1
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 5 years have passed since last update.

O(n)時間でソートが完了するバケットソートをHaskellで実装する (2)

Last updated at Posted at 2019-08-05

O(n)時間でソートが完了するバケットソートをHaskellで実装する (2)

O(n)時間でソートが完了するバケットソートをHaskellで実装する (1)

はじめに

前回までの実装では、つぎのような制限があった。

  • 「(バケットソートなので比較しないけど)比較対象になる値」以外の値をもとのリストに含めることができない。
    • つまり、[(3, "foo"), (7, "bar"), (3, "buz")]
      のような値のリストを数値のみを比較対象にして
      ソートすることができない

この記事では、
このような制限をなくして、本当のバケットソートを実装する。

アルゴリズム

前回までで入手した「値 - 出力回数」の情報を使って、あらかじめ「バケツの大きさ」を決めておき、その大きさのバケツに要素をほおりこんでいけばいい。つまり、1回目のスキャンでは「出力回数」を入手して、2回目のスキャンで実際のソートを行うというような2パスのアルゴリズムになる。

  • ソートする値から「比較する値」を取り出す
  • 「比較する値 - 出力回数」のような配列を作成する (前回実装)
  • それぞれの大きさのバケツを用意する
    • 実際には要素数の配列を用意して
    • 「比較する値」のそれぞれに対して「置く場所(index)」を
      指定する
  • バケツにそれぞれの要素を入れていく
    • 配列の「比較する値」によって指定された位置に
      要素を配置する
    • 配列の「比較する値」によって指定された位置を
      ひとつ進める

(アルゴリズムを言葉で説明するのって、なかなかむずかしいな)

MArrayTools

MArrayTools.hsに関数scanMArrayを追加する。

MArrayTools.hs
scanMArray :: (MArray a e m, Ix i) => (s -> e -> s) -> a i e -> s -> m ([s], s)
scanMArray op a s0 = sma s0 . range =<< getBounds a
        where
        sma s [] = return ([], s)
        sma s (i : is) = do
                e <- readArray a i
                first (s :) <$> sma (s `op` e) is

scanlと類似した関数。配列のなかの要素をひとつずつ調べながら、状態をあらわす値を変化さてている。その「変化していく状態」の含化のそれぞれの段階をリストにまとめたものを返す。

最後の状態だけをリストではなくタプルの第2要素として返しているのは、あとで使いやすいようにというだけの話。

BucketSortM

BucketSortM.hsにつぎのような関数bucketSortStep2を追加する。

BucketSortM.hs
bucketSortStep2 :: forall a a' m i x . (MArray a Int m, MArray a' x m, Ix i) =>
        (x -> i) -> [x] -> a i Int -> m (a' Int x)
bucketSortStep2 getIx lst ns = do
        bs <- getBounds ns
        (jsgen, len) <- scanMArray (+) ns 0
        js <- newListArray bs jsgen :: m (a i Int)
        xs <- newArray_ (0, len - 1)
        for_ lst $ \x -> do
                let   i = getIx x
                j <- readArray js i
                modifyArray js i (+ 1)
                writeArray xs j x
        return xs

配列nsは「比較対象となる値 - 出力回数」のような配列だ。これからscanMArrayによって、配列上の位置のリストjsgenと「ソート対象である要素」の数lenを取り出す。たとえば「0 - 1, 1 - 3, 2 - 1, 3 - 4」のような配列からは、つぎのような結果になる。

  • jsgen: [0, 1, 4, 5]
  • len: 9

リストjsgenの意味としては、つぎようになる。

「比較される値0に対応する値は「配列上のインデックス0」から置いていけばいい。おなじように値1に対応する値はインデックス1から、値2に対応する値はインデックス4から、値3に対応する値はインデックス5から置いていけばいい。」

jsgenからnewListArrayで「比較対象である値 - 結果の配列のインデックス」のような配列jsを作成している。つぎに使用されている関数newArray_は「不定の値」を初期値としる配列を作成する。ここで作成されているのは結果を格納する配列xsだ。

関数for_は第1引数であるリスト(本当はリストに限らないけど)のそれぞれの要素に対して、第2引数であるモナド(本当はモナドに限らないけど)を「実行」する。モナドのなかでは、つぎのような処理が行われる。

  • 値xに対する「比較対象の値」であるiを取り出す
  • 配列jsから値iに対応する「置く場所」である位置jを取り出す
  • 配列jsの値iに対応する「置く場所」を、1進める
  • 位置jに値xを置く

最後に「ソートされた配列」である配列xsを返す。

前回定義した関数bucketSortMArrayと、このbucketSortStep2とをつなげて、関数bsortMを定義する。

BucketSortM.hs
bsortM :: forall a a' m i x . (MArray a Int m, MArray a' x m, Ix i) =>
        (x -> i) -> (i, i) -> [x] -> m [x]
bsortM getIx bs xs = getElems
        =<< bucketSortStep2 @a @a' gtIx xs
        =<< bucketSortMArray bs (getIx <$> xs)

bucketSortMArrayで作成した「値の出力回数」を記録した配列をbucketSortStep2にわたして、そこで作られた配列からgetElemsで値を取り出している。

BucketSort

IOモナドで実行できるbsortIOと、純粋な関数bsortとを定義する。だいたい前回のbucketSortIOとbucketSortとおなじ感じ。

BucketSort.hs
bsort :: Ix i => (x -> i) -> (i, i) -> [x] -> [x]
bsort getIx bs xs = runST $ bsortST getIx bs xs

bsortST :: forall s i x . Ix i => (x -> i) -> (i, i) -> [x] -> ST s [x]
bsortST = bsortM @(STArray s) @(STArray s)

bsortIO :: Ix i => (x -> i) -> (i, i) -> [x] -> IO [x]
bsortIO = bsortM @IOArray @IOArray

まとめ

前回実装した「それぞれの値の出力回数」を記録した配列をもとめる関数を使って、それぞれの値に対応する大きさのバケツを用意して、そこに要素をつめこんでいった。

「まちがい」や「不備」、あるいは「こうしたほうがいい」というアドバイスは大歓迎です。ただし、「優しく」指摘していただけると幸いです。

また、質問は大歓迎です。この記事は「突貫」で作ったので、だいぶ説明を簡素化していますし、説明の質自体もそれほど高くはないです。今後、時間が許すかぎりにおいて、洗練していこうかと思いますが、現時点で「ここがわからない」などありましたら、ご質問ください。できる範囲で返答していきたいと思います。

1
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
1
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?