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短時間の発表で気をつけて欲しいなと感じたこと

Last updated at Posted at 2020-10-02

はじめに

大学で行なわれたハッカソンの発表を聴いていて、自分自身の社会人1年目の研修を思い出させるような既視感がありました。同時に、5〜10分程度の短時間の発表では全体像を伝えることは難しいため、少しの工夫でもっと良くなるのにと感じた点をまとめたいと思います。

いろいろなイベントがあると思いますが、ここではお題が発表されてからの作業時間が24時間程度のイベントを前途としています。

私がプレゼンテーションの資料を作る時には、60秒で1枚ぐらいの分量を基本にしています。話しに慣れていない場合には、30秒で1枚程度にして、どんどん内容を読んでいく方法も取れると思います。10分程度の時間を全てスライドにすると10枚程度、デモを含めるとかなり少ないスライドでポイントを伝える必要があります。

意識的・無意識的なテクニックで、中身のないプレゼンでも何となく聴取を良い気分にさせることはできます。そんな発表のスタイルや所作についてのノウハウをまとめているページも散見されます。しかし、アイデアを上手に表現できることは素晴しいことですが、まず必要な情報を含めなければいけません。

制作に失敗して作品が動作しなくても、表彰台には立てないかもしれませんが、問題はまったくありません。ひょっとしたら特別賞なんかを準備してもらえるかもしれません。しかし作品が完璧に動いたとしても、明示的に必要な情報を伝えなかったために、ちゃんと動いていることすら理解されない・伝わらない可能性があると思います。

情報の量が大ければ良いというわけでもありません。ポイントを絞って、「見れば分かるだろう」という思い込みを捨てて、聴衆に十分な知識がなくても理解できるレベルの、分かりやす過ぎる発表を行なう事が大切です。

プレゼンの構成 - 発表に含めるべき点

発表時間に応じて自分の考えや作品に対する説明を詳しくしたり、ポイントだけをまとめたるなど、分量は工夫します。しかし、どのような発表スタイルでも、次のような情報は最低限必要なはずです。

  1. 与えられたテーマと、それをどう解釈したのかについての簡単な説明
  2. 既に世の中にある似たようなもの(先行事例)の簡単なまとめ
  3. 先行事例を踏まえて、自分のアイデア・作品のユニークな点(新規性)のまとめ

それぞれ1ページ以内で、できれば1.と2.は1ページにまとめるぐらいの簡潔さが良いと思います。良い提案や説明をしても、聞き手は『いや似たようなものはあるのでは?』という気持ちになるものです。

まずテーマを自分なりにどう解釈したのか説明しましょう。テーマが詳細に与えられている場合もあると思いますが、それでも理解した点を明確にすることは大切です。5W1Hを意識しつつ、いつ(When)、どこ(Where)は抜けても、誰(who)が何(what)をどう(How)するのか、それはどうして(Why)なのか、といった点は具体的に説明するべきです。

そして、後から既存の何かを真似をしたんじゃないのか、と疑われてしまうこともあるでしょう。けれど、真似はどんどんしてください。そしても、もっと良くなるように、他の課題も解決できるように、自分のアイデアを加えてあげてください。そして、発表ではそのオリジナルを紹介し、その違いを説明しましょう。

場合によっては斬新すぎて似たようなものがないという場合もあるでしょう。その場合には既存の技術で問題を解決したらどうなるかを想像し、それとの違いから自分のアイデアを説明することもできます。いずれにしても、何かと比べることで聴衆が理解するための負担は減ります。

似たようなものがあって、どうしていいか分からない

せっかく思いついた考えと同じに見えるものを発見してテンションがだだ下がった人は、まだまだ観察が足りません。きっと何か足りない機能や、カバーできていない利用者たちがまだ存在しているはずです。既存技術や製品を組み合せて、新しい課題に対応できるのであれば、まったく問題ありません。

素晴しそうに見える製品でも使ってみると、いろいろ問題が発生するものです。実際に試すわけにはいきませんが、素晴しそうなものがあるという理由で諦める必要はまったくありません。

ハッカソンでは製品の品質にこだわり過ぎない

ある程度、動くものを作成することはハッカソンでは大切ですし、その品質で判定される評価項目もあるでしょう。作品の品質だけで評価されるイベントもあるかもしれません。しかし、それでも、発表者にとって大切なことは作ろうと考え努力した過程にあります。たとえ動かなくとも自分が作ろうとしたものについては正々堂々と胸を張って説明してください。

表彰されるかどうかは結果にしか過ぎません。結果で評価されることには慣れているかもしれませんが、その過程に注目できるようになって欲しいと思います。

さいごに

ここでの内容はアイデアソンに近いのでは?という印象を持たれた方もいるかもしれません。
しかしアイデアソンでの評価は実現可能性よりも、それが実現することによってどれだけの変化が社会に生まれるか、といった視点・期待が強く作用すると思います。

ハッカソンでも対象は技術よりも社会の有り様で、(開発を目指したソリューションの素晴しさだけでなく)どのように社会にインパクトを与えるのか論理的に説明しなければいけません。この両者は似ていますが、実現可能性を証明するために何かを開発することが求められています。

場慣れしている発表者は、時々、目の前にいる聴衆を観察してウケのよい言葉を並べて発表をすることがありますが、期待感だけ煽って中身をきちんと説明していないことは伝わってしまいます。

発表が拙くても、きちんと何が問題で、技術でどのように解決を狙って、対象とした問題がどのように変化していくはずなのか、中身をきちんと伝えましょう。そのためには世の中がどうなっているのか、経済学的、心理学的な視点も含めて、日頃から興味を持って専門外の知識に触れるようにしましょう。

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