この記事はZOZO アドベントカレンダー Series1 18日目の記事になります。
はじめに
組織を変えたい!講習や勉強会、イベントで知ったプラクティスや技術を採用したい、提案したいって意識が高い人ほどありますよね。
しかし、それを上司に説明して、ではやろう!とはならない、一笑に付されることも多いでしょう。
いくら説明しても理解してもらえない、なぜやらないのか?やる気がないのではないか?そんな愚痴を他に漏らすことなんて経験ある方もいるでしょう。
やがてそれは、失望へと変わり仕事のモチベーションを落としたり転職を考えたりするかもしれません。
「問いかけの作法」という本ではそれを 「孤軍奮闘の悪循環」 と呼んでいます。
※引用 問いかけの作法 安斎勇樹 著
「説得し」動いてくれると「期待する」。多くはこれができると思いこんで失敗し、そして勝手に失望し身動きが取れなったり衝突するのだと思います。
こういうとき、自分に取れる行動は以下の3つです。
- 諦める
- 勝手にやる
- 相手が自分自身で心の底からやりたいと思ってもらう
自分に取れる行動 1. 諦める
1については「孤軍奮闘の悪循環」の結果、失望し諦めることです。これ以上説明することはないでしょう。
自分に取れる行動 2. 勝手にやる
2については、自分でまずはやってみるということです。問題があり、組織を変えたいという思い、このプラクティスや技術が役に立つという思いに気がついているのはまず自分だけということに気がついてください。
なので、まずは気がついている一人から始めることです。(参考:「組織を芯からアジャイルにする」)
それってやったもの勝ち?と思われるかもしれません。そうです。やったもの勝ちなのです。それで怒られるかもしれません。ただそれを恐れるのであれば1の諦めるを選択するのが良いでしょう。
失敗したとしても一人でやっていることであれば損害もほとんどないでしょう。むしろ得られる「経験」「気づき」のほうが大きいと思います。その経験や気付きは他の仲間を増やすきっかけになるやもしれません。
もういちど言いますが、「問題があり、組織を変えたいという思い、このプラクティスや技術が役に立つという思いに気がついているのはまず自分だけ」なのです。まずは一人ではじめましょう。
自分に取れる行動 3. 相手が自分自身で心の底からやりたいと思ってもらう
3については、「こうしたほうがいい」「これを採用したほうがいい」と「説得」するのではなく、まずは「何が問題なのか?」を相手が自身で気がついてもらうということです。
つまり、「問い」を変えるということ。
ただし、説得してだめだった相手に自身で気がついてもらうのは非常に難しいことは理解する必要があります。
「今のプロジェクトでは何が問題だと感じていますか?」・・・そのように直で聞いてもおそらく無駄です。そもそもそれを自覚していたら提案は通るはずだからです。
必要なのは「問い方」。
たとえば、
「今のプロジェクトのやり方を一つだけ変えるとしたら?」「今のプロジェクトを10点満点で表現するとしたら?」「プロジェクトのこれまでではなく、今週1週間だけに絞って振り返ってみると?」など返しやすい「問い」をしてみると良いでしょう。
上司だけではなく、他のメンバーも巻き込むといいでしょう。
上司やメンバーは何も理解していないのではないのです。ただやらないのでも、やる気がないのでもないのです。ただそれに答えるだけの「問い」がなかったために、気がつくきっかけがなかっただけなのです。
良い問いかけをするもう一つの効果として、チームが活性化し、チームのポテンシャルが発揮されるというのがあります。もしかしたら自分の思惑とは別の結論に達するかもしれません。それはそれで自分自身の想像を超えたチームの成長と捉えることができるでしょう。
※引用 問いかけの作法 安斎勇樹 著
話は代わりますが、Scrumではスプリントを短く区切り(1週間、数週間など)、スプリントの終わりには毎回振り返りを行います。それはそれで一つの良い「問い方」であります。数ヶ月、数年を振り返っても良い意見は返ってこないでしょう。問いの範囲・期間を絞ることで良い気づき・アイデアを引き出すことを期待したプラクティスというわけです。
ScrumガイドではScrumの価値基準のひとつに「尊敬」を挙げています(他に「集中」「確約」「公開」「勇気」があります)。
上図で良い問いかけが「信頼」につながるのがわかるかと思うのですが、それがお互いに「尊敬」し合うチームになっていくというのもよくわかりますよね。
さあ!組織を変えたい、講習や勉強会、イベントで知ったプラクティスや技術を採用したい、提案したいあなたに向けて、できることを3択に絞りました。あなたならどれを選びますか?また他の選択肢があればぜひ教えてください。
この記事があなたにとって「良い問い」になっていることを願っています。