分か?
支援・管理プロセス
11. ドキュメントの更新が管理されていない (P.42)
- 変更管理はされているか?
- 要件やソースの変更時に、関係するドキュメントを修正しているか?
- ドキュメント管理の工数は考慮されているか?
12. 仕様の変更管理ができていない (P.44)
- 仕様変更は一覧化されているか?
- 仕様変更は誰が承認するか?承認の記録は残るか?
- 仕様変更の内容確認は十分か?影響範囲は?規模は?
- 工数の変更が見えているか?
13. ユーザーによる仕様の確認が充分でない (P.47)
- 要件定義確認、ドキュメントレビューなどをやってくれているか?
- 業務視点のウォークスルーは予定されているか?テストシナリオは適切?
- UIなどはプロトタイプで確認してもらっているか?
14. 要求の優先度が曖昧になっている (P.50)
- 要求の優先度は明確か?
- 要求の依存関係は明確か?
- 要求の優先度はユーザーの基準でつけられているか?
15. 業務要件の網羅性が検証できていない (P.52)
- 現物の帳票などとの比較はしているか?
- 業務システムを理解している有識者はいるか?QA出来るか?
- Fit&Gapなどやっているか?
16. 設計と実業務の整合性が検証できていない (P.55)
- エンドユーザがUIを見ているか?
- 外部システムのI/Fは明確?サブシステム間のI/Fは明確?
- データベースの制限や入力値の制限は明確?境界値は?
- 適切なレビュアーはいる?
組織的プロセス
17. 経営層によるプロジェクト運営の関与が充分でない (P.58)
- プロジェクトは経営層に承認をとっているか?
- 優先度に経営的視点は入っているか?
18. 経営層によるスコープ決定への関与が充分でない (P.61)
- プロジェクトの目標に対して責任者は決まっているか
- 要件の変更時に、影響度によってエスカレーションするルールは決まっているか?
19. 経営層がパッケージ導入の意図・目的を明示していない (P.64)
- パッケージの採用方針は公式文書で残されているか?
- カスタマイズとスクラッチで費用・期間の比較は実施しているか?
20. ステークホルダー間の力関係がアンバランスである (P.66)
- 要件定義を分離受注出来るか?
- プロジェクトにとっての優先度が正しく評価されているか?
- 声が大きい人や立場が強い人が不合理な決定をしていないか?止める仕組みがあるか?
21. 高次の調整・決定機関が機能していない (P.68)
- プロジェクトの意思決定機関(ステアリング・コミッティ(=ステコミ))はあるか?
- ステコミに決定権限があるか?開催頻度は十分か?議事録はあるか?
- ステコミの参加者は各ステークホルダーの利益を網羅しているか?
- 決定事項がちゃんと共有されているか?ひっくり返されないか?
22. 十分なコミュニケーションが取れていない (P.71)
- 長く放置されている課題はないか?
- コミュニケーションはBacklogなどのツールで行われているか?
- 定例会は行われているか?
- 随時の連絡先、緊急時の連絡先は交換できているか?
23. 業務用語が共有されていない (P.73)
- 業務用語辞書は作成されているか?
- DB項目説明書はあるか?
- 謎の略語等が出てきたりしないか?逆に、システム用語は伝わっているか?
24. 業務知識が不足している (P.75)
- ユーザ側のキーマンは出てきているか?話は聞けるか?
- 関連業務は明確か?
- 関連法規・外的制約は明確か?
- 業務分析は時間を取って行ったか?
カバーされていない範囲
進捗が遅れるとか、見積もりを誤ったとか、そういうリスクに対する対応はココには入っていません。
しかし、このリストに対応をすれば、そういった事象が発生しにくくなることは間違いありません。
ちゃんとこういう工数考えてる!? と言ってくれているリストに、ちゃんと対応すれば、基本的に工数が足りなくなることは無いはずです。
リスクをコントロールして幸せなプロジェクトマネジメントを!