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代入したのに、代入されない・・・?ちょっと不思議なオブジェクト【#ゆめみからの挑戦状】

Last updated at Posted at 2022-10-23

先日、Twitter上でこんなクイズを出題しました。

JavaScriptのクイズです。

クイズの内容

"たかし"を代入したのに"やめ太郎"と出力されました。なぜ?

コードの/* ここに解答を書いてください */の部分を埋めてください。

コード

JavaScript
const user = /* ここに解答を書いてください */

user.name = "たかし"

console.log(user.name)
// -> "やめ太郎"

この記事の内容

この記事では、上記のクイズの正解発表と解説をして行きます。
また、別解面白解答もいくつかご紹介したいと思います。

正解発表

想定していた解答は以下です。

JavaScript
const user = new Proxy({ name: "" }, { get: () => "やめ太郎" })

{ name: "" }というオブジェクトを元に、
Proxyオブジェクトを生成するやり方を想定していました。

解説

Proxyオブジェクトを生成することによって、
元のオブジェクトへの操作を傍受したり再定義できます。

例えば以下のようにuserという名前のProxyオブジェクトを生成すると、
どのプロパティにアクセスしても"やめ太郎"を取得するようになります。

JavaScript
// Proxyオブジェクトを生成
const user = new Proxy({ name: "" }, { get: () => "やめ太郎" })

console.log(user.name)
// -> "やめ太郎"

console.log(user.a)
// -> "やめ太郎"

console.log(user.b)
// -> "やめ太郎"

↑存在しないプロパティにアクセスしても"やめ太郎"を取得します。

また、nameプロパティを上書きしたとしても、結局"やめ太郎"が出力されます。

JavaScript
  // Proxyオブジェクトを生成
  const user = new Proxy({ name: "" }, { get: () => "やめ太郎" })

+ user.name = "たかし"

  console.log(user.name)
  // -> "やめ太郎"

「あれ、nameプロパティに代入したのに、代入されていない?」と感じるかもしれませんが、代入はされています。
元のオブジェクトのname"たかし"に書き換わっています。

ただ、Proxyオブジェクトを通してnameプロパティを取得しているため
() => "やめ太郎"という関数が作動し、"やめ太郎"という値が取得されます。

ちゃんと代入されていることが分かる例

user.name"たかし"を代入した後で、元のオブジェクトに直接アクセスすると"たかし"が出力されます。
ちゃんと"たかし"が代入できていることが分かります。

JavaScript
// 元のオブジェクト
const obj = { name: "" }

// Proxyオブジェクトを生成
const user = new Proxy(obj, { get: () => "やめ太郎" })

user.name = "たかし"

console.log(obj.name)
// -> "たかし"

代入をハックすることもできる

先ほどの例では、代入できていないように見えて、ちゃんと代入ができていました。
でも、代入処理をハックすることもできます。

JavaScript
const user = new Proxy(obj, { set: (target) => { target.name = "やめ太郎"; return true; } })

↑このように、new Proxy()するときの第二引数にsetプロパティを持たせます。

こうすることで、どのプロパティに何を代入しようとしても、
nameプロパティに"やめ太郎"が代入されるようになります。

JavaScript
// 元のオブジェクト
const obj = { name: "" }

// Proxyオブジェクトを生成
const user = new Proxy(obj, { set: (target) => { target.name = "やめ太郎"; return true; } })

user.name = "たかし"

console.log(user.name)
// -> "やめ太郎"

console.log(obj.name)
// -> "やめ太郎"

↑元のオブジェクト(obj)のnameにアクセスしても"やめ太郎"が出力されます。
代入処理を再定義できていることが分かります。

Vue.jsでも使われている

Vue3では、Proxyを利用して

  • オブジェクトのプロパティが上書きされたら、DOMに反映させる

という仕組みを実現しているようです。

別解

ここからは、別解をご紹介していきます。

別解①

コード

JavaScript
const user = { set name(s) {}, get name() {return "やめ太郎"} }

セッターゲッター

セッターゲッターを使うパターンです。
そういえば、セッターゲッターってありましたね・・・!

別解②

コード

JavaScript
const user = { log: console.log, name: "" }; console.log = () => { user.log("やめ太郎") }

console.log()上書き勢・・・!

今回も出ました。
console.log()上書き勢ですね・・・!

ゆめみからの挑戦状を開催すると、一定数あらわれて
毎回の大喜利クイズを盛り上げてくれます。

問題文に「セミコロン禁止」と書かなかった私の負けです・・・!

別解③

コード

JavaScript
const user = 1 ? { name: "やめ太郎" } :

user.name = "たかし"

console.log(user.name) // -> "やめ太郎"

無理やり三項演算子に・・・!

必ず条件が真になる三項演算子を使って、
user.name = "たかし"の部分を無効化していますね・・・!

これは思いつきませんでした。
アイディア力に脱帽です・・・!

別解④

コード

JavaScript
const user = function やめ太郎 () {}

関数オブジェクトのnameプロパティを利用

JavaScriptでは、関数もオブジェクトの一種です。
関数を定義すると、その関数は自動的にnameというプロパティを持ちます。
nameプロパティは読み取り専用なため、上書きできません。

その性質を利用した解答ですね。
こちらも思いつきませんでした・・・!

※ちなみにTypeScriptのPlaygroundではエラーになります

別解⑤

コード

JavaScript
const user = Object.freeze({name: "やめ太郎"})

Object.freeze()を使用

Object.freeze()を使用して、オブジェクトを凍結させる方法です。
こうすることで、プロパティの値が変更できなくなります。

※こちらもTypeScriptのPlaygroundではエラーになります

まとめ

今回も、予想もしていなかったような解答が沢山ありました。
みなさんのおかげで、毎回すごく学びがあります。

ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!

参考文献

新しい記事もよろしくやで

↓これの作り方を解説した記事ですやで:smiley:

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