意外と知られていない(n=5, へーシャ)ので、インターネッツの海に放流してみます。
はじめに
国土地理院さんは長年様々な地図タイルを無料で公開してくださっています。
ジオ界の国民栄誉賞ものです。
たとえば、災害に関するタイルなどは現場の様々なかたのご尽力により発災後すぐアップされます(たとえばこことか)。311の時に全国有志でヒイヒイ言いながら現地の凄惨なオルソ写真をインターネットバケツリレーしていた老兵としては隔世の感があります。皆様ありがとうございます。
あと、QGISのビギナーな方はここから空中写真や標準地図(地形図)などのURLをコピーして、多くの業務や可視化に役立てていることでしょう。やり方はここにありますし、一覧のXMLを読ませれば一括登録できたりします(すみませんそのうちupdateします)。こんな地図タイルがない時代なんてジオジサンたちはですね、その、CD-ROMという円盤状の七色に輝くメディアから…(約2000文字略)
さてこのタイルリスト、長年多くの優良データが蓄積されてきた分、よーく読まないと見落としてしまう情報が時々あります。
今回は最新の空中写真を見るためのTipsについてご紹介したいとおもいます。
空中写真タイルはたくさんあります
上記の地理院さんが配信してくださっているタイルのうち、よく使われる空中写真タイルとしては
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ベースマップ(シームレス)写真
https://cyberjapandata.gsi.go.jp/xyz/seamlessphoto/{z}/{x}/{y}.jpg
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簡易空中写真(2004年~)
https://cyberjapandata.gsi.go.jp/xyz/airphoto/{z}/{x}/{y}.png
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電子国土基本図(オルソ画像)(2007年~)
https://cyberjapandata.gsi.go.jp/xyz/ort/{z}/{x}/{y}.jpg
などがあります(このへんのネーミングはちょっと初学者にはわかりにくいので将来的な整理が望まれますね)
あとほかにも、米軍撮影による終戦直後の写真なども提供されており、QGISのハンズオンなどをではこれをみると結構もりあがります。
最新空中写真を使うには
しかし、上記のベースマップの写真などを使っている方から、これ最新の撮影データでないんじゃないのーという声をちらほら聞きます。
たしかにそれぞれのタイルの撮影年度はすぐわからないのですがけっこう古い状況のママの地区もあったりして、目的に合致しない場合があるようです。
だからといってG●●mapsのタイルがわーキレイだー!あたらしー!と読み込んでトレースしたり成果物に使う暴挙冒険はおすすめできません。
節子、それあかん。読めちゃう/使って良いは別の問題だよ! ジオジサンとの約束だよ!
参考:行政サイトでウェブ地図を使う際の注意点などまとめ
それはさておき、最新の空中写真がほしいというあなたに今回紹介したいのは国土地理院さんが令和2年(2020年)に提供開始された年度別空中写真というタイルについてです。
タイルURLはこのように定義されています
https://cyberjapandata.gsi.go.jp/xyz/nendophoto{year}/{z}/{x}/{y}.png
この説明だけ読むと、ちょっとすぐ意味がわかりにくいかもしれません。
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{year}
は{z}/{x}/{y}.png
みたいにそのままでよいの? - 何年にどこで撮られているの?
- ベースマップ写真タイルとかに反映されてるんじゃないの?
読み方
まず、HPにも書いてありますこの定義を
https://cyberjapandata.gsi.go.jp/xyz/nendophoto{year}/{z}/{x}/{y}.png
をQGISで読むには、{year}
部分に読みたい年代を記述するとOKです、{}も不要です。
たとえば2021年度であれば
https://cyberjapandata.gsi.go.jp/xyz/nendophoto2021/{z}/{x}/{y}.png
をタイルURLとしてQGISなどに読み込めば閲覧可能です、でも西暦3250年とかはまだ提供されてないようです、ごめんなさい。
そして、QGISで見るには、経験者さんがよくやるこのやり方で
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地理院淡色地図
https://cyberjapandata.gsi.go.jp/xyz/pale/{z}/{x}/{y}.png
- 2021年度のタイル
https://cyberjapandata.gsi.go.jp/xyz/nendophoto2021/{z}/{x}/{y}.png
を読み込んでみましょう
これは仕様どおりで、ズームレベル14以上(QGISだと1/70000くらい?)に拡大しないと表示がされないようになっています。しかし、ズーム14をしらみつぶしに探すのはなかなか大変です。
そこで、撮影年度がわかるサイトがありまして、こちらで見ることもできます
…しかし、ちょっと使いづらい、しかもレイヤは和暦でタイルURLは西暦で…しかも、KMLて…とても、つらい
どこぞにこの索引GISデータとかタイルがないかと探したのですが、よくわからなかったです(あったらごめんなさい)
なので、カッとなってついうっかり現状のKMLぜんぶ引っこ抜いて1つのGeoJSONにしました。こちらからどうぞ(あくまで2023/1現在のものですのでご了承ください)
このGeoJSONをDLしてきてQGISで読んで色付けなどするとこんなかんじになります
…おお、けっこう撮られていますね。これがあるとほしい年度での撮影位置もわかるので助かるかと。あと、R4-R5年に撮影される(された)レーザー計測範囲なども入っています。
確認
手前味噌ですが、北海道小樽らへんも2021年に撮影されているので、先程の2021年度タイルを上に載せた状態でズームしていきますと、2018年に開通した小樽ジャンクションがはっきりと写っています。
その一方ベースマップ(シームレス)写真では反映されていないことがわかります。おそらくちょっと前の空中写真が使われている理由のようです。
もちろんすべてのタイルを比較をしたわけでもなく、このあたりの撮影ログは別途どこかにあるとは思いますが、「あー地理院の写真新しくないよねー」とお嘆きの方がいましたら、G●●gl…などをQGISで読み取るなどといったスリル満点のアウツオブガバナンスな危ない橋を渡るのではなく、一度拙GeoJSONとともに地理院さんの年度別レイヤを見ていただけるとよいのではないでしょうか?
※ちょっと見た感じですと、場所によってはシームレスと2021年度がマージされてたりしたので、まずは比較されてみることをおすすめしますし、年度ごと撮影範囲とあわせることで撮影年の推定には使えるかもしれません(しかしなんで地域によってマージされてるされてないがあるのか謎なのですが)。
**2023/1現在、2022年度のデータはまだどちらのタイルにも未反映です
まとめ
ということで
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{year}
は{z}/{x}/{y}.png
みたいにそのままでよいの?
→
https://cyberjapandata.gsi.go.jp/xyz/nendophoto2021/{z}/{x}/{y}.png
とかでQGISに放り込みましょう -
ベースマップ写真タイルとかに反映されてるんじゃないの?
→概ね反映されているぽいではありますが、一部反映されてない場所もあるので、確認するのはアリかとおもいます。あと、マージされると撮影年度が確認できなくなるので、逆算で辿れるのは便利かもしれないですね
+α. ベースマップ(シームレス)写真もそこそこマージされてるのでおすすめです、G●●leを読んでくるよりよほどよい(しつこい)
https://cyberjapandata.gsi.go.jp/xyz/seamlessphoto/{z}/{x}/{y}.jpg
出典:地理院タイル
いつもありがとうございます