ユーザの近くにコンピュータ配置したらいいことあるかも?
私の研究テーマの MEC(Multi-access Edge Computing) は、一言でいうとこんな感じの技術です。
引用元:NEC エッジコンピューティングとは?IoTの活用事例も解説
これだけ聞いても、そもそもの エッジコンピューティング というのはなんなんだという話だと思います。
5Gネットワークが普及しつつある現代では、デスクトップコンピュータだけでなくスマホやタブレット、車、果ては家電まで様々なものがインターネットに接続できるようになっています。
これが何を意味するかというと、一つの通信網が取り扱う通信の量が増えるということを示しているわけです。
例えば皆さんがYoutubeで動画を見るときには、Youtubeのサーバにリクエストを送って動画のデータを取ってくるわけですが、ご存じの通り動画データというのは、内容にもよりますが一般的に文書ファイルなどより容量が大きくなります。
これに対処するため、現在はたいていの場合において動画のデータはエンコード(≒圧縮)してインターネット上に送信されます。
みなさんのスマホにYoutubeの動画が届くと、こんどは動画データのデコード(≒解凍)を行います。
しかし、このときスマホのスペックが十分でなかったとするとどうでしょう?
動画のデコードに時間がかかり、結果としてユーザがイライラすることにつながるわけです。
「だったらわざわざインターネット上まで取りに行かなければいいじゃん」というのがエッジコンピューティングでの考え方です。
上の図でいうと、上のクラウド部分から予めデータを受け取っておくための十分なスペックのあるサーバを、ユーザの(ネットワーク的に)近くにおいておくことで、事前に動画のデコードを行うことができ、あとはユーザがこれを受け取ってみるだけというわけです。
これをさまざまなネットワークの入口(e.g. イーサネット、WiFi、LTE、5G etc)につないでみよう、というのがMECの考え方です。
MECって何ができるの?
これに関しては、MECは発展途上の技術であるため未だ不明な点が多いですが、よく言われているMECで実現できることとしては
- 低遅延通信
- ネットワーク負荷の軽減
- セキュリティの向上
などが挙げられています。
現在日本でMECに関するサービスを提供しているキャリアとしては
- docomo:docomo MEC
- KDDI & AWS:AWS Wavelength
- softbank:5G MEC
が商用のMEC技術の提供を行っています。
意外といろいろできるかも
主な活用先としては
- 自動運転
- VR・AR
- 通信経路最適化
- ゲーム
- 映像配信
- 遠隔操縦
などに活用できると考えられています。夢がひろがりんぐですね。
最後に
先ほども言ったようにMECはまだ発展途上の技術であり、ETSIという団体が主に規格の標準化を行っています。
ここの標準化仕様書を読むと、魔境に迷い込めるのでお勧めです。皆さんぜひモバイルネットワークの魔境に来ましょう。
筆者
神奈川県藤沢市の僻地でネットワークの研究をしている慶應の2年生です。
血を吐くぐらいまでは我慢できるので、私にモバイルネットワークの運用のできるインターンを教えてください。