この記事はtuat-sysbiolab advent calendarの12日目です。
開発の背景
MS-DIALは自分たちの研究室で開発しており、日常的に自分たちでも積極的に使用しています。そのため、必要な機能を随時追加しており、公式ドキュメントに記載されていない便利な機能も多く存在します。今回はその中の一つを紹介します。
クロマトグラム表示
MS-DIALでは、ピークを選択するとその m/z におけるEICが表示されます。ただし、TICを確認したい場合や、期待する化合物がピーク検出されていない場合に便利な特定の m/z でのEIC確認機能があります。
画面上部のリボンタブから「View」→「EIC」を選択してください。するとダイアログが表示され、指定した m/z におけるEICが表示されます。このとき、EICはメイン画面左で選択中のサンプルデータが対象になります。
手順は以下の通りです:
- m/z とtoleranceの入力
- 「Apply」ボタンをクリック
- 入力したm/zにおけるEICの表示
以上の手順で表示することが可能です。複数のクロマトグラムを同時に表示することもできるので、標準品の強度の確認など役立ててください。
スペクトルの表示
このクロマトグラム表示機能は以前から存在しましたが、約1年前のアップデートでスペクトル表示機能が追加されました。指定範囲のMSスペクトルの平均スペクトルを計算して表示できるようになりました。
クロマトグラム上で左クリックしながらドラッグして範囲を選択し、「+」ボタンをクリックすると選択範囲が青く表示されます。その状態でグラフ上を右クリックし、「Show MS Spectrum」をクリックすると、その範囲の平均スペクトルが表示されます。
別の範囲を同様に選択して、「-」ボタンをクリックすることで、その範囲のスペクトルを差し引くこともできます。
また、「Show MS/MS Spectrum」でも同様の操作が可能なはずですが、驚くべきことに、この記事の執筆中にバグを発見しました。近日のリリースでの修正を予定しています。
表示したスペクトルはライブラリスペクトルとの比較ができ、mspフォーマットで保存可能です。そうして保存したmspファイルは解析の際のライブラリとして利用することが可能なので、インハウスのライブラリの作成に役立ちます。
また、スペクトル上でピーク範囲を選択すると、そのピークのm/zにおけるクロマトグラムも表示できます。
終わりに
アドベントカレンダーの担当があと2回ほどあるので、次回も別の機能を紹介しようと思います。