VagrantとDockerの違い
まず、VagrantとDockerはコンピュータの中で動かす小さな仮想の作業環境を作るツールですが、それぞれが作る環境の種類と目的が違います。
Vagrantとは
Vagrant(ベイグラント)とは: 考え方としては、ミニチュアのコンピュータを実際のPCの中に作る感じです。これを「仮想マシン」と言います。
実際のコンピュータみたいに、OS(操作システム)をインストールしたり、ソフトウェアを入れたりできます。
Vagrantを使うと、この仮想マシンを作ったり管理したりする作業を簡単にできるようになります。
Vagrantfile(ベイグラントファイル)っていうファイルを作ることで、「このコンピュータにはこんなパーツを使って、こんな設定で組み立ててね」と指示を出すことができます。
Dockerとは
https://www.docker.com/products/docker-desktop/
Docker(ドッカー)とは: Dockerでは、もっと軽量な作業環境を「コンテナ」という形で作ります。コンテナは仮想マシンよりずっと小さくて軽いので、起動が速くてたくさん同時に作れます。
必要最小限のものだけを持っていて、アプリケーションを動かすのに特化しています。Dockerfile(ドッカーファイル)っていうファイルを使って、「このアプリケーションを動かすのに必要な材料とレシピはこれ!」と定義できます。
VagrantとDockerの違い
Vagrantは: まるごと一軒家を建てるようなものです。
全部の部屋や設備が完備されていますが、建てるのに時間がかかるし、場所もたくさん必要です。
Dockerは: 最低限のキッチンだけを準備して、料理(アプリケーション)を作るようなものです。
すぐに作れて、すぐに使い始めることができます。
VagrantとDockerの主な違い:
| 機能 | Vagrant | Docker |
|---|---|---|
| 作る環境の種類 | 仮想マシン | コンテナ |
| 環境の大きさ | 大きい(完全なPC) | 小さい(最小限の機能) |
| イメージ作成 | 手作業 | 自動作成 |
| イメージ共有 | やりにくい | やりやすい |
| パフォーマンス | やや遅い | 速い |
※イメージとは、仮想環境を作るのに必要な設定やファイルのセットのことです。
Vagrantは設定が複雑な全体的な環境を、Dockerはアプリケーション一つ一つに特化した環境を、それぞれ簡単につくれるようにするための道具です。
Vagrantの基本コード
Vagrantfile というファイルを使用して、仮想マシンの設定を行います。
以下はシンプルな例です：
Vagrant.configure("2") do |config|
config.vm.box = "hashicorp/bionic64"
config.vm.network "private_network", type: "dhcp"
config.vm.synced_folder ".", "/vagrant", type: "rsync"
config.vm.provider "virtualbox" do |vb|
vb.memory = "1024"
end
end
解説：
-
config.vm.box: 使用する仮想マシンイメージを指定します。 -
config.vm.network: 仮想マシンのネットワーク設定を行います。ここではDHCPを使ったプライベートネットワークを設定しています。 -
config.vm.synced_folder: ホストの現在のディレクトリ（.）を仮想マシンの/vagrantディレクトリに同期します。 -
config.vm.provider: 仮想環境のプロバイダ（ここではVirtualBox）の設定を行います。例では、仮想マシンに割り当てるメモリの量を指定しています。
Dockerの基本コード
Dockerfile というファイルを使用して、コンテナの設定を行います。以下はシンプルな例です：
# 使用するDockerイメージの指定
FROM ubuntu:18.04
# 環境変数の設定
ENV DEBIAN_FRONTEND=noninteractive
# アプリケーションのインストールに必要なコマンド
RUN apt-get update && apt-get install -y nginx
# ポート番号の公開
EXPOSE 80
# コンテナ起動時に実行されるコマンド
CMD ["nginx", "-g", "daemon off;"]
解説：
-
FROM: ベースとなるイメージを指定します。 -
ENV: 環境変数を設定します。ここではインタラクティブな前提条件を避けるために設定しています。 -
RUN: コンテナ内で実行されるコマンドを指定し、ここではapt-getを使ってnginxをインストールしています。 -
EXPOSE: コンテナのポート80を外部に公開することを指定しています。 -
CMD: コンテナが起動するときに実行されるデフォルトコマンドを指定します。ここではnginxサーバーを起動しています。
まとめ
上記の基本コードの例は、Vagrantが仮想マシンのセットアップ用に、Dockerがコンテナのセットアップ用に、どのように使用されるかを示しています。
パフォーマンスやイメージ作成・共有の容易さを比較すると、Dockerが優れている点が多いですが、完全な環境が必要な場合はVagrantが選ばれます。
要するに、プロジェクトの要件や目的に応じて、VagrantかDockerを適切に選択し、その利点を活用することが肝心です。