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AngularのNgModuleを使って、アプリの構成を管理する

Last updated at Posted at 2017-06-20

この記事はAngular+Firebaseでチャットアプリを作るのエントリーです。
前記事:Angular+FirebaseRTDBでCRUD(CREATE, READ, UPDATE, DELETE)を実装する
次記事:Angularのルーティング設定(基礎編)

この記事で行うこと

ここまでの記事では、ルーティング(ページ遷移)のない単一ページのWEBアプリを構築してきました。
ですが、これから認証機能を実装していくにあたって、ログインページなど他ページへの遷移や、ヘッダーなどサイト全体に共有するテンプレートが必要になってきます。
本稿ではそうした中規模以上のWEBアプリ構築をするため、モジュール構成の整理とヘッダーのテンプレート作成を行います。

Angularのモジュラリティシステム

以前の記事でも少し触れましたが、AngularはNgModuleというモジュラリティシステムを導入しています。
モジュールは、モジュール内部で扱うコンポーネント、サービス、外部ライブラリなどを定義しており、独立して動作するものになっています。これらのモジュールはLazy Loading(遅延読み込み)の対象とすることができ、一度に読み込ませる範囲の指定にもなります。

Lazy Loadingの例

検索にかかる機能を「サーチモジュール」とした場合、それにかかるページに遷移、ないしはその機能を使用しない限り読み込みが実行されない→ローディング時間が短くなる。

Angularのガイドではモジュールの種類を、最初に読み込まれるルートモジュール、アプリ全体に適用させるコアモジュール、機能単位で切り出された機能モジュール、共通部品を格納する共有モジュールの4つに分類しています。
下記ではコアモジュールルートモジュールと共有モジュールの実装方法を紹介します。

コアモジュールの扱いについて
Angular7の公式ドキュメントから、コアモジュールについての記述が削除されました。
これはサービスがシングルトンに対応することになったことに伴い、ルートモジュールとコアモジュールの機能をあえてわける必要がなくなったためのようです。(参考:https://github.com/angular/angular/issues/29848)
コアモジュールが使えなくなったわけではないので、ここでの記述も残そうかと思いましたが、チュートリアルという性質上修正するのが妥当と思い、以下の記述を修正しています。


(2018/1追記)記述を現時点で最新のものに差し替えました。
(2018/9追記)記述を現時点で最新のものに差し替えました。
(2020/6追記)記述を現時点で最新のものに差し替えました。


実装内容

モジュールを整理する

ここまでで作成した単一ページのAngularプロジェクト(/src/app以下)は次のようになっています。

 app
  ├── class
  │    ├── chat.spec.ts
  │    └── chat.ts
  ├── pipe
  │    ├── chat-date.pipe.spec.ts
  │    └── chat-date.pipe.ts
  ├── app.component.css
  ├── app.component.html
  ├── app.component.spec.ts
  ├── app.component.ts
  ├── app.module.ts
  └── app-routing.module.ts

この構成にAngular CLIを使ってモジュールとコンポーネントを追加します。

ng g module shared
ng g component chat

app.module.tsルートモジュール、新しく作成されたshared.module.ts共有モジュールとして扱っていきます。

まずはルートモジュールと共有モジュールの内容を見ていきます。

子コンポーネントを表示する

ユーザーがアプリを起動後、最初に実行されるのがルートモジュールです。
ルートモジュールであるapp.module.tsを見てみると、@NgModuleというデコレータのbootstrapというプロパティにAppComponentが指定されています。
これは最初に読み込むコンポーネントをAppComponentに指定したという意味になります。

指定されたAppComponentapp.component.tsに書かれているコンポーネントで、app.component.htmlをhtmlテンプレートとして指定しています。今回はこのテンプレートに上記で作成したChatComponentを表示させます。

chat.component.ts
@Component({
  selector: 'app-chat',
  templateUrl: './chat.component.html',
  styleUrls: ['./chat.component.css']
})

chat.component.tsを開くと、@Componentデコレータの中にselector: 'app-chat'という記述があります。これがこのコンポーネントを指定するカスタムタグ名となります。

では、app-chatをカスタムタグとしてapp.component.htmlに挿入します。

app.component.html
    <div class="card-header">
      NgChat <app-chat></app-chat>
    </div>

実行結果

NgChat (8).png

ChatComponentのテンプレート内容がapp.component.htmlに表示されました。このとき、ChatComponentAppComponentの「子コンポーネント」である、ということができます。
ルートのコンポーネントであるAppComponentには全ページに共通するものを残していくので、AppComponentの内容をChatComponentに移していきます。

app.component.ts
import { Component } from '@angular/core';

@Component({
  selector: 'app-root',
  template: `<app-chat></app-chat>`, // templateに変更
  // styleUrlsを削除
})

export class AppComponent {

  constructor() {
  }

}
app.component.html
<!--内容をchat.component.htmlに移動して削除-->
app.component.css
/* 内容をchat.component.cssに移動 */
chat.component.ts
import { Component, OnInit } from '@angular/core';
import { Comment, User } from '../class/chat';
import { AngularFirestore } from '@angular/fire/firestore';
import { Observable } from 'rxjs';
import { map } from 'rxjs/operators';

const CURRENT_USER: User = new User(1, 'Tanaka Jiro');
const ANOTHER_USER: User = new User(2, 'Suzuki Taro');

@Component({
  selector: 'app-chat',
  templateUrl: './chat.component.html',
  styleUrls: ['./chat.component.css']
})
export class ChatComponent implements OnInit {

  public content = '';
  public comments: Observable<Comment[]>;
  public currentUser = CURRENT_USER;

  // DI(依存性注入する機能を指定)
  constructor(private db: AngularFirestore) {
  }

  ngOnInit(): void {
    this.comments = this.db
      .collection<Comment>('comments', ref => {
        return ref.orderBy('date', 'asc');
      })
      .snapshotChanges()
      .pipe(
        map(actions => actions.map(action => {
          // 日付をセットしたコメントを返す
          const data = action.payload.doc.data() as Comment;
          const key = action.payload.doc.id;
          const commentData = new Comment(data.user, data.content);
          commentData.setData(data.date, key);
          return commentData;
        })));
  }

  // 新しいコメントを追加
  addComment(e: Event, comment: string) {
    if (comment) {
      this.db
        .collection('comments')
        .add(new Comment(this.currentUser, comment).deserialize());
      this.content = '';
    }
  }

  // 編集フィールドの切り替え
  toggleEditComment(comment: Comment) {
    comment.editFlag = (!comment.editFlag);
  }

  // コメントを更新する
  saveEditComment(comment: Comment) {
    this.db
      .collection('comments')
      .doc(comment.key)
      .update({
        content: comment.content,
        date: comment.date
      })
      .then(() => {
        alert('コメントを更新しました');
        comment.editFlag = false;
      });
  }

  // コメントをリセットする
  resetEditComment(comment: Comment) {
    comment.content = '';
  }

  // コメントを削除する
  deleteComment(key: string) {
    this.db
      .collection('comments')
      .doc(key)
      .delete()
      .then(() => {
        alert('コメントを削除しました');
      });
  }
}

これでAppComponentにかかる記述がかなりすっきりしました。内容を移すにあたり、変更を加えた点を列記しておきます。

templateに変更

app.component.tsではこれまで外部ファイルをhtmlテンプレートに指定するtemplateUrlというプロパティを使っていましたが、これをtemplateに変更しています。
templateはデコレータ内に直接テンプレートを書き込むためのプロパティです。テンプレートの記述内容が少ない時などに使用します。

constructor()の記述をngOnInit()に移す

ngOnInit()はコンポーネントが読み込まれる際に最初に実行される関数です。役割的にはconstructor()と同じなのですが、データのライフサイクルをわかりやすくしておくため、最初に読み込まれるものは極力ngOnInit()に記述するようにしていきます。

Angularのライフサイクル。機会があったら取り上げてみます。

共有モジュールを読み込む

さて、次は共有モジュールを作成していきます。上記でも触れましたが、共有モジュールはアプリ内で使用する共通部品を管理するモジュールです。これまでに作成したものだとChatDatePipeが共通部品として使えそうです。
ngIFやngForを扱うCommonModule、ngModelなどを扱うFormsModuleと合わせて共有モジュールに登録します。

まず/src/app/shared配下に/src/app/pipeを移動し、SharedModuleChatDatePipe``CommonModule``FormsModuleを追加します。

src/app/shared/shared.module.ts
import { NgModule } from '@angular/core';
import { CommonModule } from '@angular/common';
import { FormsModule } from "@angular/forms"; // 追加

import { ChatDatePipe } from "./pipe/chat-date.pipe"; // 追加

@NgModule({
  imports: [
    CommonModule,
    FormsModule, // 追加
  ],
  exports: [  // 追加
    CommonModule,
    FormsModule,
    ChatDatePipe
  ],
  declarations: [ // 追加
    ChatDatePipe
  ]
})
export class SharedModule { }

注意すべき点として、SharedModuleの外部で使う部品についてはexportsにも登録する必要があります。これを忘れるとDIをする時に「宣言されていません」というエラーが出るので、必ず登録しておくようにします。

次にAppModuleを更新します。先ほどSharedModuleに追加したものを削除し、代わりにSharedModuleをインポートします。
ここではAppModuleに登録を行っていますが、SharedModuleは必ずしもルートモジュールに登録する必要はありません。
SharedModuleを必要とするモジュールがあればその都度登録を行い、そのモジュールが読み込まれる際にSharedModuleも合わせて読み込まれます。

src/app/app.module.ts
import { BrowserModule } from '@angular/platform-browser';
import { NgModule } from '@angular/core';
import { NgbModule } from '@ng-bootstrap/ng-bootstrap';
// FormsModuleを削除
import { environment } from '../environments/environment';
import { AngularFireModule } from '@angular/fire';
import { AngularFirestoreModule } from '@angular/fire/firestore';
import { AngularFireAuthModule } from '@angular/fire/auth';

import { SharedModule } from './shared/shared.module'; // 追加
import { AppComponent } from './app.component';
import { ChatComponent } from './chat/chat.component'; // 追加
// ChatDatePipeを削除


@NgModule({
  declarations: [
    AppComponent,
    ChatComponent
  ],
  imports: [
    NgbModule.forRoot(),
    // FormsModuleを削除
    BrowserModule,
    SharedModule, // 追加
    AngularFireModule.initializeApp(environment.firebase),
    AngularFirestoreModule,
    AngularFireAuthModule,
  ],
  providers: [],
  bootstrap: [AppComponent]
})
export class AppModule { }

これで共有モジュールの読み込みができるようになりました。
この時点で/src/app配下は次のようになっています。

 app
  ├── chart
  │    ├── chat.component.css
  │    ├── chat.component.html
  │    ├── chat.component.spec.ts
  │    └── chat.component.ts
  ├── class
  │    ├── chat.spec.ts
  │    └── chat.ts
  ├── shared
  │    ├── pipe
  │    │   ├── chat-date.pipe.spec.ts
  │    │   └── chat-date.pipe.ts
  │    └── shared.module.ts
  ├── app.component.spec.ts
  ├── app.component.ts
  ├── app.module.ts
  └── app-routing.module.ts

ヘッダーテンプレートを作る

次はルートモジュールにヘッダーを作っていきます。
Angular CLIでルートモジュール内にヘッダーコンポーネントを作成します。

ng g component header

上記コマンドを叩くと自動的にコンポーネントが作成されますが、合わせてルートモジュールも更新がかかります。Angular CLIはディレクトリの階層構造をみて、該当するモジュールに自動でコンポーネントを登録する機能を備えています。慣れるとかなり楽チンです。

これでヘッダーコンポーネントのルートモジュールへの登録が完了しました。
ルートコンポーネントでヘッダーのカスタムタグが使えるようになったので、テンプレートに追加します。

src/app/app.component.ts
@Component({
  selector: 'app-root',
  template: ` 
  		<app-header></app-header> <!--追加-->
  		<app-chat></app-chat>
  `, 
  styleUrls: ['./app.component.css']
})

あとはヘッダーのテンプレートをモリモリ更新するだけです。
ヘッダー固定のレイアウトにするので、chat.component.cssの調整もしておきます。

src/app/header/header.component.html
<nav class="navbar fixed-top navbar-dark bg-primary">
	<a class="navbar-brand" href="#">NgChat</a>
	<span class="navbar-text">
		<a href="#">Login</a>
    </span>
</nav>
src/app/chat/chat.component.css
.page section {
  margin: 65px 10px 30px; /*margin-topを65pxに*/
}

実行結果

localhost_4200_ (1).png

これで中規模アプリを構築していく準備が整いました。
次はログインページへのルーティングを扱います。

ソースコード

この時点でのソースコード
※firebaseのapiKeyは削除しているので、試すときは自身で作成したapiKeyを入れてください。

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