AgVenture Lab 橋本です。
日本最大級のアジャイルのイベントであるAgileJapan2022(11/15~11/16)にて、株式会社SHIFT様の開催するミニセッション内でゲスト登壇させていただきました。
今回の記事では登壇内容やイベントへの参加の経緯についてお話しします。
イベント参加の経緯
AgVenture Labでは今年の8月より、アジャイル開発によるSalesforceを用いた社内業務の効率化に取り組んでいます。Salesforceの導入にあたり、社内に経験者もいないことからSalesforce社のコンサルティングパートナー企業である株式会社SHIFT様に技術指導をいただきながら開発を進めていました。
そのなかでSHIFT大下様からAgileJapan2022にて「Salesforceでのノーコード開発とアジャイルの親和性」について弊社での開発事例を紹介したいとのお話を受け、ご一緒に登壇させていただけないかお伺いしたところ快諾いただきゲスト登壇する運びとなりました。
AgileJapanはメイン会場がZoom、サブ会場がDiscordとなっており、当日のミニセッションではDiscordにてSHIFT大下様、濱島様との質疑応答形式でSalesforceでのノーコード開発とアジャイルの親和性についてお話しさせていただきました。(以下画像は会場の様子です)
Salesforceでのノーコード開発とアジャイルの親和性
登壇時にお話しさせていただいたSalesforceでのノーコード開発とアジャイルの親和性について、私が8月からおよそ3か月間アジャイルを回してみての感想を以下に記載します。
・Salesforceを使ってみての感想
8月の開発開始時は社内にSalesforceの経験者がおらず、ノーコード開発自体私は初の経験だったのでどのように開発すればよいか見当もつかない状態だったのですが、株式会社SHIFT様からのサポートを受けてSalesforceを実際に触ってみたところ、コーディングなしですぐに動くものが簡単に作れてしまい、今までの開発との違いに驚きました。ノーコード開発なので開発のスピードがとにかく早く、作っていて楽しかったです。
Salesforceにはいくつかアプリがあらかじめ用意されており、今回の開発ではSalesCloudというアプリを使用したのですが、すでに用意されている営業の分野向けに作られた機能をうまく社内の業務に当てはめると、ローコードなどと比べても何倍にも早く開発が進められるので爽快でした。
今回の開発で使用したアプリはSalesCloudですが、このほかにもカスタマーサービスに特化したServiceCloudなど、Salesforceでは3rdパーティ製品も含め様々な目的に応じたアプリが提供されています。
逆に開発していて大変だったのは、Sandbox(開発環境)からのリリースが今まで経験したリリース作業と手順がかなり異なっていたという点です。リリースすると開発環境で作成した資産がそのまま全て本番環境に反映されるのではなく、リリースする設定一つ一つを選択してリリース資産を作る必要があったり、一部設定は本番環境を直接書き換える必要があったりするのですが、リリース手順やチェックリストの整備が初回リリースということもあり追いついておらず、リリース漏れがないかの確認が大変でした。このあたりの手順の整理は新しくSalesforceを始める方は最初にしっかりしておいた方が良いと思います。
・自己学習について
Salesforce社が提供しているTrailheadという自己学習教材の認定アドミニストレーター資格対策コースを50時間ほど受講し、そのほかに株式会社SHIFT様からの講習を10時間程度受けました。Trailheadでは実際にSalesforceを触ることができるPlayGroundという環境が用意されているので、Salesforceを始めてみたい方はとりあえずTrailheadから始めてみるのが良いかと思います。
また、Salesforceについて書かれた記事なども検索すると大抵欲しい情報がヒットするので、自己学習はかなりやりやすいです。Salesforceを触ったことがない状態から1か月もあれば一通り基本的な開発は行えるようになったので、かなり習熟しやすいツールだと感じました。
・プログラミング開発でのアジャイルとノーコード開発でのアジャイルの違い
基本的なアジャイル開発の流れ自体はコーディングがない以外は大きくは変わらなかったのですが、ノーコードであることから、既存の開発管理ツールがいまいちノーコード開発にマッチせず、どういった管理を行うのが効率的なのか考えるのが難しかったです。Salesforce自体には開発管理を補助するような機能は備わっていなかったので、今回はMiroでユーザーストーリーマップを作成し、Teamsで開いたPlannerにバックログを記載して進捗を管理していました。ノーコード開発に特化した開発管理ツールのようなものがあれば欲しいと思いました。
また、ユーザーストーリーマップやバックログは、Salesforceのオブジェクトや機能を一つの区切りとして作成すると比較的容易に作成できると感じました。今回は開発者が2名しかいなかったのですが、プランニングポーカーなどでポイントを切るときも、Salesforceの機能単位で区切れば開発者間で大きくポイントや認識がずれるようなことも起きづらいのではないかと思います。
・今後開発してみたい機能
現在は社内全員向けの機能を作成しているのですが、今後の予定として機密性の高い情報を扱うための権限設定や、ツイッターなどの外部サイトとの連携を行いたいと考えています。
また、ワークフローや承認の機能を使った開発も行ってみたいと考えています。そもそも承認等が必要な業務が社内に少ないのですが、グループ企業向けに使えたら便利そうな機能なのでどう導入すれば業務効率化につながるか今後検討していければと考えています。
・3日スプリントの実施、ノーコード開発とアジャイルの相性と将来性について
今回の開発では3日スプリントを採用しました。ノーコード開発で1週間スプリントだと、出来上がる成果物が多くなりすぎてPOレビュー時に手戻りの発生する可能性が高くなると感じたからです。
3日スプリントではPOレビューが頻繁に行われるので成果物に対するレスポンスのスピード感がかなりあったことはよかったと思いますが、その反面打ち合わせに割かれる時間も同様に増えるのでそこが課題になるのかなと感じています。また、打ち合わせも特定の曜日や時間で固定できないので打ち合わせの調整にも苦労しました。スプリントを長く切る方法も今後検討していければと思います。
いくつかデメリットもありましたが、ノーコード開発は開発に着手してから実際に動くものをユーザに見せるまでの時間が早いので、アジャイルとの相性はかなり高いと開発を通じて感じました。ノーコード開発に特化したアジャイルの手法を今後突き詰めていければ、さらに早くより効率的な開発ができると思います。
AgileJapan2022を終えて
AjileJapan2022では業種の垣根を超えて様々な企業のアジャイル活用事例を聴講させていただきました。社内ではなかなか得られないような気付きを得られるイベントだと参加して感じました。
また、サブ会場であるDiscordではチャットでセッション中気になったことなど気軽に質問を投げられ良いと思いました。
私自身こういったイベントで登壇した経験がなかったのですが、イベントのゴールドスポンサーもされている株式会社SHIFT様のご厚意の元、AgileJapan2022という大きなイベントでの登壇という貴重な経験をさせていただき大変感謝しております。
今回ご登壇の場を提供して頂いたSHIFT大下様のAgileJapan2022に関する記事が<こちら>に掲載されております!ぜひ大下様の記事も合わせお読みいただければと思います。
また、AgVenture Labでは今後も様々な記事を投稿予定です。Qiitaのフォローよろしくお願いします!