この記事はZOZOアドベントカレンダー2024シリーズ8の9日目の記事です。
クネビンフレームワーク
デイヴ・スノーデンが提唱した、クネビンフレームワークは、組織やリーダーが直面する状況を5つの領域に分類し状況がどの領域に属しているかを考えることで、意思決定や問題解決の対処を行うことができるフレームワークです。
各領域の説明は以下のとおりです。
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明白系(Obvious):原因と結果が明確で、ベストプラクティスが存在する状況。「判断→行動→評価」の順で対処し、標準的な手順やマニュアルに従います。ウォーターフォールが合う世界です
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煩雑系(Complicated):原因と結果は理解可能だが、専門知識や分析が必要な状況。複数の正解があり、「分析→判断→行動」で対応します。専門家の意見が重要です。グッドプラクティスの世界です
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複雑系(Complex):原因と結果の関係が不明瞭で、予測が困難な状況。試行錯誤や実験を通じてパターンを見つけ、「行動→評価→判断」の順で進めます。開発はほぼこの領域に属します。ほとんどの状況で分析・過去の経験では解決できず、検査と適応が都度必要になります。ずばりスクラムが合う世界です
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混沌系(Chaotic):原因と結果の関係が不安定で即時の対応が必要な状況。まずは秩序を回復し、「行動→判断→評価」のサイクルで収拾を図ります。バグ対応などがこの領域の例になります
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無秩序(Disorder):どの領域にも分類できない混乱した状況。まずは状況を分析し、他の4つの領域に振り分けます
スクラムにおけるクネビンフレームワーク
複雑な状況にスクラムが合うというのは、検査と適応を繰り返していくからですが、この点は「複雑」な状況をスプリントを通し「煩雑」な状況に、そして「明白」な状況にしていくことができると言い換えることもできます。
明白系へ
明白系はベストプラクティスな世界です。つまり、スクラムのイベントやアジャイルのプラクティスとされているCI、スタンドアップミーティング、スプリント自体、レトロプラクティス、スクラムボードなどはこの単純な世界でのプラクティスです。
複雑状況のうち直近で明らかになったものをスプリントで実現していく。スプリントの中では単純な世界になっているということですね。
煩雑系へ
スクラムボードの作り方なんかは、チームの状況に応じて作っていくことが必要で、ここはグッドプラクティスの世界になります。
スクラムは「複雑」な状況をスプリントを通して「煩雑」「明白」にしていく
スクラムでは「複雑」な状況の一部を取り出す、そして、次のスプリントのためにそこだけを分析し、計画可能にします。つまり「煩雑」な状況にしていきます。そして、スタンドアップミーティングやレトロプラクティスなど明白なベストプラクティスを活用しながらスプリントを進めていきます。
また、インクリメントをレビューし、振り返ることで、複雑なプロダクトバックログを更に更新していきます。
(状況によりここで混沌な状況になることもあります。)
スクラムはこの循環を通して、複雑な状況に対処していくのです。
こうしてクネビンフレームワークを通してスクラムがどういうものか説明することができるのはなかなか面白いですね。