はじめに
普段自分がよく使用しているMacのツールをまとめました。
今回はあくまでも「デスクトップアプリ」が用意されているものに対してのまとめになるため、Webサービスだけのものは含めていません。
また、特定の開発領域に必要になるツール類もここでは紹介していません。あくまで汎用的なものに限定しています。
注目!Mustで入れておきたい
Raycast
ざっくり
ランチャーアプリ。
Alfredなどが対抗としてありますが、Raycastは無料です。
クリップボード履歴・アプリ起動・クイックリンク・簡単な計算・簡易的なスニペット・画面分割などなどがすぐに操作できる。キーボードでMacを操作する範囲を広げるためにはマストでほしいです。
後述で書くKarabinerのHyper Keyという概念と組み合わせることによってショートカットキーが衝突問題から解放されます。
こんな悩みが解決します
- アプリを毎回ドックから選んでクリックしている
- Aコピー→Aを貼り付け→Bコピー→Bを貼り付け、といったコピペ作業を繰り返し実行している
- 仮想デスクトップのどこにアプリを置いたか忘れてしまい、何度も仮想デスクトップ間を行き来してしまう
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実は以前Zennの方で記事として書いています。拡張機能などもまとめているのでぜひ参考にしてみてください。
Karabiner-Elements
ざっくり
キーマップ変更アプリです。
簡単にキーボードのキーマップを変更できたり、普通はできないようなEscape
キーを入力したら英数キーも送信する、みたいな細かいワークフローを設定して使用することができます。
同梱されるKarabiner-EventViewerはキー入力などのイベントがログ形式で見られるので、慣れないキーボードやHHKB無刻印のようなどのキーがどの動作をするかが分からないときに意外と便利です。
こんな悩みが解決します
- 最適なキー配置が頭の中にあるのに、それを今のキーボードでは再現ができない
- JIS配列だけど、US配列のように使いたい
-
Spacebar
とLeft Shift
キーを入れ替えたい - 親指に
Enter
を置きたい -
CapsLock
を使ってできる幅を広げたい - vimの練習のために矢印キーの割当をアプリ強制終了にしたい
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こちらもマニアックですが、実は記事を一本執筆しています。
ここで伝えたいのは CapsLock
をright Command
, right Control
, right Option
, right shift
の同時押しに変更する設定ができる、ということです。(これを Hyper Keyと言います)
この設定ができると何が嬉しいか?
それは、ショートカットキーを極力衝突させないようにグローバルショートカットキーを設定できるということです。
最近のアプリはショートカットキー対応が多く(嬉しいことですが)グローバルショートカットキーを設定するとすぐに衝突します。
その結果イマイチショートカットキーを設定できない・・・という人も多くいると思っています。そこでこのHyper Keyを使うことで、指定したアプリを一発で開けるようになったり、特定の動作(例えばTodoリストのクイックTodo追加など)を気軽に設定することができます。
そして、この機能はRaycastとの相性が抜群です。Raycast はアプリに対してショートカットキーを設定できたり、特定のアクションに対してショートカットキーを設定できます。
つまり、HyperKeyを用いてショートカットキーを登録することで、自分だけの便利なショートカットキーが衝突せずに設定できるということです。
ぜひ試してみてください。
Arc
ざっくり
Chroniumベースのウェブブラウザアプリです。
SidekickやBiscuitを使っていたが、イマイチしっくりこなかった人向けのプロダクトです。
上記プロダクトでは解決できない小さな不満がありましたが、Arcではそのストレスを解放してくれます!
こんな悩みが解決します
- Slackで共有されているリンクを踏んだとき、別仮想ウィンドウで開いているChromeに移動してしまい、Slackを見つつリンク先を見たいのに画面遷移してしまうのがストレス
- 仕事用のプロファイルとプライベートのプロファイルを使い分けているが、別ウィンドウで立ち上げる必要があり、いちいち使い分けがめんどくさい
- Slackで共有されているリンクを踏んだとき、仕事用プロファイルで開いてほしいのに、プライベート用プロファイルで開いてしまってストレス
- タブ地獄に埋もれてしまっている
- ダークモードがないサイトにダークモードを適用したい
- タブの名前を変えておきたい
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あまり公式サイトでは「実際どんなプロダクトなの?」というのがなかなか分かりづらい構成になっています。こちらでリリースノートが見られます。
Arcはおしゃれなのはもちろんですが、今までのブラウザ体験の中で痒いところに届いてくれます。
今はwaiting list方式ですが、既にArcを使用している人がいればギフトコードを発行してもらえるので、ぜひ試してみてください。
Raycastの拡張も用意されており、接続はバッチリです。
1Password
ざっくり
パスワードマネージャーアプリです。
「今の時代パスワードなんて、Chromeで勝手に保存してくれる」と感じてしまいますが、開発者にとって嬉しい機能が今は増えています。
また、まとめてパスワードを管理できる利点は大きく、家族で共有する情報だったり、流出してしまったパスワードだったり、セキュリティリスクのあるパスワードはひと目でわかります。
こんな悩みが解決します
- 同じパスワードを使いまわしている
- 家族間で共用アカウントのパスワードやクレカ情報を共有するときに面倒がある
- セキュリティリスクが高いアカウントをひと目で確認したい
- APIアクセストークンを管理したい
- SSHキーをGUIで管理したい
- 生体認証でSSHエージェントを使用したい
- Gitコミットに署名するのを気軽にしたい
- 2要素認証をするために、毎回スマホの認証アプリを開いてワンタイムパスを入力している
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1Passwordをブラウザのパスワードマネージャーと同等なものと思っているのであれば、すぐに考えを改めましょう。
昔よりも1Passwordは進化しています。機密情報を本当に機密にしたいのであれば早急に使うほうがよいでしょう。値段もそんなに高くありません。
開発者視点的な1Passwordの使い方はこちらが参考になると思います。
漏洩してからでは手遅れです。手遅れになる前に対策できるところは対策しましょう。
Obsidian
ざっくり
オフラインで動作する個人用ナレッジベースです。(パーソナルナレッジマネジメントと言います)
簡単なメモエディタ(マークダウンエディタ)ではなく、リッチなメモエディタでもあります。
最大の特徴としては、メモ同士を紐付ける(ウィキリンク)を使用することによって知と知を繋げるメモを構成していけることです。
似たようなアプリは複数登場していますが、Obsidianがコミュニティ拡張機能が使えたり、テーマが豊富にあるので重宝しています。
そして、無料です。
こんな悩みが解決します
- メモを書いてはいるが、「ただのメモ」でありメモを取ってから見直すことはない
- 本を読んでいるが、いまいち読んだ気もせず、理解しているかどうかも怪しい
- vimで書けるメモエディタが欲しい
- 言語化はできていないが、漠然とメモを取るという行為が継続しない
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Obsidianに関係する記事はいくつか書いております。
また、Wikiに対する設計原則を学ぶことでより理解が深まります。
ObsidianやObsidianのコンテクストにあるパーソナルナレッジマネジメントに対する理解は以下の書籍を参考にしてみると深まると思います。
実際にどういうふうに使うの?というイメージが沸かない人向けとして、Obsidianを使ってブログを公開している方がいらっしゃるので、見てみてください。
Fig
ざっくり
ターミナル補完アプリです。
シェルコマンドなどをzshで補完してくれるツールはありますが、こちらはIDEのように補完を出してくれるツールになります。
また、プラグイン機能から簡単にzshがカスタマイズできたり、DotfilesをFig上で管理することも可能となりました。
色々なターミナルアプリで動作する優秀なアプリであり、使っていて非常に快適です。
ぜひ使ってみてください。
こんな悩みが解決します
- 「あのコマンド何だっけ・・・?」が多発しているのをなくしたい
- とりあえず癖で
ls
を打っている - コマンドは覚えているけど、オプションを忘れてしまう
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このツールに関しては触ってもらうのが一番はやいです。
インストールも難しくなく、ダウンロードして起動して、ターミナルを再起動すれば簡単に使えます。
こんなシンプルなGUIツールなのに驚くほど強力です。ぜひ使ってみて下さい。
TickTick
ざっくり
Todoリスト管理アプリです。
習慣トラッカーやポモドーロタイマーや外部カレンダー連携(カレンダービュー)、アイゼンハワーマトリクスなども使えます。
その中でもやはり特徴的なのは、シンプルなUIと外部カレンダーを統合して表示できる点です。
Todoリスト管理アプリは使う頻度が非常に多いです。なので基本的に機能はシンプルで認識コストが小さいほうが長持ちします。
運用コストもできるかぎり下げて、シンプルにするほうがいいです。その点でTickTickは必要最低限のところをカバーしながらも、外部カレンダーを取り込めてひと目で見ることができるので非常に便利です。
こんな悩みが解決します
- Todoリストアプリを使ってみたけど、運用がうまく続かなかった
- 仕事Googleカレンダーと個人Googleカレンダーを統合して見えるようにしたい
- 習慣トラッカーとTodoリスト管理アプリを一緒にしたい
- スマホで簡単に見たい
- 機能自体はシンプルだけど、細かい部分に手が届かせたい
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Todoリスト管理もある程度の習熟度が必要であり、できる限り運用コストを下げるように構築したいものです。
その中でもGetting Things Doneの手法は運用コストも低く、整理術としては優れていて、考え方がさまざまなツールに応用ができるコスパのいい考え方です。
ここをベースにTickTickのリストを構築してみて、更に週のふりかえり等で自分なりの使い方を模索していくとよりツールの運用レベルは高まり、高度なこともできるようになっていけると思います。
肝心なのは最初から完璧にレベルの高いものをやろうとしないこと。これはツールにおいてすべてに言えることです。
包丁もツールの1つですが、基本的に「切れれば良い」です。華麗な包丁さばきなどは慣れてから身につけていけばいいものなので、デジタルツールにおいても「切ること」をこなすことから慣れていきましょう。
また、スクラムと個人単位の行動管理をかけあわせたAtomic Scrumの考え方も非常に参考になるので参考にしてみるのがオススメです。
Raindrop
ざっくり
ブックマーク管理アプリです。
Chromeでいうリーディングリストを使っていたり、読みたい記事をブックマークしているといつの間にか溢れて行ってしまいます。
そこで、このRaindropを使うことで効率的にブックマークを管理することができます。
特徴的なのが、ブックマークをカテゴリのようなもので分けられる(コレクション)のですが、このコレクションのRSSを取得することができます。
埋め込みもできたり、コレクション単位で共有・Web公開することもできます。しかもここまで出来て無料です。
もちろんエクスポートもできます(HTML, CSV, Text)
以前はPocketなどを使っていましたが、なんとも言えない使いにくさがありすぐにやめてしまっていました。
しかしraindropならUIもシンプルで使いやすいので、煩雑化せずに定期的にお手入れをしてあげることでブックマークを管理できます。
ぜひ使ってみてください。
こんな悩みが解決します
- ブックマークが色々なところに散らばっていて、どこに何があるかが分からなくなってしまう
- 「あとでよむ」をした記事をあとで読まない
- 読んだ記事を後から見返したときに「どうしてブックマークしたのか」を知りたい
- 他の人にもブックマークを共有したいし、ブックマークしたらRSSで流してほしい
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このツールも使い方が非常にシンプルで強力です。なので、実際に触ってもらうほうが早いと思います。
このツールに出会うまでは、Obsidianに一時的にリンクを保存したり、NotionにWebクリッパーを作ったり、Pocketに保存したり、色々試していましたが結果的に続いていませんでした。
しかし、Raindropの場合は後から整理する楽さとブックマークする楽さ、そしてRSSを配信してくれるので他の人への共有する楽さ、と痒いところに手が届いてる上に無料で機能をほとんど使用できるため継続して使えています。
Obsidian, TickTickと来て、やっと最後のピースが揃った!と感じたツールです。
使い手を選ぶけど、強力なツール
Homerow
ざっくり
Vimmer向けのウィンドウ操作アプリです。
VimのEasyMotionが通常アプリでも使えるようになります。Vimnumの拡張版といったほうがイメージしやすいでしょうか。
このアプリがあれば、マウスがなくてもGUI操作が可能になります。
しかし、欠点としてウィンドウにフォーカスが当たってないと対象にならないというのがあります。
そこで、Raycastです!
Raycastを使ってオーダー1でアプリにアクセスし、そのアプリでのGUI操作はこのHomerowを使用します。そうすることでマウスへの手の移動がなくなり、ストレスフリーになります。
さらにKarabiner-ElementsのHyperKeyも使用することでCapsLock + A
でObsidian起動/フォーカス, CapsLock + E
でArc起動/フォーカスなどをスムーズに行うことができます。
Homerowを起動するショートカットキーも衝突しやすいので、CapsLock + S
や`CapsLock + ;
に配置することでホームポジションを崩さずにショートカットキーを押すことが出来ます。
これまでのツールはすべて繋がっています。ぜひ試してみて下さい。
こんな悩みが解決します
- キーボードとマウスで手が行き来して疲れる
- ちょっとしたスクロールとかならキーボードで完結させたいし、vimライクがいい
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「ざっくり」でも書きましたが、RaycastとKarabiner-Elements(HyperKey設定)を組み合わせるのがこのアプリを効果的に使う鍵です。
Mustで入れておきたいツールはぜひ入れておきましょう。
あると便利かも?ちょっとした不便解決系
BetterTouchTool
ざっくり
トラックパッドを使いやすくするツールです。
自分はトラックパッドではなく、トラックボールマウス派なのでさほど細かい設定をして使ってはいないのですが、ウィンドウを画面横にドラッグして、画面半分にする(Windowsみたいに)ケースなどで使うことが多いです。
こんな悩みが解決します
- トラックパッドのジェスチャーがMacデフォルトより多く、細かく設定できるので、トラックパッドをより便利に
- Windowsのようにウィンドウを吸い付きさせたい
CleanShot X
ざっくり
スクリーンショットアプリです。
デフォルトでもスクリーン機能はありますが、そのスクリーンショットよりも更に機能を強化して色々使えるようになるアプリです。
スクリーンショットに見やすい文字をサクッと追加したいときや注目してほしいところだけ明るくして、その他に少しマスクをしたり、モザイクを付けたり・・・
小さい手の届かない痒いところに手を届かせるアプリです。
注意点としては、買い切り型が有料なのとくサブスクでしか使えない点です。
こんな悩みが解決します
- スクリーンショットがデスクトップに散らばるのが嫌だ
- 前に取ったスクリーンショットをすぐに復元させて使いたい
- ちょっとおしゃれなスクリーンショットを撮って共有したい
Gather.town
ざっくり
リモートオフィスツールです。
Google MeetやZoom, Discordと同じようなものだと捉えてしまうととてももったいないツールです。
「同じ時間に同じ場所にいる」この感覚を得られる画期的なツールだと思っています。
iTerm2 / Warp
ざっくり
ターミナルアプリです。
自分はFigを使っている関係上iTerm2を使用しています。
Warp or iTerm2 + Figが主な構成になると思います。WarpはWarpで使いやすいところがあるので、ここは完全に好きな方を選択すると良いと思います。
Amphetamine
ざっくり
スリープモードに移行しないモードにするためのアプリです。
セキュリティ的に良くないため、オフィスで使うのは厳禁ですが、自宅などでちょっと長いトイレに行ったときにスリープモードを切らさないために使うと便利です。
あんまり使う機会ないかも・・・。
Miro
ざっくり
ホワイトボードアプリ。
ちょっとしたワークショップが作れたり、ふりかえりで使えたり、何かフローを考えたり、説明するときに図を通して説明できたり・・・。
オンラインで仕事をする上では欠かせないフローチャートツール。
気になっているもの
Linear
ざっくり
プロダクト管理ツール。
このツールのコンテクストにある考え方としてLinear Methodというものがあります。
このツールの思想はこれまでのプロダクト管理の考え方と一線を画すもので非常に興味深いが、難易度や開発・製品チームのステップアップが必要そうだと感じました・・・。
元々BigTech出身の人たちが集まって考えている上、Arcのようにユーザーエクスペリエンスに力を入れているアプリが生まれている以上いい方法なんだろうなぁと思っています。
おわりに
Raycast + Karabiner-Elements(Hyper Key) + Homerowの組み合わせは非常に強力で、ぜひキーボードで操作する手段を増やし、快適にMacを操りたい人は試してほしいです。
また、Obsidian + Raindropを使用したナレッジ管理も体感してみてほしいです!
ツールはそれ単体だけでなく、掛け算でより輝く