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ワイの正規表現入門

Last updated at Posted at 2020-03-01

とあるWeb制作会社にて

ワイ「社長、こないだ頼まれたショッピングサイトの件なんですけど」
ワイ「ご注文フォームのコーディング、完了しましたで!」

社長「おお、ありがとうな」

ワイ「ほな、飲みに行ってきますわ!」

社長「・・・いや待てや(まだ15時やし)」
社長「何やこのフォーム」

ワイ「何ですかいな」
ワイ「デザイン通り、完璧にコーディングできてますやん」

社長「いやバリデーションが全くされとらへんがな」

ワイ「グラデュエーション?
ワイ「何を卒業するんでっか」

社長「バリデーションや」
社長「貴様をこの会社から卒業させたろか

バリデーションとは

社長「バリデーションちゅうのは、不正な値やないかどうか確認することや」
社長「例えば数字を入力してほしいフォームに、文字列を入力して送信されても困るやろ?」
社長「そういうのをちゃんとチェックするのがフォームバリデーションや」

ワイ「あ、ああ・・・そっちのバリデーションでっか」

社長「お前の作ったこのフォームを見てみいや」
社長「数量のところに**ウンって入力しても、そのまま注文画面に進めてしまうやないか」
社長「お客様に
何てモノ**をお届けするつもりや」

ワイ「(いや、そのお客様はむしろ欲しがってますやん)」

社長「今日は飲みに行ってええから、明日ちゃんとバリデーション機能も実装してくれや」

ワイ「おお・・・ホワイト会社や・・・」
ワイ「お先に失礼します・・・」

翌日

ワイ「なあ、ハスケル子ちゃん」
ワイ「昨日ワイが作ったご注文フォームなんやけど」
ワイ「フォーム・バ・リデーションができてないからダメやって」

ハスケル子「そ、そうですか」
ハスケル子「(フォーム・バ・リデーション・・・?)」
ハスケル子「でもまあ、そりゃそうですよね」
ハスケル子「確か、仕様書にも」

各入力項目にバリデーションを掛けてください

ハスケル子「って書いてありましたよ」

ワイ「うん」
ワイ「よう分からんかったから、背景に薄くグラデーションは掛けておいたんやけどね」
ワイ「やっぱアカンかったわ」

バリデーション開始

ワイ「さあ、バ・リデーションをしていこか」

ワイ「まずは数量のバ・リデーションや」
ワイ「数値以外が入ってたらNGにしたい場合は・・・」
ワイ「確か正規表現いうのを使ってやるんや」

JavaScript
const isValid = /正規表現/.test(userInput);

ワイ「↑こんな感じでtestメソッドを使ってやればisValid真偽値が入ってくるはずや」
ワイ「userInputにはユーザーが入力した文字列が入ってくる想定やで」

ワイ「せやから・・・」

JavaScript
const isValid = /[0-9]+/.test(userInput);

ワイ「↑こう書いてやればええな」
ワイ「[0-9]+、つまり0~9の中のいずれかの文字1個以上ありまっせ、ってことや」
ワイ「+は、直前の文字が1回もしくはそれ以上繰り返されるって意味やからな」
ワイ「よっしゃ完璧や」

ハスケル子「待ってください」

「含む」になっちゃう

ハスケル子「/[0-9]+/という正規表現だと」
ハスケル子「0〜9の繰り返しを**『含む』って意味になっちゃうので」
ハスケル子「↓こんな文字列でも
OK**になっちゃいますよ」

  • 5万
  • ほげ10
  • ワイが1番や!!!

ワイ「Oh...」

ハスケル子「なので正規表現は/^[0-9]+$/の方がいいですね」
ハスケル子「^ていうのは**〜から始まるって意味で」
ハスケル子「$ていうのは
〜で終わる**って意味です」
ハスケル子「今回の例で言うと」

0〜9の繰り返しで始まって、そのまま終わる文字列

ハスケル子「って感じです」
ハスケル子「つまり^$で挟むと部分一致ではなく完全一致になるってことですね」

ワイ「おお、ありがとう」
ワイ「危ない危ない・・・」
ワイ「ウ〇コが10、とかでもOKになってしまうところやったわ・・・」
ワイ「配達員さんも困るで」

ハスケル子「ちなみにこの正規表現だと、1文字目が0でもOK扱いになります」
ハスケル子「なので、001とかもOKになりますね」
ハスケル子「それをNGにしたい場合は」
ハスケル子「/^[1-9][0-9]*$/
ハスケル子「↑こうですね」

  • 最初に1〜9が1つある → ^[1-9]
  • その後ろに0〜9が0個以上ある → [0-9]*
  • そのまま終わる → $

ワイ「そっかそっか」
ワイ「*は、直前の文字の0回以上の繰り返しってことやもんな」
ワイ「なるほどなぁ〜」

繰り返しの回数を指定する

ワイ「次は姓・名を入力するフォームのバリデーションやな」
ワイ「ええと、の入力ルールとしては」
ワイ「3文字以内であること・・・それくらいチェックしておけばええかな」

ハスケル子「いや勅使河原さんとかどうするんですか」
ハスケル子「仕様書ちゃんと読んでください」
ハスケル子「姓は**1〜30文字**って書いてありますよ」

ワイ「おお、ありがとうやで」
ワイ「30文字以内ってのはどうやって調べればええんやろ・・・」

ハスケル子「ええと」

  • 任意の文字 → .
  • それが1〜30個あること → {1,30}
  • 「含む」ではなく「完全一致」 → ^$で挟む

ハスケル子「って感じだから」

JavaScript
const isValid = /^.{1,30}$/.test(userInput);

ハスケル子「↑こうですね」

ワイ「今回も完全一致なんやね」

ハスケル子「はい」
ハスケル子「だって**『含む』だと35文字でもOK**になってしまいますからね」

ワイ「なるほどや」

ハスケル子「でも、ここは無理に正規表現を使う必要ないかもですね」

ワイ「ん?どういうこと?」

無理に正規表現で頑張る必要はない

ハスケル子「つまり↓こんな感じで書いてもいいってことです」

JavaScript
const isValid = 0 < userInput.length && userInput.length <= 30;

ハスケル子「単にlengthで済みますからね」
ハスケル子「無理に正規表現で頑張るより」
ハスケル子「JSの便利なメソッドたちを活用していきましょう」

ワイ「なるほどな」

ハスケル子「ちなみにサロゲートペア1のことも考えるなら」
ハスケル子「userInput.lengthより」
ハスケル子「[...userInput].lengthの方がいいですね」

ワイ「デリケートビア・・・」
ワイ「ああ、腐りやすいビールのことやな?」

ハスケル子「サロゲートペアです」
ハスケル子「絵文字や一部の漢字は4バイト文字なので、1文字で2文字分にカウントされちゃう、ってやつです」

ワイ「なるほどな」
ワイ「最近は絵文字を含んだ苗字の人もおるもんな」

ハスケル子「そうですか」

ワイ「(相変わらずツッコミ冷たいな・・・)」

ハスケル子「(腐ったビールでも飲んでればいいのに)」

指定した選択肢の中の文字列のみOKにする

ワイ「次は、年号のバリデーションやな」
ワイ「大正・昭和・平成・令和だけをOKにしたいんや」
ワイ「せやから・・・」

JavaScript
const isValid = /^大正$|^昭和$|^平成$|^令和$/.test(userInput);

ワイ「↑こうやな」
ワイ「記号の|は**『または』**って意味やから」

  • ^大正$
  • または^昭和$
  • または^平成$
  • または^令和$

ワイ「ってことや」

ハスケル子「それでもいいですけど、もっと短く書けますよ」

ワイ「そうなん?」
ワイ「えーと」
ワイ「/^大正|昭和|平成|令和$/とか?」

ハスケル子「惜しいですね」
ハスケル子「それだと」

  • 大正から始まる文字列
  • または昭和を含む文字列
  • または平成を含む文字列
  • または令和で終わる文字列

ハスケル子「上記の全部に当てはまってしまいます」
ハスケル子「つまり」

  • 大正生まれやで!
  • 多分平成かなぁ
  • キラキラの令和

ハスケル子「↑こんな文字列までOKになっちゃいます」

ワイ「ガバガバやん・・・」
ワイ「^$の方が、|より先に評価されてしまうんやな・・・」

ハスケル子「はい」
ハスケル子「なので」

JavaScript
const isValid = /^(大正|昭和|平成|令和)$/.test(userInput);

ハスケル子「↑こうですね」

ワイ「^(大正|昭和|平成|令和)$かぁ」
ワイ「括弧をつけるんやね」

ハスケル子「括弧でグループ化すると」
ハスケル子「その中は先に評価してもらえます」
ハスケル子「なので・・・」

  • 大正または昭和または平成または令和
  • ^$で挟んであるので「含む」ではなく「完全一致」

ハスケル子「ちゃんと↑こういう意味に評価してくれるんです」
ハスケル子「でも、この場合も無理に正規表現にしなくてもいいですね」

JavaScript
const isValid = ["大正", "昭和", "平成", "令和"].includes(userInput);

ハスケル子「↑これでいいわけですからね」

否定先読み

ワイ「さて次は」

  • 無職から始まる文字列であること
  • ただし無職やめ太郎から始まる文字列はNG

ワイ「こういうバ・リデーションや」

ハスケル子「(どんなご注文フォームなんだろう)」
ハスケル子「(やめ太郎さん、出禁にされてるのかな・・・)」

ワイ「こういう否定みたいなのは正規表現でどうやって表すんやろ」

ハスケル子「ええと」

JavaScript
const isValid = /^無職(?!やめ太郎)/.test(userInput);

ハスケル子「↑こうですね」
ハスケル子「(?!やめ太郎)否定先読みっていう書き方です」

  • 無職から始まる → ^無職
  • ただし後ろにやめ太郎が続くのはNG → (?!やめ太郎)

ハスケル子「↑こういう意味です」

否定後読み

ワイ「次は」

  • 太郎を含むこと
  • ただしやめ太郎はNG

ワイ「↑この条件や」

ハスケル子「(これは厳し目な出禁だな・・・)」

JavaScript
const isValid = /(?<!やめ)太郎/.test(userInput);

ワイ「↑こうやな!」

ハスケル子「合ってますけど、その否定後読みES2018で追加されたものなので」
ハスケル子「FirefoxSafariで使えないですね・・・」

ワイ「おお、そうなんか・・・」

ハスケル子「なので」

JavaScript
const isValid = /太郎/.test(userInput) && !/やめ太郎/.test(userInput);

ハスケル子「こんな感じにしておきましょう」

ワイ「おお、2つ組み合わせるのもええね」

ほかにも色々

ワイ「次は」

  • 1st, 2nd, 3rd, 4th
  • 11th, 12th, 13th, 14th
  • 21st, 22nd, 23rd, 24th

ワイ「↑こんなやつだけをOKにしたいんや!」
ワイ「英語の序数ってやつやな」

ハスケル子「ええと」

JavaScript
const isValid = /^(([0-9]*[02-9])?(1st|2nd|3rd)|([0-9]*([04-9]|1[1-3])th))$/.test(userInput) && /^[1-9]/.test(userInput);

ハスケル子「↑こうですね」

ワイ「おお」
ワイ「けっこう長いな」

ハスケル子「はい」
ハスケル子「日本語で説明すると」

  • 1文字以上の数字の後ろにst,nd,rd,thがつく形式

ハスケル子「↑ざっくりこんなルールですよね」
ハスケル子「細かく定義すると・・・」

  • 下1桁1の時は末尾にstがつくべき
  • 下1桁2の時は末尾にndがつくべき
  • 下1桁3の時は末尾にrdがつくべき
  • ただし下2桁11,12,13の時はthがつくべき
  • それ以外の場合は末尾にthがつくべき
  • 1~9から始まるべき(0からは始まらない)

ハスケル子「↑こんなルールですよね」

ワイ「せやな」

ハスケル子「1桁なら割とシンプルで」

JavaScript
const isValid = /^(1st|2nd|3rd|[4-9]th)$/.test(userInput);

ハスケル子「↑こんな感じです」

ワイ「なるほどな」

  • 1stまたは2ndまたは3rdのパターン → 1st|2nd|3rd
  • または4〜9の後ろにthがつくパターン → [4-9]th
  • それを^()$に入れて完全一致にする

ワイ「↑ってことやな」

ハスケル子「はい」
ハスケル子「それが2桁以上になると」

  • ただし下2桁11,12,13の時はthがつくべき
  • 1~9から始まるべき(0からは始まらない)

ハスケル子「↑こんなルールが加わるので」

JavaScript
const isValid = /^(([0-9]*[02-9])?(1st|2nd|3rd)|([0-9]*([04-9]|1[1-3])th))$/.test(userInput);

ハスケル子「↑こんなに長くなります」

ワイ「う〜ん・・・」
ワイ「11,12,13の場合は11st,12nd,13rdやなくて11th,12th,13thになるわけやから・・・」

  • 1st,2nd,3rdの前に1は来ない。つまり0または2〜9が来る。
    → [02-9]
  • 下1桁が0または4〜9の時はthがつく。または下2桁11,12,13の時もthがつく。
    → ([04-9]|1[1-3])th

ワイ「↑ってことかぁ・・・」

ハスケル子「はい」
ハスケル子「でも、これでもまだ・・・」

  • 1~9から始まるべき(0からは始まらない)

ハスケル子「↑このルールが満たせていません」

ワイ「まじか・・・」

ハスケル子「そこも全て正規表現で表そうとすると、更に長くなってしまうので・・・」

JavaScript
 && /^[1-9]/.test(userInput);

ハスケル子「↑この条件を加えることで0始まりをブロックしています」

ワイ「なるほどな」

  • 1〜9から始まらなあかんよ → ^[1-9]

ワイ「↑ってことやな」

ハスケル子「はい」
ハスケル子「今回は割と長めの正規表現で頑張りましたが」
ハスケル子「実際にはもっと分割して&&で繋いだ方がいいですね」

ワイ「なるほどなぁ」
ワイ「実務のコードで長〜い正規表現を書かれても、読まれへんもんな・・・」

正規表現完全理解ワイ

ワイ「とにかく」
ワイ「正規表現、完全に理解したわ」

ハスケル子「これでやめ太郎さんも正規表現いっぱい書けますね!」

ワイ「おう!」
ワイ「理論上は可能や!

何でそんなにできるようになったん?

ワイ「ていうかハスケル子ちゃん」
ワイ「何でそんなに正規表現できるようになったん?」

ハスケル子「このサイトで練習しました」

ワイ「おお」
ワイ「正規表現を試しに書いて」
ワイ「実際にどういった文字列が該当するのかが分かるんやな」
ワイ「ワイもこのサイトで勉強してみるわ・・・!」

やめ太郎の戦いは続く・・・

他にもおすすめサイト

  1. 絵文字や一部の漢字はサロゲートペア文字と呼ばれる4バイト文字なため、1文字で2文字とカウントされてしまいます。

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