81
17

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

アウトプットの心構えAdvent Calendar 2023

Day 1

8歳娘「パパ、なんでそんなにいいねを欲しがるの?」

Last updated at Posted at 2023-11-30

本記事は 技術書典15 で無料配布した同人誌「ゆめみ大技林 '23 (2)」に寄稿したものです。

ある日の我が家

ワイ「おぉ・・・!」
ワイ「やったで!」
ワイ「ふはははは!」

娘「パパ、どうしたの?」

ワイ「おぉ、娘ちゃん」
ワイ「実はな?」
ワイ「Qiita のデイリートレンドで、ワイの記事が 1 位になったんや!」1
ワイ「つまり、ワイが日本一ってことや!」
ワイ「ワイは凄い!ワイは最強や!」
ワイ「ふはははは!」

娘「・・・」
娘「なんだか、自分を鼓舞するように絶賛してるね」
娘「どうしたの?自信のなさの裏返しなの?

ワイ「ファッ!?

娘「自分の価値を強くアピールしたがる・・・」
娘「それは、内心では自分の価値を感じられていないから・・・?」

ワイ「・・・コラッ!」
ワイ「あんま見透かしたらアカン!」
ワイ「真実追求罪でお巡りさんに逮捕されるで!」

娘「そんな罪ないでしょ」
娘「ていうか、そんなパパに、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

ワイ「お、なんや?娘ちゃん」

娘ちゃん、せっかく書いた技術記事が読んでもらえない

娘「技術記事をバズらせるコツを教えて欲しいの」
娘「私も結構いい記事を書いてると思うんだけど、ぜんぜん読んでもらえなくて」

ワイ「おお、そうなんか」
ワイ「バズらせるコツはなぁ・・・さっきの話とも繋がるんやけど」
ワイ「自信を持たないことや」

娘「どういうこと?」
娘「自信を持たないと、記事がバズるの?」
娘「ふつう逆じゃない?」
娘「自信を持って書くからこそ、良い記事が書けて、結果としてバズるんじゃないの?」

ワイ「いや、ちゃうな」

自分の記事に価値などない

ワイ「ワイの記事なんて、読む価値がない・・・」
ワイ「それを自覚する必要があるんや」

娘「価値がないのに、1 位になれるの?」
娘「意味わかんないんだけど」

ワイ「えっとな」
ワイ「世の中に技術記事なんて沢山あるやん」
ワイ「ワイより強いエンジニアさんが山ほどいて、みんなレベル高い記事を書いてるやん」
ワイ「せやから、ワイの記事なんて」
ワイ「普通に考えたら、読む理由ないねんて」

娘「うーん、そう言われると」
娘「読む理由ないかもね」

ワイ「せやから、その理由を作らんと」

娘「理由を作る・・・?」

ワイ「せや」

読者がワイの記事を読む「理由」を作る

ワイ「つまりな」

  • どんなタイトルだったら、思わずクリックしてしまうか
  • どんな出だしだったら、続きを読んでみようと思えるか
  • どんな順序で書いたら、読者にとって理解しやすいか
  • どんなテーマについて書けば、読者が興味を持つか
  • どんな文体だったら、他の記事も読んでみようと思えるか

ワイ「こういうことを、徹底的に考えるんや」

娘「おお〜」
娘「で、具体的にはどんな風に記事を書くの?」

具体的にやったこと

ワイ「パパの場合は、こんなことをしてみたんや」

タイトル

  • ちょっと変わったタイトルをつける
    • 【例】4 歳娘「パパ、セッションと Cookie ってなあに?」2
    • それによって興味を持ってもらう

導入部分

  • 序盤に必ず「お笑いパート」を設ける
    • 「なんやこの記事、おもろ」と引き込む

説明の順序

  • 主人公がだんだんと技術のことを理解していく様をセリフ形式で描く
    • 読者も、主人公の思考を追体験するような形で理解に到達できる

テーマ

  • 自分が勉強していて、なかなか理解できなかったことをテーマにする
    • 読者も「これ、分かりにくくて困ってたから助かる!」と思ってくれる

文体

  • 関西弁のワイと天才的な娘ちゃんの会話形式
    • 珍しいので印象に残る
    • しばらく経ってから別の記事を読んだ時にも「あ、前に読んだあの記事の人だ!」と思い出してもらえる
    • 記事だけでなく、書いたを覚えてもらえる

娘「へぇ〜、いろいろ考えて書いてたんだね」

ワイ「ぐへへ、そうやで」

娘「でも、タイトルで興味を引くとかさ」
娘「なんだか、迷惑メールみたいな考え方だね」
娘「あ、迷惑な男性だから ───」

ワイ「そう、まさに迷惑maleやね・・・コラッ!」
ワイ「誰が迷惑male配信業者やねん」
ワイ「まぁ確かに、やり過ぎは良くないかもな」
ワイ「でもな ───」

  • 良い記事を書くこと

ワイ「↑これと同じくらい」

  • 確実にそれを届けること

ワイ「↑これも大事やと思うんや」

娘「そうだね」
娘「私も、良い記事を書く努力だけじゃなくて、広めるための努力もしてみようかな」

でも、そんなに執着心を持ち続けるのが大変そう

娘「でもさ」
娘「そんなに色んなことを意識して記事を書くの、大変じゃない?」
娘「要は ───」

「絶対にワイの記事をクリックさせて、最後まで読ませて、いいねボタンを押させる!」

娘「そんな執着心を持って、記事を書き続けてるわけでしょ?」
娘「どうしたらそんな承認欲求モンスターになれるの?」

ワイ「承認欲求モンスターて」
ワイ「親になんてこと言うねん」

娘「いや、ある意味すごいとは思ってるんだよ?」
娘「だって、野球のイチローも、将棋の羽生さんも ───」

「やり続けることこそが才能だ」

娘「そう言ってたもん」
娘「そのためには、誰よりも執着心を持つってこと、けっこう大事なのかもね」

ワイ「執着心・・・そうかもな」

娘「いいなぁ・・・私も欲しいな、執着心!」
娘「ねぇパパ、買って!執着心、買って!」

ワイ「なんで急にアホになんねん」
ワイ「いや、購入できるものと違いますがな」

娘「そっか」
娘「どうすれば執着心を持てるの?」

ワイ「うーん、方法はなんとなく分かるで」
ワイ「ただ、それを実践するには30 年ほどかかるけど、ええか?」

娘「さささ 30 年!?」

ワイ「せやで、ワイの人生そのものやからな」

3 分で学びたい娘ちゃん

娘「そこをなんとか、うまいこと 3 分くらいにまとめられない?」

ワイ「いや、30 年を 3 分て」
ワイ「人の人生を圧縮し過ぎや」
ワイ「ワイの思い出たちが圧迫死してしまうわ」

娘「そこをなんとか、要点をかいつまんで」
娘「私、いま時間ないし」

ワイ「まぁ、やってみるわ・・・」

復讐心駆動

ワイ「要は、最初に娘ちゃんが言ってた通り」
ワイ「ワイがアウトプットにこだわるのは、自信のなさの裏返しやねん」
ワイ「たぶん、昔から劣等感が強いんやろな」

娘「へぇ〜、そうなんだ」
娘「子供の頃から?」

ワイ「多分そうやな」
ワイ「パパは子供の頃、ヒーローになりたかったんや」

娘「そうなんだ」
娘「まぁ、みんな子供の頃は憧れるよね」

ワイ「でも、実際にはヒーローどころか」
ワイ「・・・これは誰にも内緒なんやけど・・・」
ワイ「小学 3 年生までおねしょをしてたんや」

娘「へぇ、結構大きくなるまでしてたんだね」

ワイ「せや」
ワイ「でもそれが恥ずかしくてたまらんくて、友達とかにはずっと隠してたんや」

娘「それで劣等感が強くなったってこと?」
娘「もしかして、誰かにバレちゃったりしたの?」

ワイ「いや、誰にもバレへんかったで」
ワイ「オカンは知ってたけど、誰にも言わないでおいてくれたしな」

娘「そっか」

ワイ「あと、ワイってなんか、恐怖感を強めに感じるタイプというか」
ワイ「要はめっちゃ臆病なタイプやったから、死ぬ気で隠し通したんや」

娘「へぇ、どんな感じで隠したの?」

ワイ「ええとな」
ワイ「保育園のお昼寝の時間なんかは、もちろん一回も寝んかったし」
ワイ「むしろ ───」

ワイ「まだオネショしてる奴ってヤバいよな w」

ワイ「↑ これくらいの攻めたウソをついて、演じ切ってたで」

娘「じゃあ、隠し通せたなら良かったんじゃないの?」

ワイ「うーん、それはそれで良くなかったんや」
ワイ「ずっと演技して、『普通』に擬態して」
ワイ「本来の自分を必死で隠し続けたことで」
ワイ「ワイの中の、もう一人の自分が ───」

「あぁ、ワイは隠されなアカンような人間なんやな」
「ワイは恥ずべき人間なんやな・・・」

ワイ「そう感じてたんかもしれん」

娘「隠す自分と、隠される自分がいて」
娘「ある意味では、自分で自分を強く否定し続けてたんだね」

ワイ「せやな」
ワイ「自分を守る行為が、その副作用?反作用?として」
ワイ「逆に自分を責めてしまってたんかもな」

「ありのままの自分は、外に出したらアカン奴や!」
「ありのままの自分は、誰にも愛されへん!」

ワイ「って感じでな」
ワイ「本当はヒーローになりたいのに」
ワイ「現実はいつまでもおねしょをしていて、それを必死で隠して」
ワイ「オカンにも黙っておいてもらって」
ワイ「自分を恥じて、偽って生きてたんやなぁ」
ワイ「まぁ、ほとんど無意識やから、よう分からへんのやけど」

自己肯定感の欠如

ワイ「そんなこんなで、嫌いな自分を上手いこと隠して生きる ───」
ワイ「そういうことをし過ぎる人間になってもうたんや」

娘「へぇ〜」

ワイ「しかも、そんな生き方を結構ずっと続けてたからなぁ」
ワイ「それで、知らん間に自己肯定感が欠如していったのかもしれんな」

娘「そっかぁ」
娘「こうありたい!こうあらなきゃ!っていう、あるべき自分を演じることで」
娘「ありのままの自分を無意識に否定してた訳だもんね」
娘「出てくるな!って」

ワイ「せやな・・・」

娘「だから、心の奥に ───」

「自分は価値が低い人間だ」
「価値が高いと思われたい」

娘「そんな想いがずっとくすぶっていて」
娘「それで、承認欲求モンスターに成り果ててしまったんだね」

ワイ「いや、言い方」
ワイ「親に対して、モンスターに成り果ててしまったって言わんといてや」

娘「でもさぁ、それってけっこう問題だよね」

ワイ「せやなぁ」

娘「だってさ、パパって何年か前までさ」
娘「SNS で誰かを見下してみたり、マウント取ってみたり」
娘「たまに、そういうことしてたじゃん」
娘「そういった問題行動の裏側にも、実は自己肯定感の欠如があったのかもね」

ワイ「ぐぬぬ・・・」
ワイ「そうかもな」

「自分は価値が低い」
「自分の価値を高めたい」
「誰かを下に見たい」
「誰かに自慢をしたい」

ワイ「そんな飢えた気持ちが、無意識下にあったんかもしれんな」
ワイ「だから、SNS で何か間違ったことを言ってる人を見つけて」
ワイ「チクチクと批判したりしてたのかもな」

娘「間違ったことをしてる人が相手だったら」
娘「大義名分を持って叩けるしね」

ワイ「そうやなぁ」
ワイ「大義名分を持って誰かを批判することで」
ワイ「昔なりたかったヒーローに、ちょっとだけなれた気がしてたんかもなぁ」

娘「もしかしたら、無意識にそういう動機もあったのかもね」
娘「SNS での批判とか、そういう強い行動をする裏側には」
娘「何かしらの動機とか、強い欲求があるはずだもんね」

ワイ「うーん、せやなぁ」
ワイ「糖分が欲しくなるのは、糖分が足りていない時」
ワイ「承認が欲しくなるのは、自分で自分を承認できていない時」
ワイ「欠落してるから、強く求めてしまう・・・」
ワイ「ってことなのかもなぁ」

娘「でも、最近はSNSでの問題行動をしなくなったよね」
娘「改心したの?」

ワイ「いや、改心したわけではないんや」
ワイ「ただ、バレると思ったんや」

娘「バレる?」

ワイ「せや」
ワイ「ワイの投稿を見た人が ───」

「やめ太郎って、いつも尊敬されたそうにしてるな」
「そういう欲が強いってことは、リアルでは尊敬されてない人なのかな」

「やめ太郎、また他人の技術記事をさりげなく批判してるな」
「大義名分を持って叩ける人を探して、下に見たいのかな」
「もしかして、劣等感の裏返しなのかな」

ワイ「こう、見透かされてしまうのを避けたかったんや」

娘「なるほどね」

ワイ「せやから ───」

ワイ「ただひたすら面白い記事を書くことに力を入れた方が」
ワイ「遠回りのように見えて、一番尊敬されるんちゃうか?」

ワイ「そう考えたんや」
ワイ「そんで、ネガティブパワーをアウトプットに全力投球したんや」

娘「そっかぁ」
娘「それで、執着心を持って技術記事を書き続けられたんだね」
娘「まぁ、SNS で問題行動をしてるよりは良いかもね」

ワイ「せやろ?劣等感を生産的な力に変えたんやで」

娘「自分の行動の裏側にある、真の動機に気づいて」
娘「より自分のためになる行動を探す・・・」
娘「大事なことかもね」

ワイ「そんでな、他にもパパの凄いところはな ───」

娘「ありがとう、パパ、もういいよ」
娘「ちょうど 3 分経った」
娘「カップラーメンができたから、食べるね」

ワイ「いや、人の人生をカップラメーメンの待ち時間にすな!」

娘ちゃん、カップラーメン完食

娘「でもさぁ」
娘「あんまりバズに執着してる大人って、どうかと思うよ」

ワイ「うーん、でも・・・」
ワイ「トレンド 1 位になったりすると、一瞬でもヒーローになった気分になれるし」
ワイ「主人公になれた気がするし」
ワイ「ワイの人生のつらみを紛らわしてくれるんや・・・」

娘「もう、中毒じゃん・・・」
娘「SNS の暗黒面に堕ちてるね・・・」

ワイ「せやな・・・」
ワイ「ダークサイドエンジニアやな・・・」

娘「上手いこと言ってないで、もうちょっと現実を見てよ・・・」

ワイ「け、検討しますわ・・・」

娘「でもさ、みんな子供の頃 ───」

「ヒーローになりたい」
「お姫様になりたい」

娘「とか、そんな夢を見るよね」
娘「誰にも何も言われなくても、自然とそう思うようになるんだから」
娘「きっと本能に刻まれてるんだと思う」

「すごい人になりたい」
「活躍したい」
「有名になりたい」

娘「そういう、承認欲求みたいなのを心に埋め込まれて」
娘「私たちは世の中に産み落とされるんだよね」
娘「すごい人になって、いいパートナーと出会って、いい遺伝子を残したい」
娘「きっと、進化の過程で遺伝子に刻まれた本能なんだよね」
娘「その方が、生き延びて子孫を繁栄するのに有利だから」
娘「そして、そんな自分の脳に埋め込まれた欲によって、私たちは一生翻弄され続ける」
娘「例えば、友達がヒーローのように活躍してたりすると ───」

「何くそ」

娘「なんて感じてみたり」

ワイ「せやなぁ」
ワイ「自分自身に翻弄されながら彷徨ってるんやなぁ」

娘「私は、そんな本能に翻弄されていることを自覚したうえで」
娘「本当に自分のためになることをしたい」
娘「パパみたいに SNS で誰かにマウントを取って、一時的に自己肯定感を高めてる場合じゃない」
娘「本当に自分のためになるような努力をしたい」
娘「ヒーローってきっと、地道に努力して自分を磨くものだもん」
娘「そして少しでも、子供の頃に夢見ていたヒーローに近づきたい」

ワイ「いや君まだ子供やないかい」

〜おしまい〜

  1. https://twitter.com/Yametaro1983/status/1524492718067441664

  2. https://qiita.com/Yametaro/items/9b65a21940e001554719

81
17
3

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
81
17

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?