前書き
ACCESS Advent Calender 2021年の5日目は@Yam3939です。
想定する読者
- プレゼンテーション技術を向上させたいと思っているエンジニア
- ゲシュタルト心理学とかプレグナンツの法則とか聞いても何のことだかわからない、The Non-Designer's Design Book (Williams Robin) とか読んだこともない、というエンジニア
参考図書
Storytelling with data (Cole Nussbaumer Knaflic)
以下の事例はこの本から引用しています。
はじめに
昨年から90秒動画を1000本撮るという目標をたてて、ちょうどいま、半分くらいのところまで来ました。
90秒動画だとほとんど構成も限定されるのですが、それでも、興味をもってもらうためにはストーリーの勉強をしなくてはならないと考えました。
ストーリーの本も10冊と少し読みましたが、書いてある内容はいろいろです。脚本家、神話研究者、起業家、コンサルタント、マーケッター、ブロガー、内容はそれぞれです。
その中の一冊、Googleのデータアナリティックチームにデータの結果のプレゼンテーションの仕方をコンサルティングしていた人の本が参考図書であげたStorytelling with data (Cole Nussbaumer Knaflic)です。
ストーリーテリングについての部分は今一つですが、プレゼンするためにどのようにデータをグラフにするべきかが参考になりました。
前提
以下の2つは何よりも重要ですが、グラフの書き方より前の問題なのでここでは述べません
- 誰に訴えるか
- 訴える主要なメッセージは何か
この2つが何より重要ですが、ここではグラフを描く前に整理されている前提とします。
大事なこと
- ストーリーの目的を考える
- デザイナーの目を養う
- ツールは手段、よいグラフを決めるのはあなた
ストーリーの目的を考える
よいグラフとは結局よいストーリーを作るグラフ、すなわち、訴求すべきポイントをわかりやすく伝え、ストーリーを見た人に望ましい行動を起こさせるものです。
行動が起こらなければプレゼンをする意味がないからです。
何を主張するためのグラフなのかを考え、主張すべきところをわかりやすく強調し、そうでないところを省いたり目立たなくしたりします。
デザイナーの目を養う
強調と省略にはデザイナーの目を養うことが有効です。
デザイナーの目を持てば、いろいろなことに気づき、また自分のクリエイティビティを発揮するができます。
ゲシュタルト心理学というのは人間は全体の関連性で認知をするという学問です。
全体の関連性とは、近接性、アライメント、コントラスト、繰り返し、などです。
近いもの、そろっているもの(大きさ、フォント、色、左や右のアラインメント)をまとめて認識し、コントラスト(色、大きさ、フォント)のあるものを対になって認識します。
日常生活の中で、何がそろっているか、何がコントラストされているかに気づくことは人生の楽しみを増してくれます。
ツールは手段、よいグラフを決めるのはあなた
Excelなどの表計算ツールによって非常に簡単にグラフが作れるようになっています。
しかし、それは罠です。
簡単に作れることはよいグラフであることを意味しません。表計算ソフトを作った人はあなたがそのグラフで何を訴えるべきか、を知らないからです。
グラフでやるべきことは:
- いいたいことを真っ先に簡単にわかるようにする
- いいたいことに関係ないことを画面から消し去る あるいは 目立たなくする
具体的な例
具体的な例を3つあげます
- 数字だけにする
- 折れ線グラフにする
- 一部を省略する
数字だけにする
以下の棒グラフでいいたいことが20%としかいないというだとすれば
直接数字を大きく書くほうがインパクトがあります(以下に示す)。
折れ線グラフにする
単に棒グラフにしてもメッセージは明確にならない。
増員が必要というメッセージをトレンドで示すなら折れ線グラフ。
担当者が辞めたことによりチケット処理量が受付量を5月から下回っているということを示すことができます。
イベントの事前、事後のアンケートなどもそれぞれ円グラフで示すよりも前後を折れ線グラフで示すほうが、イベントの効果を明確に訴求できます。
一部を省略する
データを表示することもExcelなら簡単にできます。
5月に辞めてからチケット処理数が受付数を下回っているということを言いたいいのなら、4月以前のデータは要りません。
棒グラフなどでも必要のないところはグレーアウトするなどをして、言いたいポイントをハイライトします。これによってストーリーがより明確になります。
まとめ
- 聴衆に対して言いたいメッセージを明確化する
- 言いたいことに絞って適切なグラフを選択する
- グラフの中でもハイライトやグレーアウトで言いたいメッセージをコントラストによって明確化する
付録:使ってはいけないグラフ
先にやってはいけないことを紹介します。
- 円グラフ
- 3Dグラフ
- スパゲティグラフ(折れ線がたくさんあって何がなんだかわからないグラフ)
人間は平面の面積を正確にとらえることはできません。
円グラフは正確な比較ができないのでメッセージを伝えるには棒グラフのほうが向いています。
また、3Dグラフは遠近がついた分だけさらに比較が難しくなるうえ、3Dの分だけ軸や目盛りとのアラインメントがずれるのでおすすめできません。
手前の赤が大きく見えるのがわかると思います。
スパゲティグラフは折れ線がからまりあって、要するに何が言いたいのかが一目でわからないグラフ(以下参照)です。
何かがあがっているとか下がっているとか言いたいことに絞ってグラフを可視化し、それ以外のところをぼかす必要があります。
#付録2:経験談
この本に書かれていたハイライトしたり省いたりする例の一部はGoogleプレゼンテーションではやりかたがわからなかったので、Excelにダウンロードして作りました。そこが少し悲しい。