11月に読んだ本
『統計でウソをつく法 -数式を使わない統計学入門-』(ダレル・ハフ 著, 高木秀玄 訳)を読みました。この本は、大学の先生の紹介で知りました。
身近に使われている数字の中に統計があります。内閣支持率や街頭インタビューの結果など〇〇%のような数字やグラフでまとめられ公表されます。また、製品のプレゼンでは、「この製品の導入で、業務効率が50%向上!」と統計結果を提示することがあります。このような"数字"を説明の根拠にあげることで、説明の説得力が増します。しかし、数字を鵜呑みすることで騙されたり、誤った統計を提示することで不信感を与えたりすることもあります。あらゆる情報が出回る世の中で"数字"と上手に付き合っていくために改めてこの本を手に取りました。
概要
本書は、数字で人を騙す方法を9章にわたって豊富な事例を用いて紹介しています。タイトルにもあるように数式は一切出てきません。グラフの描き方やサンプルの取り方といった直感的に理解できる内容を事例にあげて説明しています。
本書に書かれている内容の一例を紹介します。雑誌の読者調査のため、あらゆる場所で、あらゆる種類の人に「普段どのような雑誌を読みますか?」とインタビューしました。その結果、多くの人が「学術誌A」と答え「娯楽雑誌B」と答えた人数を大きく上回りました。この結果は果たして正しいでしょうか?当時の出版部数を見ると、娯楽雑誌Bは、学術誌Aの部数の10倍以上でした。一般的に考えれば娯楽雑誌Bと答える人が多いはずです。では、なぜ調査結果では学術誌Aと答える人が多かったのでしょうか?回答者が見栄をはってウソをついていることが原因として考えられます。これを見て、しょうもないと思う方がいるかと思いますが、十分考えられる原因です。今回のインタビューは、調査対象に偏りがなかったものの、研究者を対象に調査すれば、今回の調査結果は簡単に捏造できます。サンプルの取り方次第では、調査結果から導き出される結果を捻じ曲げることができます。
学び
数字の裏を考えることが大切だと学びました。サンプルは適切か、情報の発信源、隠されたデータ(調査母数など)はないか疑うことで、騙される可能性を減らすことができます。また、自身が情報を発信する時、数字を読み取るための情報を開示することで、情報の信頼性を上げることができます。
最後に
本書は、数字に関わらず、情報に騙されない術を学ぶ本としておすすめです。不特定多数が簡単に情報を発信できる時代です。正しい情報もあれば、誤った情報、中には意図的に人を騙す情報もあふれています。騙されないためにも、情報の疑い方を本書で学んでみてはどうでしょうか?