GitとGASでスプレッドシートを完全自動で定期管理する手順ガイド 🚀

こんにちは、エンジニアうしです！
本記事では、Google Apps Script（GAS）とGit（ここではGitHubを例にします）を組み合わせ、スプレッドシートのデータを自動で定期的に管理・更新する方法を1から丁寧に解説していきます。これにより、たとえば定期的なデータのバックアップや履歴管理、そしてチームでの共有がスムーズに行えます。

目次

はじめに：全体の流れ
必要な準備
- GitHubアカウントとリポジトリの作成
- パーソナルアクセストークンの取得
Google Apps Scriptプロジェクトの作成と設定
スプレッドシートデータの取得と変換
GitHub APIを使って自動コミット
定期実行トリガーの設定
全体フロー図
まとめ

はじめに：全体の流れ

GitとGASを連携することで、以下のようなプロセスが自動化されます。

スプレッドシート：定期的に最新のデータを取得
GAS：データをCSVなどのテキスト形式に変換し、ベース64エンコード
GitHub API：GASからPUTリクエストを用いて、Gitリポジトリ内のファイルを更新（※すでに存在する場合は更新、なければ新規作成）
定期トリガー：GASの時間ベーストリガーにより、上記プロセスを自動実行

この自動化により、誰がいつどのような変更を加えたかの履歴もGit上で管理でき、チームでの共有やバックアップも容易になります。

必要な準備

GitHubアカウントとリポジトリの作成

パーソナルアクセストークンの取得

GitHub APIで認証するため、パーソナルアクセストークン（PAT）が必要です。

GitHub上で「Settings」→「Developer settings」→「Personal access tokens」に移動。
「Generate new token」をクリックし、以下のスコープにチェックを入れて生成してください：
- repo（リポジトリの読み書き権限）
発行されたトークンは後でGASのコードに設定しますので、控えておきましょう。

Google Apps Scriptプロジェクトの作成と設定

Google DriveまたはGoogle Apps Scriptにアクセスし、新しいプロジェクトを作成します。
プロジェクト名を「Spreadsheet Git Backup」など、分かりやすい名称に変更します。

スプレッドシートデータの取得と変換

この例では、スプレッドシートの「データ」というシートの内容をCSV形式に変換します。

手順
1. スプレッドシートの対象シートを取得
2. シート内の全データを2次元配列として取得
3. 行ごとにカンマ区切りに変換し、全体を改行で連結
4. 生成されたテキストをBase64エンコード

以下はサンプルコードの一部です。

/**
 * スプレッドシートからデータを取得し、CSV形式のBase64文字列に変換する関数
 */
function getCSVData() {
  // シート名を指定（例："データ"）
  var sheet = SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet().getSheetByName("データ");
  var data = sheet.getDataRange().getValues();
  
  // CSV形式に変換（各行をカンマで連結し、行ごとに改行）
  var csv = data.map(function(row) {
    // セル内のカンマをエスケープ（必要に応じて）
    return row.map(function(cell) {
      return '"' + String(cell).replace(/"/g, '""') + '"';
    }).join(",");
  }).join("\n");
  
  // Base64エンコード
  var encodedCSV = Utilities.base64Encode(csv);
  return encodedCSV;
}

GitHub APIを使って自動コミット

Google Apps ScriptのUrlFetchAppを利用して、GitHub API経由でリポジトリ内のファイルを更新します。
GitHub APIでは、既存ファイルの更新の場合、現在のファイルのSHAが必要となるため、まずGETリクエストでファイルの情報を取得し、そのSHAを利用してPUTリクエストを発行します。

以下は、スプレッドシートのCSVデータをGitHubにコミットするためのサンプルコードです。

/**
 * スプレッドシートの内容をGitHubリポジトリにコミットする関数
 */
function updateSpreadsheetToGitHub() {
  // ① CSVデータを取得
  var encodedContent = getCSVData();

  // ② GitHubリポジトリの情報を設定
  var owner = "yourusername";  // GitHubのユーザー名に置き換える
  var repo  = "spreadsheet-backup";  // 作成したリポジトリ名に置き換える
  var path  = "data.csv";  // リポジトリ内のファイルパス
  var url   = "https://api.github.com/repos/" + owner + "/" + repo + "/contents/" + encodeURIComponent(path);
  var token = "YOUR_GITHUB_PAT"; // 取得したパーソナルアクセストークンに置き換える

  // ③ ヘッダーの設定
  var headers = {
    "Authorization": "token " + token,
    "Accept": "application/vnd.github.v3+json"
  };

  // ④ 既存ファイルのSHAを取得（既にファイルがある場合）
  var sha = "";
  var options = {
    "method": "get",
    "headers": headers,
    "muteHttpExceptions": true
  };
  var response = UrlFetchApp.fetch(url, options);
  
  if (response.getResponseCode() === 200) {
    var respObj = JSON.parse(response.getContentText());
    sha = respObj.sha;
    Logger.log("既存のファイルSHAを取得: " + sha);
  } else {
    Logger.log("ファイルが存在しないか、初回コミットです。");
  }

  // ⑤ コミット用のペイロード作成
  var payload = {
    "message": "Update spreadsheet data " + new Date().toISOString(),
    "committer": {
      "name": "Your Name",  // 自分の名前に置き換え
      "email": "your.email@example.com"  // 自分のメールアドレスに置き換え
    },
    "content": encodedContent
  };
  // 既存ファイル更新の場合、SHAが必要
  if (sha) {
    payload.sha = sha;
  }

  // ⑥ PUTリクエストのオプション設定
  options = {
    "method": "put",
    "headers": Object.assign(headers, {"Content-Type": "application/json"}),
    "payload": JSON.stringify(payload),
    "muteHttpExceptions": true
  };

  // ⑦ APIリクエスト送信
  var putResponse = UrlFetchApp.fetch(url, options);
  Logger.log("更新結果: " + putResponse.getContentText());
}

注意点：

上記コード内のyourusername、spreadsheet-backup、YOUR_GITHUB_PAT、およびコミッター情報は各自の環境に合わせて変更してください。
GitHub APIのレスポンスコード（200の場合は既存ファイルあり、404の場合は新規作成など）をチェックし、エラーハンドリングを適宜行いましょう。

定期実行トリガーの設定

GASでは、時間ベースの実行トリガーを設定することで、自動でスクリプトを定期実行できます。

GASエディタ上部の「時計アイコン（トリガー）」をクリックするか、
メニューから「編集」→「現在のプロジェクトのトリガー」を選択します。
「トリガーを追加」ボタンをクリック。
以下の設定例のように設定します：
- 実行する関数： updateSpreadsheetToGitHub
- イベントのソース： 時間主導型
- タイプ： 日次、あるいは任意の間隔（例：1時間ごと）
保存して終了。

これで、設定した時間間隔で自動的にスプレッドシートの内容がGitHubにコミットされるようになります。⏰

全体フロー図

以下の図は全体のプロセスの流れを示しています。

┌──────────────────────────────┐
│    Google スプレッドシート     │
│  （データの入力・編集）         │
└─────────────┬──────────────┘
              │
              │ 「GASで定期的に実行」
              ▼
┌──────────────────────────────┐
│     Google Apps Script       │
│  ・データ取得・CSV変換         │
│  ・Base64エンコード            │
│  ・GitHub APIでPUTリクエスト    │
└─────────────┬──────────────┘
              │
              ▼
┌──────────────────────────────┐
│      GitHubリポジトリ         │
│  ・data.csv更新               │
│  ・コミット履歴管理           │
└──────────────────────────────┘

まとめ

本記事では、GitHubとGoogle Apps Scriptを組み合わせ、スプレッドシートの内容を自動で定期的にGitリポジトリにコミットする手順を解説しました。
主な流れは以下の通りです：

準備
GitHub上のリポジトリ作成とパーソナルアクセストークンの取得
GASプロジェクトの作成
スプレッドシートのデータを取得・CSV形式に変換し、Base64エンコード
GitHub APIを利用したコミット処理
PUTリクエストを用いて既存ファイルの更新または新規作成を実施
時間トリガーで自動実行
GASの定期実行トリガーを設定して、決まった時間にスクリプトを実行

これにより、スプレッドシートの変更履歴がGit上に自動で記録され、バックアップやチーム共有がスムーズに行えます。ぜひこの手順を参考に、あなたのプロジェクトでも自動管理を実践してみてください！

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