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コミュニティ運営において自分が考えていること

Last updated at Posted at 2022-12-01

はじめに

ねこプロのDiscord運営に携わっているやむです。

もともとねこプロはSlackで運営されていたコミュニティでしたが、Slack無料プランの改変を機にDiscordへ移行するという歴史があります。

その過渡期をいい機会に「もっとコミュニティを楽しく、気楽に集まれる場にしたい」という想いから運営に携わりました。

現在はメンバーのみなさんが精力的に活動していただけているので、自分が表立ったことをする機会は以前より減りましたがもっと盛り上げていければなと考えています。

今回はその過渡期から「どんな考えで」「何を大切にして」「何を意識して」携わってきたのかをお伝え出来たらなと思います。

ねこプロ以外の方においても、プログラミングコミュニティなどの運営に携わる方へのノウハウとして伝わることを願い、今回はQiitaへ寄稿させていただきます。

コアコンセプト

透明性

ねこプロがDiscordに移行してから透明性に一段と力を置くようになりました。

ここにおける透明性とは「コミュニティサーバーを変える作業や意思決定はオープンに行う」という点や「何が変わったのかを告知する」ことです。

「なにか改善案あれば言ってください」
「う〜ん、こここうするとかどうですか?」
「あ〜前にやったんですが〜・・・」
「そうですか・・・(もう提案やめよう・・・)」

となり、折角の提案に対する無力感を避けるための透明性です。

また役割における情報の偏りを避けるためでもあります。

基本的にコミュニティメンバーが持つ情報は限りなくフラットである必要があると考えています。

透明性が高まれば、メンバーのコミュニティに対する解像度は高まり、より改善アクションをかけやすくなる。

これがねこプロにおけるコンセプトの1つである透明性です。

自己組織化

ねこプロ自体を「自分の居場所」と思ってもらえるような工夫を忘れないように心がけています。

コミュニティにおいて最大の課題点というのは「当事者意識が芽生えない」ことだと思っています。

当事者意識を持っていないと、コミュニティが廃れてきてしまった時に人はどんどんコミュニティから離れていってしまいます。

コミュニティは「ショー」ではなく「お祭り」です。内輪だけで盛り上がるのではなく 「参加者全員と一緒に盛り上がる」 そのような設計になるように工夫をしています。

ところで一体どうやってメンバーの当事者意識を高めていくかです。

愚直に「○○さん、当事者意識持ってないでしょ?もっと出してよ」と言ってしまっても逆効果です。(当事者意識は他人に言われて芽生えるものではありません)

言われた側の気持ちになって考えてみると「もっと真面目にやれ」「もっと参加頻度を高めろ」「行動で見せろ」と言われているような気持ちになり、義務感がより強まってしまいます。

義務感当事者意識と対立の関係にいると思っています。義務感が強まれば強まるほどやらされている感を実感し、コミュニティを離れていってしまいます。

そこで、ねこプロでは透明性を高めると共に誰もがねこプロを良くしていくための行動ができる設計にしています。

みんなで運営というチャンネルがあり、そのチャンネルで誰でも気軽に「こうしたらもっと良くできるんじゃない?」と発言ができるように設計しています。

また内輪での盛り上がり、新しくコミュニティに参加された方を拒まないようにチャンネルを細分化しています。

チャンネルを参入時期やエンジニア歴で細分化することで「このチャンネルはこの人達に占領されている」場合が起きたとしても「こっちは占領されていないから、こっちで話そう」と意識を向けてもらうための工夫です。

しかし、まだまだ改善点は多く、上手く巻き込めるような設計になっていないなどの課題があるため、よりみんなで改善をしていく姿勢で取り組んでいく必要があるのかなと考えています。

『楽しさ』ファースト

コミュニティが楽しくない場になってしまったら終わりだと考えています。

  • 何かを発言しただけで咎められる・詰められる
  • 冗談を言っても冗談だと捉えてもらえない
  • コミュニティに顔を出しても疲れるだけ
  • 同調圧力があるから疲れる
  • ちょっと世間話したいのにマウントされる

そんなコミュニティに滞在したいと思いますか?

自分は居たくないです。

そのため、マイナスになるような発言・マウント発言・その他『楽しさ』を低減させる発言については敏感に対応しています。

ねこプロ内で『楽しい』と思えるコミュニティイベントを開催できたら良いと思っているのですが、なかなか予定を計画することができていません。

コレは自分が先の未来を立てるのが苦手という面が作用していますが、どうにか1週間前くらいには企画し、人を集められるようにしたいところです・・・。

メンバーの成長

ここでの「メンバー」には自分も含まれています。

仮説・実験・学習

運営に携わっている身ですが、「仮説・実験・学習」のサイクルを回してねこプロを改善していくことを考えています。

「〜したら良くなるかも」
「とりあえずやってみよう」
「ダメだった〜何がいけなかったのか振り返ろう」

このサイクルを運営レベルでやっています。「まず失敗しよう!」というスタンスから始め、課題が浮き上がってきてから解決へ望んでいます。

やる前から「それはきつい」「それは難しい」と考えていても結果がわかりません。

「とりあえずやってみる」このマインドで行っている以上、「こうしたら良くなるかも?」の提案で「良くならなかった」としても、それは「学び」なのです。

そこから何が原因で上手く行かなかったのか?なぜうまく行かなかったのか?そこを振り返ることで次に取るアクションがうまくいく可能性はぐんと高まります。

たくさんチャレンジし、たくさん失敗し、たくさん学びをぜひねこプロで得てもらいたいと考えています。

同士を増やしていく

コミュニティ運営で得た自分の学びを他の方々にも伝えるようにし、時には自分んの代わりに進行をお願いすることもあります。

自分がある程度手本として型を見せ、委任した際には自由にやってもOKですが困った時は手本の型を参考にしてね。という設計にしています。

コミュニティイベントをそもそもそんなに開けていないため、なかなかこの同士を増やす活動も出来ていないのが課題ですが、積極的にこれからも行っていく活動です。

この同士を増やしていく活動により「当事者意識」は更に強まり、自主的なアクションを起こしてくれます。

自分はまだまだ理解が浅く、良い設計にできているとは言い切れない部分ですが、これからももっとより良くしていきたいです。

ちょっとした工夫

行動分析学の好子

行動分析学の観点から『好子』により力を入れています。

『好子』とは、前向きな行動の直後に「出現」することで、その「行動」を強化させる機能を持つものです。

たとえば「勇気を出してチャンネルに初めて発言してみた!」時に絵文字が何もつかなかったり、返信がないなどの反応がないとその人は発言するという行動を取らなくなってしまいます。

そこで、Discordのbotなり自分の人力によって気がついた時、誰かの発言に対してリアクションは必ず付けるように意識をしています。

この行動が「好子」です。

発言の結果、行動を強化させる「好子」を何らかの形で表現するように心がけています。Botはその運用コストを下げるための施策であったりします。

逆に好ましくない発言があった場合には基本的に好意的な反応は行わないようにしています。

これは、好子の「消去」による行動の弱化を期待しての行動です。

人によって何が「好子」になるかは変わるため、はっきりと効果があるということは言えないのですが、この点を意識するようになってからみんなチャンネルで発言してくれるようになったと実感しています。

小さいコツコツとした工夫ですが、効果は絶大です。

心理的安全性

コミュニティにおける心理的安全性を高められるかどうかで発現頻度や込み入った話ができるかに関わってきます。

少し技術的な質問をしたときに無知を咎められたり、知らないことを驚かれたりすると心理的安全性をグッと下げる要因になります。

心理的安全性が低い場になってしまうと「楽しさ」が失われてしまい、ひどく窮屈な場になってしまいます。

もっともっと自分から心理的安全性を高める言葉や発言、そして失敗している姿、どんなに初歩的な質問でも問題ないことを訴求していく必要があるかなと感じています。

世界観

ねこプロをより「ねこ」らしく感じられるようにDiscordのチャンネル名やロールにてねこ要素を入れられるように頭を捻っています。

ねこプロなのに「ねこ」要素が皆無・・・!となってしまったらそれはもうねこプロではありません。

「ねこプロ」の世界観を作りつつ、その世界においてはどのねこもフラットなんだよ・・・!という意識を作り上げられたらいいなという想いで時には「寒い・・・」と思われる命名を行っています。

最近は世界観が少なくなってきてるかも・・・。アイディアマン一緒に考えてください!

ねこプロのミライ

課題感として

  • 今後イベントや普段の活動において障壁を下げるための心理的安全性を高める工夫が必要
  • メンバー間を繋ぐためのコミュニティイベントが少ない(オンラインも)
  • 新しい人が入った時に馴染みやすい構造になっていない

という点があり、どう一緒に動いてくれる同士を作っていくかを考えていたり、どうしたら心理的安全性を高くすることができるのだろうか?という点でも考えています。

ただそんな課題があっても義務感で対応することはなく

「こうしてみたらもっと面白くなるんじゃないか」
「こうしてみたらみんな楽しめるんじゃないか」
「こうしたら解決するんじゃないか」

といったように仮説を立ててそれが合ってるのか間違っているのかを確認するために僕自身が、自主的に行動していることが多いです。

おわりに

もうお気づきかもしれませんが、自分の運営方針としてはスクラム・アジャイル的で、さらに言うとManagement 3.0の考え方に基づいて運営していくことを意識しています。

そもそもManagement3.0への理解が浅いため、まだまだ至らぬ点が多く上手く行かない部分もありますが、それも楽しみながら自分はねこプロへ尽力しています。

1年前のねこプロと比べるとかなり皆さん活発的になり、少しずつですがねこプロを「自分の居場所」 と思っていただけているなと実感を持てています。

所属するコミュニティの数を増えると人の幸福度は高まります。

ぜひねこプロを「自分の居場所」だと感じられるようにメンバー全員でカイゼンのアプローチを取れていきたいと考えています。

持続可能なコミュニティを体言するため、これからもどうぞ皆様よろしくお願いします!!

P.S ねこプロを運営していく中で一番成長しているのは自分ではないのかと思うくらいリターンを感じています。(みなさま、ありがとうございます!)

参考資料

アジャイルリーダーシップ: 変化に適応するアジャイルな組織をつくる

組織3.0または Management 3.0と呼ばれる分野のマインドセット・考え方を適用するためにインプットを行っています。

心理的安全性のつくりかた 「心理的柔軟性」が困難を乗り越えるチームに変える

心理的安全性の部分で参考にしています。好子の概念はこの書籍から初めて知ることが出来ました。

最高のチームはみんな使っている 心理的安全性をつくる言葉55

思考を伝えるインターフェイスとして言葉は最大のタッチポイントになります。
そのため、言葉遣いについては人一倍気をつけるようにしています。こちらの本で思考・言葉をポジティブにできるのでとても参考になっています。

問いかけの作法 チームの魅力と才能を引き出す技術

ある意味でチーム・コミュニティに尽力するきっかけになった一書です。まだまだHowとして自分の中で落とし込むことが出来ていないのですが、イベントのファシリテーションなど行う機会では積極的に使えるよう頭をフル回転させています。

コミュニティ・オーガナイジング――ほしい未来をみんなで創る5つのステップ

少し社会的活動家寄りの書籍になりますが、コミュニティの「当事者意識」を育むためのエッセンスを学ぶことが出来ました。
ねこプロで実用できているか?と聞かれたら微妙ですが、確実に自分の考え方の中の1つの要素となっています。

ユーザーストーリーマッピング

一見関係のないような書籍ですが 【最低限生き残るためのプロダクトを作るために必要最低限のことをやる】 という考え方はねこプロの中でも大きく活かされているように感じます。

ファンをはぐくみ事業を成長させる 「コミュニティ」づくりの教科書

Howがたくさん載っていて具体的だったのですが、そのままねこプロに適用することは難しかったです・・・。一旦引き出しとして頭に入れておくくらいで考えています。


これから読む参考資料

マネージング・フォー・ハピネス——チームのやる気(モチベーション)を引き出すゲーム、ツール、プラクティス

こちらはまだ記事執筆時点では参考に出来ていないのですが、今後はこのゲーム・ツール・プラクティスを用いて、もっとコミュニティが楽しくなるようにイベント企画などを目論んでいます。

マネジメント3.0  適応力の高いチームを育むための6つの視点

包括的に読みマネジメント3.0というものを理解し、ねこプロに活かしていきたいと思っています。年内には読みたいです…。

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