こんにちは😊
株式会社プロドウガの@YushiYamamotoです!
らくらくサイトの開発・運営を担当しながら、React.js・Next.js専門のフリーランスエンジニアとしても活動しています❗️
Kintoneは標準機能だけでも非常に強力な業務改善プラットフォームですが、「あとちょっと、ここがこうなればもっと便利なのに…!」と感じることはありませんか? そんな時、Kintoneプラグイン開発があなたの、そして顧客の課題を解決する鍵となります。
JavaScriptカスタマイズでも多くのことは実現できますが、プラグインにはそれを超えるメリットがあります。
- 再利用性の向上: 一度作れば複数のアプリ、複数のKintone環境で簡単に利用可能。
- 設定画面の実装: プラグイン利用者がGUIで挙動をカスタマイズ可能。プログラミング知識不要。
- 管理の容易さ: Kintoneの「プラグインの設定」画面から一元管理。
この記事では、Kintoneプラグイン開発によって、どのように顧客の満足度を高め、業務を劇的に改善できるのか、具体的な機能拡張アイデアをサンプルコードのイメージと共にたっぷりご紹介します! 開発初心者の方も、ぜひプラグイン開発の世界に一歩踏み出してみましょう✨
なぜプラグイン開発なのか? 🤔 JavaScriptカスタマイズとの違い
Kintoneのカスタマイズ方法として、主に「JavaScript/CSSによるカスタマイズ」と「プラグイン」があります。どちらもJavaScriptを使って機能を拡張できますが、大きな違いは以下の通りです。
特徴 | JavaScript/CSSカスタマイズ | プラグイン開発 |
---|---|---|
適用範囲 | アプリ単位(またはスペース単位) | Kintoneシステム全体。アプリ単位で有効/無効化 |
設定変更 | JSコード直接編集が必要(専門知識要) | GUIの設定画面で変更可能(利用者フレンドリー) |
再利用性 | コードのコピー&ペーストや共通ライブラリ化が必要 | プラグインファイル(.zip)をアップロードするだけで簡単に再利用可能 |
配布 | コードそのものを渡す必要がある | プラグインファイルとして配布可能 |
メリット | 手軽に始められる、細かな調整がしやすい | 設定の柔軟性、管理の容易さ、複数アプリへの展開、配布のしやすさ、秘匿化しやすい |
デメリット | 設定変更に専門知識が必要、複数アプリへの展開が手間、コードが公開状態 | 初期学習コストがやや高い、ファイルパッケージングの手間 |
顧客に提供するソリューションとして考えると、設定の容易さとメンテナンス性の観点からプラグイン形式が非常に有利です。特に、複数の顧客や部署で同じような機能を使いたい場合には、プラグインが圧倒的に便利です。
✨ 顧客に喜ばれる!Kintoneプラグイン機能拡張アイデア集 💡
ここからは、実際に顧客から「これは便利!」と喜ばれる可能性の高いプラグインのアイデアを、カテゴリ別に紹介します。
1. UI/UX改善系プラグイン 🎨
毎日の業務で使うKintoneだからこそ、ちょっとした使い勝手の改善が大きな効果を生みます。
アイデア例1: 高度な入力支援プラグイン ✍️
- 郵便番号からの住所自動入力: 郵便番号を入力すると、都道府県・市区町村・町名までを自動で補完。
- ふりがな自動入力: 氏名や会社名を入力すると、自動でふりがなフィールドに値をセット(kuromoji.jsなどの形態素解析ライブラリを利用)。
- 入力文字種制限・フォーマット: 電話番号フィールドに半角数字以外入力できないようにする、日付を特定フォーマットで強制するなど。
実装イメージ (郵便番号からの住所自動入力)
外部API (例: 郵便番号検索API - zipcloud) を利用します。
// desktop.js (一部抜粋)
(function() {
'use strict';
kintone.events.on('app.record.edit.change.postalCode', function(event) { // postalCodeは郵便番号フィールドのコード
const record = event.record;
const postalCode = record.postalCode.value;
if (postalCode && postalCode.length >= 7) { // 7桁入力されたら
// APIキーなしで使えるZipCloudの例
const apiUrl = `https://zipcloud.ibsnet.co.jp/api/search?zipcode=${postalCode}`;
return kintone.proxy(apiUrl, 'GET', {}, {}).then(function(args) {
const response = JSON.parse(args[0]);
if (response.status === 200 && response.results) {
const result = response.results[0];
record.prefecture.value = result.address1; // 都道府県フィールド
record.city.value = result.address2; // 市区町村フィールド
record.street.value = result.address3; // 町域名フィールド
kintone.app.record.set(event); // 更新したレコード情報を画面に反映
} else {
console.error('住所取得エラー:', response.message);
}
}).catch(function(error) {
console.error('APIリクエストエラー:', error);
});
}
return event;
});
})();
kintone.proxy()
を使うことで、ブラウザの同一オリジンポリシーの制約を受けずに外部APIにアクセスできます。ただし、利用できるのはKintoneドメインからのみです。
アイデア例2: 一覧画面スーパー強化プラグイン 📊
- 多段ヘッダー表示: 一覧画面のヘッダーを2段や3段にし、情報を整理して表示。
- 条件付き行ハイライト/文字色変更: 特定の条件(例: ステータスが「対応中」、期限が今日など)に合致する行の背景色や文字色を変更して視認性アップ。
- 固定列表示: Excelのように、スクロールしても特定の列を固定表示。
実装イメージ (条件付き行ハイライト)
app.record.index.show
イベントで一覧のDOMを操作します。
// desktop.js (一部抜粋)
(function() {
'use strict';
kintone.events.on('app.record.index.show', function(event) {
const records = event.records;
if (!records || !records.length) {
return event;
}
// プラグイン設定画面でハイライト条件や色を指定できるようにすると汎用性が高まる
const highlightFieldCode = 'status'; // 例: ステータスフィールド
const highlightValue = '対応中';
const highlightColor = '#FFFFCC'; // 薄い黄色
const rows = kintone.app.getFieldElements(highlightFieldCode); // これだとフィールド要素しか取れない
// 正しくは、レコードごとの行要素を取得する必要がある
// kintone.app.getHeaderSpaceElement() や kintone.app.getRecordsShown() などと組み合わせる
// または、一覧の各行に対応するDOM要素を特定してスタイルを適用
// 例 (簡易版、実際はもっと堅牢なDOM操作が必要):
const recordElements = kintone.app.getFieldElements(highlightFieldCode);
if (recordElements) {
recordElements.forEach((fieldElement, i) => {
const record = records[i]; // 対応するレコードデータ
if (record && record[highlightFieldCode] && record[highlightFieldCode].value === highlightValue) {
let el = fieldElement;
// 親のtr要素まで遡ってスタイルを適用
while (el && el.tagName !== 'TR') {
el = el.parentElement;
}
if (el) {
el.style.backgroundColor = highlightColor;
}
}
});
}
return event;
});
})();
DOM操作はKintoneのアップデートで影響を受ける可能性があるため、慎重に行い、kintone.app.getFieldElements()
など公式APIで取得できる要素を起点に操作するのが比較的安全です。
2. 外部サービス連携系プラグイン 🔗
Kintoneをハブとして、様々な外部サービスと連携させることで、業務の幅が大きく広がります。
アイデア例1: 地図サービス連携プラグイン 🗺️
- 住所から地図表示: 顧客情報や物件情報アプリのレコード詳細画面に、住所フィールドの値を元にGoogle MapsやOpenStreetMapを埋め込み表示。
- 複数地点プロット: 一覧画面で選択した複数のレコードの住所情報を元に、1つの地図上にまとめてプロット。営業ルートの確認などに。
実装イメージ (Google Maps埋め込み)
プラグイン設定でAPIキーを設定できるようにします。
<!-- config.html (設定画面の一部) -->
<label for="gmaps-api-key">Google Maps APIキー:</label>
<input type="text" id="gmaps-api-key" class="kintoneplugin-input-text">
// desktop.js (レコード詳細画面に地図を表示)
(function() {
'use strict';
kintone.events.on('app.record.detail.show', function(event) {
const record = event.record;
const config = kintone.plugin.app.getConfig(PLUGIN_ID); // PLUGIN_IDはプラグイン固有ID
const apiKey = config.gmapsApiKey; // 設定画面で保存したAPIキー
const address = record.addressField.value; // 住所フィールドのコード
if (!apiKey || !address) {
return event;
}
const mapSpace = kintone.app.record.getSpaceElement('my_map_space'); // 空のスペースフィールド
if (mapSpace) {
const iframe = document.createElement('iframe');
iframe.width = '100%';
iframe.height = '300';
iframe.frameBorder = '0';
iframe.style.border = '0';
iframe.src = `https://www.google.com/maps/embed/v1/place?key=${apiKey}&q=${encodeURIComponent(address)}`;
mapSpace.appendChild(iframe);
}
return event;
});
})();
アイデア例2: カレンダーアプリ連携プラグイン 📅
-
Kintoneの予定をGoogle Calendar/Outlook Calendarに双方向同期: Kintoneで管理しているタスクやスケジュールを、普段使っているカレンダーアプリと連携。
- Kintoneレコード作成/更新時 → カレンダーに予定作成/更新
- カレンダーで予定変更時 → Kintoneレコード更新 (難易度高: Webhookや定期実行処理が必要)
実装イメージ (KintoneからGoogle Calendarへ一方向同期)
Google Calendar API と OAuth 2.0 認証を利用します。
OAuth 2.0 認証やAPIキーの取り扱いには十分注意し、サーバーサイドの処理を挟む (例: AWS Lambda, Google Cloud Functions) などのセキュリティ対策を検討しましょう。クライアントサイドJSだけで完結させるのは難しい場合が多いです。
3. データ処理・分析系プラグイン 📈
Kintoneに蓄積されたデータをより深く分析し、意思決定に役立てるプラグインです。
アイデア例1: 高度なクロス集計・グラフ表示プラグイン 📊
- ピボットテーブル風集計: 標準の集計機能では難しい、複数項目でのクロス集計結果を表形式で表示。
- 多様なグラフ種別: 散布図、レーダーチャート、箱ひげ図など、標準では提供されていないグラフ種別でデータを可視化 (Chart.js, ECharts, D3.jsなどのライブラリを活用)。
実装イメージ (Chart.jsを使ったグラフ表示)
Chart.js利用サンプル (HTMLとJS)
<!-- desktop.jsでこのHTMLをスペースフィールドに挿入するイメージ -->
<div>
<canvas id="myChart"></canvas>
</div>
// desktop.js (一部抜粋 - 一覧画面のヘッダースペースにグラフ表示)
(function() {
'use strict';
// Chart.jsライブラリを事前に読み込んでおく (CDN or プラグインに同梱)
// <script src="https://cdn.jsdelivr.net/npm/chart.js"></script>
kintone.events.on('app.record.index.show', async function(event) {
const records = event.records;
if (!records || !records.length) return event;
// 例: カテゴリ別売上集計
const salesData = {};
records.forEach(record => {
const category = record.categoryField.value; // カテゴリフィールド
const amount = parseFloat(record.amountField.value); // 金額フィールド
if (category && !isNaN(amount)) {
salesData[category] = (salesData[category] || 0) + amount;
}
});
const labels = Object.keys(salesData);
const data = Object.values(salesData);
const headerSpace = kintone.app.getHeaderSpaceElement();
if (headerSpace) {
// 既存のグラフがあれば削除
const oldCanvas = document.getElementById('myKintoneChart');
if (oldCanvas) {
oldCanvas.remove();
}
const canvas = document.createElement('canvas');
canvas.id = 'myKintoneChart';
canvas.width = 400; // サイズ調整
canvas.height = 200;
headerSpace.appendChild(canvas);
new Chart(canvas, {
type: 'bar', // グラフの種類 (bar, line, pieなど)
data: {
labels: labels,
datasets: [{
label: 'カテゴリ別売上',
data: data,
backgroundColor: [
'rgba(255, 99, 132, 0.2)',
'rgba(54, 162, 235, 0.2)',
'rgba(255, 206, 86, 0.2)',
'rgba(75, 192, 192, 0.2)',
'rgba(153, 102, 255, 0.2)',
'rgba(255, 159, 64, 0.2)'
],
borderColor: [
'rgba(255, 99, 132, 1)',
'rgba(54, 162, 235, 1)',
'rgba(255, 206, 86, 1)',
'rgba(75, 192, 192, 1)',
'rgba(153, 102, 255, 1)',
'rgba(255, 159, 64, 1)'
],
borderWidth: 1
}]
},
options: {
scales: {
y: {
beginAtZero: true
}
}
}
});
}
return event;
});
})();
4. 業務効率化系プラグイン ⚙️
日々の定型業務を自動化・効率化し、本来注力すべき業務に時間を割けるようにします。
アイデア例1: 超便利!一括処理プラグイン ⚡
- 一覧画面から選択したレコードを一括ステータス更新: 複数の申請を一括で承認・却下など。
- 一括コメント追加: 選択した複数のタスクレコードに、共通の進捗報告コメントを一括で追加。
- 関連情報一括ルックアップ取得: ルックアップフィールドで、複数のレコードに対して一括で最新情報を取得し直す。
実装イメージ (一括ステータス更新)
一覧画面にボタンを追加し、選択されたレコードの情報をKintone REST APIで更新します。
// desktop.js (一覧画面にボタン設置と処理)
(function() {
'use strict';
kintone.events.on('app.record.index.show', function(event) {
if (document.getElementById('bulk_approve_button')) {
return; // ボタンが既に存在すれば何もしない
}
const headerMenuSpace = kintone.app.getHeaderMenuSpaceElement();
if (headerMenuSpace) {
const button = document.createElement('button');
button.id = 'bulk_approve_button';
button.innerText = '選択を一括承認';
button.className = 'kintoneplugin-button-normal'; // kintone UI Component v0 のクラス
// kintone UI Component v1 を使う場合は new Kuc.Button({text: '選択を一括承認', type: 'normal'}) のように生成
button.onclick = async function() {
const selectedRecords = kintone.app.getFieldElements('レコード番号'); // これはフィールド要素の配列
// 実際には選択されたレコードのIDを取得するロジックが必要
// (例: 一覧にチェックボックスを追加し、チェックされたレコードのIDを収集)
// ここでは仮に、表示されている最初の5件を対象とする
const targetRecords = event.records.slice(0, 5).map(r => ({
id: r.$id.value,
// revision: r.$revision.value // revisionは省略可 (同時編集競合を許容する場合)
}));
if (!targetRecords.length) {
Swal.fire('情報', '対象レコードが選択されていません。', 'info'); // SweetAlert2などのライブラリ
return;
}
const result = await Swal.fire({ // SweetAlert2を使った確認ダイアログ
title: `${targetRecords.length}件のレコードを承認しますか?`,
text: "この操作は元に戻せません。",
icon: 'warning',
showCancelButton: true,
confirmButtonColor: '#3085d6',
cancelButtonColor: '#d33',
confirmButtonText: 'はい、承認します',
cancelButtonText: 'キャンセル'
});
if (result.isConfirmed) {
const body = {
app: kintone.app.getId(),
records: targetRecords.map(record => ({
id: record.id,
record: {
'statusField': { 'value': '承認済' } // statusFieldはステータスフィールドのコード
}
}))
};
try {
await kintone.api(kintone.api.url('/k/v1/records', true), 'PUT', body);
Swal.fire('成功!', 'レコードが一括更新されました。画面をリロードしてください。', 'success');
// location.reload(); // 必要に応じてリロード
} catch (error) {
console.error('一括更新エラー:', error);
Swal.fire('エラー', `レコードの更新に失敗しました: ${error.message || error.error.message}`, 'error');
}
}
};
headerMenuSpace.appendChild(button);
}
return event;
});
})();
一覧画面でどのレコードが「選択」されているかを判定する方法はいくつかあります。
- 各行にチェックボックスを追加して、チェックされたレコードのIDを収集する。
- Kintoneの一覧画面の標準機能でレコードを選択できるわけではないため、プラグイン側でUIを用意する必要があります。
- kintone UI Component を使うと、KintoneらしいUIを簡単に構築できます。
アイデア例2: 複雑帳票出力支援プラグイン 📄
- Excelライクな帳票レイアウト: Kintoneのデータを元に、複雑なヘッダーやフッター、セルの結合、計算式を含む帳票を生成 (Exceljs, SheetJSなどのライブラリを活用し、クライアントサイドでExcelファイルを生成するか、サーバーサイドでPDF生成)。
- 指定レコード一括帳票出力: 一覧で選択した複数のレコードを、1つのPDFファイルにまとめて出力したり、個別のファイルとしてZIP圧縮してダウンロード。
🏁 プラグイン開発の始め方と基本フロー
Kintoneプラグイン開発は、思ったよりも手軽に始められます。
必要なツール 🛠️
- Node.js と npm: JavaScriptの実行環境とパッケージマネージャー。
-
@kintone/create-plugin
: プラグインの雛形を簡単に作成できる公式ツール。npm install -g @kintone/create-plugin # または npx @kintone/create-plugin my-first-plugin
-
@kintone/plugin-packer
: 開発したプラグインを.zip
ファイルにパッケージングするツール。 -
kintone UI Component (任意): KintoneライクなUIを簡単に作成できるコンポーネントライブラリ。
- v1 (Reactベース)
- v0 (Vanilla JS) (レガシーですが、Reactを使わない場合はこちら)
- テキストエディタ (VS Codeなど)
基本的な開発フロー 📝
-
雛形作成:
create-kintone-plugin my-awesome-plugin --template react-ts # React + TypeScriptの場合 # create-kintone-plugin my-awesome-plugin --template minimal # シンプルなJSの場合 cd my-awesome-plugin npm install
-
manifest.json
の編集:
プラグインの基本情報(名前、説明、バージョン、設定項目など)を定義します。{ "manifest_version": 1, "version": "1.0.0", "type": "APP", "name": { "ja": "私のすごいプラグイン", "en": "My Awesome Plugin" }, "description": { "ja": "Kintoneをさらに便利にするプラグインです。", "en": "This plugin makes Kintone more awesome." }, "icon": "image/icon.png", // 56x56px のPNG "desktop": { // PC用JavaScript/CSS "js": [ "https://js.cybozu.com/kintone-ui-component/1.10.1/dist/kintone-ui-component.min.js", // 例: kintone UI Component v1 "js/desktop.js" ], "css": ["css/desktop.css"] }, "mobile": { /* モバイル用設定 */ }, "config": { // プラグイン設定画面 "html": "html/config.html", "js": [ "https://js.cybozu.com/kintone-ui-component/1.10.1/dist/kintone-ui-component.min.js", "js/config.js" ], "css": ["css/config.css"], "required_params": ["message"] // 設定必須項目 (config.jsで保存するキー名) } }
-
設定画面 (config) の実装:
-
config.html
: 設定画面のHTML構造。 -
config.js
: 設定値の読み込み、保存、入力バリデーションなどのロジック。-
kintone.plugin.app.setConfig(config, callback)
で設定を保存。 -
kintone.plugin.app.getConfig(PLUGIN_ID)
で設定を読み込み。
-
-
-
メイン処理 (desktop/mobile) の実装:
-
desktop.js
: PC版Kintoneで動作するメインのJavaScript。Kintoneイベントハンドラなどを記述。 -
mobile.js
: モバイル版Kintoneで動作するJavaScript。
-
-
動作確認:
開発中は、@kintone/plugin-uploader
やブラウザ拡張機能 (例: Kintone live JS edit & deploy) を使うと、ファイルを都度パッケージングせずに素早く動作確認できます。 -
パッケージング:
# まず秘密鍵を生成 (初回のみ) npx @kintone/plugin-packer --out private.ppk # プラグインをパッケージング npx @kintone/plugin-packer --ppk private.ppk src --out plugin.zip # (srcは manifest.json や js, css, html, image フォルダが含まれるディレクトリ)
生成された
plugin.zip
をKintoneにアップロードします。
簡単なサンプル: 設定画面の値をレコード詳細画面に表示
プラグインサンプル: 設定値表示
manifest.json
(一部抜粋)
{
// ... (前述の manifest.json の内容)
"config": {
"html": "html/config.html",
"js": ["js/config.js"],
"required_params": ["greeting_message"]
}
}
html/config.html
<!DOCTYPE html>
<html>
<head>
<meta charset="utf-8">
<style>
.kintoneplugin-label { margin-bottom: 5px; display: block; }
.kintoneplugin-input-text { width: 300px; padding: 5px; }
.kintoneplugin-button-row { margin-top: 15px; }
</style>
</head>
<body>
<div class="kintoneplugin-form">
<label for="greeting" class="kintoneplugin-label">表示するメッセージ:</label>
<input type="text" id="greeting" class="kintoneplugin-input-text">
<div class="kintoneplugin-button-row">
<button type="button" id="save_button" class="kintoneplugin-button-dialog-ok">保存</button>
<button type="button" id="cancel_button" class="kintoneplugin-button-dialog-cancel">キャンセル</button>
</div>
</div>
<script src="../js/config.js"></script>
</body>
</html>
js/config.js
(function() {
'use strict';
const PLUGIN_ID = kintone.$PLUGIN_ID; // プラグインIDを取得
const config = kintone.plugin.app.getConfig(PLUGIN_ID) || {};
const greetingInput = document.getElementById('greeting');
if (config.greeting_message) {
greetingInput.value = config.greeting_message;
}
document.getElementById('save_button').onclick = function() {
const newConfig = {};
newConfig.greeting_message = greetingInput.value;
if (!newConfig.greeting_message) {
alert('メッセージを入力してください。');
return;
}
kintone.plugin.app.setConfig(newConfig, function() {
alert('設定を保存しました。アプリの設定を更新してください。');
// 通常、ここで画面を閉じるなどの処理は不要(Kintone側が制御)
});
};
document.getElementById('cancel_button').onclick = function() {
// history.back(); // 動作しない場合がある。基本的にはKintoneの標準キャンセルボタンに任せる。
// 特に処理が不要なら空でも良い
};
})();
js/desktop.js
(function() {
'use strict';
const PLUGIN_ID = kintone.$PLUGIN_ID;
kintone.events.on('app.record.detail.show', function(event) {
const config = kintone.plugin.app.getConfig(PLUGIN_ID);
const message = config.greeting_message;
if (message) {
const headerSpace = kintone.app.record.getHeaderMenuSpaceElement();
if (headerSpace) {
// 重複表示を防ぐために既存のメッセージ要素をクリア (簡易版)
const oldMsg = headerSpace.querySelector('.plugin-greeting-message');
if (oldMsg) {
oldMsg.remove();
}
const div = document.createElement('div');
div.className = 'plugin-greeting-message';
div.style.padding = '10px';
div.style.border = '1px solid #e3e3e3';
div.style.backgroundColor = '#f7f9fa';
div.textContent = message;
headerSpace.appendChild(div);
}
}
return event;
});
})();
⚠️ プラグイン開発で気をつけるべきこと
-
パフォーマンス:
- DOM操作は最小限に。特に一覧画面でのループ処理は重くなりがち。
- APIコール数はKintoneの制限(同時リクエスト数など)に注意。
kintone.api. Gettys()
などでまとめて取得する。
-
エラーハンドリング:
-
try...catch
で予期せぬエラーを捕捉し、ユーザーに分かりやすいメッセージを表示する。 - コンソールログだけでなく、場合によってはエラー情報をKintoneアプリに記録する仕組みも検討。
-
-
セキュリティ:
- XSS (クロスサイトスクリプティング) 対策: ユーザー入力値やAPIからの取得値をHTMLに埋め込む際は、必ずエスケープ処理を行う。
- CSRF (クロスサイトリクエストフォージェリ) 対策: 重要な操作(データ更新など)を行う際は、Kintoneのセッションやトークンが有効か確認する(多くはKintone基盤側で保護されるが意識は必要)。
- APIキーなど機密情報はクライアントサイドJSに直接埋め込まず、プラグイン設定画面やサーバーサイドで管理する。
-
Kintoneアップデートへの追従性:
- Kintoneは定期的にアップデートされます。DOM構造の変更やAPI仕様変更の可能性もゼロではないため、依存しすぎない設計を心がける。
- 公式ドキュメントやcybozu developer networkの情報を定期的にチェックする。
-
プラグイン間の競合:
- 複数のプラグインが同じイベントでDOMを操作したり、グローバル変数を汚染したりすると競合する可能性があります。
- CSSのクラス名やJavaScriptの関数名は、プラグイン固有のプレフィックスを付けるなどして、ユニークにする。
まとめ 🚀
Kintoneプラグイン開発は、標準機能やJavaScriptカスタマイズだけでは手が届かなかった「かゆいところ」に手が届く強力な手段です。今回ご紹介したアイデアはほんの一例。顧客の業務内容や課題を深くヒアリングし、最適な機能をプラグインとして提供することで、Kintone活用の価値を飛躍的に高めることができます。
プラグイン開発は、最初は少し難しく感じるかもしれませんが、公式ドキュメントやコミュニティも充実しており、create-kintone-plugin
のような便利なツールもあります。ぜひ、この記事をきっかけに、あなただけの「顧客に喜ばれるKintoneプラグイン」開発に挑戦してみてください!
最後に:業務委託のご相談を承ります
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