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チェックリストでリスクを見つけてプロジェクトを幸せにしよう

Last updated at Posted at 2014-12-10

リスク要因を洗い出してリスク管理!

プロジェクト管理とはリスク管理とイコールだ!と言っても過言ではありません。
すべてのリスクを回避すれば、プロジェクトは

期限通りに、

要件通りに、

お客様も満足して、

幸せに、

終わるはずなのです。

ITプロジェクトのリスク予防への実践的アプローチ

IPAが、そんな幸せへの最短ルートと言うべきドキュメントを出しています。それが、

ITプロジェクトのリスク予防への実践的アプローチ(PDF)

です。

長いですが、一読の価値はあるというか、百読の価値あるドキュメントです。
プロジェクトの最初に、プロジェクトの途中で、プロジェクトが終わってから、それぞれ違う読み方が出来ると思います。

ただ、長いので、簡潔なチェックリストにしてみました。
これをチェックするだけでも、割といい線でリスクの洗い出しが出来るはずです。

リスクが見つかったら、対応方法を考えなければいけません。基本的にはチェックに引っかからないようにすればいいのですが、どうするのがベターなのかはPDFを見たほうがいいです。

PDFのページ番号と、項目を対応付けておくので、リスクを見つけたらサッと対応策を見つけて下さい!

一番大事なことは、プロジェクトの成功のためにはベンダの努力だけではダメで、ユーザにも協力をしてもらわなければいけないということです。「こういう協力をしてもらいましょう」という対応策がほとんどなので、ユーザを頑張って説得しましょう。お互いの幸せのために!

リスク要因チェックリスト

主プロセス

1. システム化の目的が明確でない (P.16)

  • システム化の目的は文書化されているか?
  • システム化の目的が複数あれば、優先度はついているか?
  • システム化の目的は誰が責任をもって決めているか?上位層も見ているか?
  • 仕様が膨らんだ場合は、誰がどんな基準で対応を判断するか?

2. 現行機能の調査・確認が不足している (P.19)

  • 業務知識のある人がプロジェクト内にいるか?ユーザ側?ベンダ側?
  • 現行システムの要件定義をやったメンバーはいる?
  • 現行システムのドキュメントは最新化されている?
  • 「現行どおり」という記載があるか?あればそれは危険箇所。

3. 現行システムとそのドキュメントが整合していない (P.22)

  • ドキュメントは存在するか?何が存在するか?
  • ドキュメントの網羅性は?最新性は?
  • 作成者は在籍するか?質問は出来るか?回答の精度と速度は?
  • いっそスクラップ&ビルドという手は取れる?

4. パッケージ選定に関する検討が充分でない (P.25)

  • 選定の前提条件は明文化されているか?
  • 検討・レビューは十分か?
  • 必要な機能要件・非機能要件は満たしているか?Fit&Gap分析の時間は取ってあるか?

5. 性能の検討が充分でない (P.28)

  • 性能目標を明文化しているか?
  • 性能見積もりの前提データは十分あるか?正確か?妥当なものか?

6. 可用性の検討が充分でない (P.30)

  • 稼働率目標は明文化されているか?
  • 稼働率見積もりの前提データは十分あるか?正確か?妥当なものか?
  • 可用性検証作業(復旧テスト等)は計画に入っているか?

7. 運用要件の検討が充分でない (P.32)

  • 運用関連の手順書の作成計画はあるか?
  • 運用手順書の作成メンバーはシステムを理解しているか?
  • 障害発生時の代替・回復方法は手順書に入っているか?

8. 運用に向けての制約条件が明確でない (P.34)

  • 非機能要件は具体化されているか?
  • 運用体制は明確か?
  • バックアップ等の作業を想定してスケジュールが作られているか?
  • 運用担当者のウォークスルーはあるか?シナリオはあるか?

9. 要件を獲得すべきステークホルダーが網羅されていない (P.37)

  • ステークホルダーのリストはあるか?職位は?知識レベルは?その人の信頼感は?
  • 合意の形成方法は明確か?
  • キーマンは誰か?
  • 経営層は?コンプラ担当は?開発責任者は?運用責任者は?社外の人も使う?

10. システム部門による要件取りまとめが充分でない (P.40)

  • 要件の引き出しプロセスは明確か?
  • システム部門は決定権を持っているか?
  • システム部門の業務知識は十分か?

支援・管理プロセス

11. ドキュメントの更新が管理されていない (P.42)

  • 変更管理はされているか?
  • 要件やソースの変更時に、関係するドキュメントを修正しているか?
  • ドキュメント管理の工数は考慮されているか?

12. 仕様の変更管理ができていない (P.44)

  • 仕様変更は一覧化されているか?
  • 仕様変更は誰が承認するか?承認の記録は残るか?
  • 仕様変更の内容確認は十分か?影響範囲は?規模は?
  • 工数の変更が見えているか?

13. ユーザーによる仕様の確認が充分でない (P.47)

  • 要件定義確認、ドキュメントレビューなどをやってくれているか?
  • 業務視点のウォークスルーは予定されているか?テストシナリオは適切?
  • UIなどはプロトタイプで確認してもらっているか?

14. 要求の優先度が曖昧になっている (P.50)

  • 要求の優先度は明確か?
  • 要求の依存関係は明確か?
  • 要求の優先度はユーザーの基準でつけられているか?

15. 業務要件の網羅性が検証できていない (P.52)

  • 現物の帳票などとの比較はしているか?
  • 業務システムを理解している有識者はいるか?QA出来るか?
  • Fit&Gapなどやっているか?

16. 設計と実業務の整合性が検証できていない (P.55)

  • エンドユーザがUIを見ているか?
  • 外部システムのI/Fは明確?サブシステム間のI/Fは明確?
  • データベースの制限や入力値の制限は明確?境界値は?
  • 適切なレビュアーはいる?

組織的プロセス

17. 経営層によるプロジェクト運営の関与が充分でない (P.58)

  • プロジェクトは経営層に承認をとっているか?
  • 優先度に経営的視点は入っているか?

18. 経営層によるスコープ決定への関与が充分でない (P.61)

  • プロジェクトの目標に対して責任者は決まっているか
  • 要件の変更時に、影響度によってエスカレーションするルールは決まっているか?

19. 経営層がパッケージ導入の意図・目的を明示していない (P.64)

  • パッケージの採用方針は公式文書で残されているか?
  • カスタマイズとスクラッチで費用・期間の比較は実施しているか?

20. ステークホルダー間の力関係がアンバランスである (P.66)

  • 要件定義を分離受注出来るか?
  • プロジェクトにとっての優先度が正しく評価されているか?
  • 声が大きい人や立場が強い人が不合理な決定をしていないか?止める仕組みがあるか?

21. 高次の調整・決定機関が機能していない (P.68)

  • プロジェクトの意思決定機関(ステアリング・コミッティ(=ステコミ))はあるか?
  • ステコミに決定権限があるか?開催頻度は十分か?議事録はあるか?
  • ステコミの参加者は各ステークホルダーの利益を網羅しているか?
  • 決定事項がちゃんと共有されているか?ひっくり返されないか?

22. 十分なコミュニケーションが取れていない (P.71)

  • 長く放置されている課題はないか?
  • コミュニケーションはBacklogなどのツールで行われているか?
  • 定例会は行われているか?
  • 随時の連絡先、緊急時の連絡先は交換できているか?

23. 業務用語が共有されていない (P.73)

  • 業務用語辞書は作成されているか?
  • DB項目説明書はあるか?
  • 謎の略語等が出てきたりしないか?逆に、システム用語は伝わっているか?

24. 業務知識が不足している (P.75)

  • ユーザ側のキーマンは出てきているか?話は聞けるか?
  • 関連業務は明確か?
  • 関連法規・外的制約は明確か?
  • 業務分析は時間を取って行ったか?

カバーされていない範囲

進捗が遅れるとか、見積もりを誤ったとか、そういうリスクに対する対応はココには入っていません。
しかし、このリストに対応をすれば、そういった事象が発生しにくくなることは間違いありません。

ちゃんとこういう工数考えてる!? と言ってくれているリストに、ちゃんと対応すれば、基本的に工数が足りなくなることは無いはずです。

リスクをコントロールして幸せなプロジェクトマネジメントを!

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