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知的・技術的進歩のスピードを限界まで加速するノートアプリ『Heptabase』

Last updated at Posted at 2024-04-27

はじめに

1年半ほどObsidianというノートアプリを使い、Qiitaにも記事を3つほど公開をしていました。

確かにNotionやEvernoteとは違う感覚のノートアプリであり、双方向リンクを利用したグラフで繋げていくノートに当時は感動を覚えました。

その反面、Obsidianを百パーセント有効に活用できていたかと聞かれると「はい」と答えることは難しいと感じています。がんばらないObsidianノート術の記事はまさにその一角であり、Obsidianの拡張性と自由度に翻弄されてしまわないように書いた記事です。

1年半を通して紆余曲折した中、先日新しいツールとの出会いがあり、自分に合うツールを見つけられたこともあり、ここに知見として記事を残そうと思います。

Obsidianで感じたモヤモヤ

従来ノートアプリの難しさ

従来型のノートアプリ(Apple Notes, Evernote, Google Keep)は気軽にノートを取ることはできます。しかし、蓄積するだけでノートを使用して洞察を得る、といった体験が難しい現状があります。

また、以前書いたノートを見返した時に「このノートを書いた時の文脈」や「なぜこのノートを書いたのか」ということを忘れた状態で見ることになります。書いた当時は簡潔に書いたつもりでも、後で見返してみると何が書いてあるのかが分からず、メモ自体を廃棄してしまった人も少なくないのではないでしょうか。

そして何より難しいのは、フォルダベースの階層構造です。階層構造が深くなればなるほどアクセス性は低下し、ノートは見つけにくくなります。 また、こうもり問題のような難しさも発生し、ノートを書いて情報を蓄積したいというのに、分類に時間を使わされてしまうという煩わしさもあります。

Obsidianはその階層構造を排除し、メモ同士を双方向リンクさせることによって大きなグラフを作り、メモ同士の繋がりから知識の繋がりを表現しました。 このアプローチはとても素敵であり、元来のWikiパターンとしてとても機能していました。パターン、Wiki、XP ~時を超えた創造の原則を通してルーツを知った時、とてつもない感動を得ました。

しかし、Obsidianの大きなグラフを通して気付いた点は 「メモの方向感を見失いやすく、更にメモを見つけにくくなる」 ということでした。Obsidianのグラフビューはメモが溜まっていくと圧巻になるものの、グラフビューから実際にノートを辿るといったアクティビティは行われず、どんどん大きくなるにつれて、どのノートとどのノートがどういう関係性があるのかが分かりにくくなってしまいます。

最初こそ感動したグラフの考え方でしたが、自分の手には余る存在となっていきました。

ビジュアル的な分かりにくさ

Obsidianのグラフによる関係性が自分には少し難しく感じていました。自分の最近の思考スタイルとして、MiroやObisidnaのCanvas機能を使用して広いワークスペースの中でノートを移動させたり、関連付けたり、グルーピングして考えることが多く、そのようなスタイルをもっと快適に出来ないかを悩んでいました。

基本的にObsidianではMarkdownでのWritingが基本となるので、Canvas機能は主機能ではなく、俯瞰してしまうと文字がSkeltonになってしまい視認しにくくなるといった点からもあまり活用自体は出来ていませんでした。

ノートリファクタリングの難しさ

ObsidianではNote composerといった機能があり、デイリーノートに書き溜めたナレッジをリファクタリングし、アトミックなノートにしていく、 というワークフローがあります。このワークフロー自体は人間の行動心理に適していて、素晴らしいアプローチだと思いつつも、リファクタリングした後のノートがデイリーノートにリンクが残るだけで、どこの概念と紐づけるかを迷ってしまいがちでした。

また、リファクタリング後のノートのタイトルも切り出したままの状態で放置されることが多く、他の概念との紐づけをなかなか行えていませんでした。

ツールとしての難しさ

Obsidianはハッキリといって難しいツールです。Notionも自由度が高く難しいツールだとは思うのですが、Obsidianはもう一段階難しさがあります。

その難しさの正体として、以下があると考えています

  • Markdown Editorであること

  • Evergreen notes, Linking Your Thinking などの概念をベースにしている

  • 豊富な拡張機能と拡張性

これらの要素が組み合わさって「難しい」という感覚を我々に彷彿とさせます。

まず、Markdown Editorについてです。 普段からMarkdownを使用している人には全く苦にはなりませんが、もしMarkdownに慣れていない人が使い始めると必要以上に認知的負荷をかけてしまい、ストレスを感じてしまいます。

次に、Evergreen notesや Linking Your Thinkingの考え方です。 この考え方を前提にObsidianを使うことで最大限の効果を発揮することができます。この考え方はとても素敵であり、自分も強くインスピレーションを受け、自分の中のデジタルノート術の中でも根幹の考え方となっています。

アトミック・シンキングアトミック・リーディング (非常に面白いので別途一読してみてください)も読み、より理解度が高まれば高まるほど自分のノート術とのギャップやノートテイキングの概念の難しさに「ノートを取る」という行動へのハードルが高まってしまいました。その結果ノートを取る習慣は失われつつありました。

そして最後に、Obsidianならではの豊富な拡張機能とその拡張性です。 コミュニティプラグインを使うことでObsidianはより便利で、より自由に、より好きなものへカスタマイズすることができます。これは素晴らしいことだと感じています。

しかし、B面として難解な機能設定とカスタマイズに時間を費やしてしまう可能性があります。がんばらないObsidianノート術を見ても分かる通り、必要最低限の使用感を求めてチューニングを絞っても初めて使い始める人にはかなりの認知負荷となります・・・。

ある時Obsidianのデータが飛んでしまい、初期から設定をしなくてはいけない状態になった時に「何か拡張機能の設定が足りていない」感覚が自分の中でもやもやしたものとして残り続け、次第にObsidianから距離を置くようになっていました。

Heptabaseとは

Heptabaseとの出会い

Heptabaseというツールの存在をある日発見しました。この気になる存在への理解を深めていた結果、一言で言うとしたら”様々な情報ソースから知識カードを抽出し、自分の思考をホワイトボードにマッピングしていくことで既存の知識・アイデアを繋げつつ、新しい知識・アイデアを創造するツール” だと言えます。

Heptabaseでは主にホワイトボードカードを使います。様々な情報源からアトミックなカードを作っていき、そのカード同士を繋げたり、グルーピングしたり、構造化することで自分の脳を使って思考します。

視覚的にノートを捉えることに特化していて、単純なノートアプリというよりも、学習管理アプリといった方が近い印象になると思います。

似たようなアプリとしてScrintalAFFiNEがあります。今回はHeptabaseの体験が良いという噂(Heptabaseの第一印象 - evergreens)を観測し、採択しました。

Heptabaseの特徴

Heptabaseは(現在)非常に自由度が低いツールだと言えます。拡張機能はありませんし、テーマの変更もありません。必要最低限のノートを取る機能だけが備わっているといえます。

しかし、逆にその不自由さが良いと思っています。将来的には拡張機能のような自由度は実装される予定だそうですが、カスタマイズ性がないからこそノートを取ることに集中できます。

既に備わっている機能で取り立てて不便なところはありません。Importerもありますし、Exporterもあります。全体検索もありつつ、Task管理、Highlight機能もあります。

そしてエディターに関してはNotionにインスピレーションを受けていると公言している通り、Notionのような書き心地です。Notionのような文字を書いている時にメニューが出るほどではないですが、いわゆるブロックエディターでありスラッシュコマンドもあるエディターです。

Vimが使えないのは少しマイナスな気分ではありましたが、逆にVimが使えるObsidianがレアケースだったと感じています。

そしてこれがメリットであり、Markdownの経験が浅い人にもアプリをオススメしやすくなる点です。

価格

Obsidianは完全にローカルで使用する(もしくは独自のクラウドを使う)ようにすれば費用は無料です。これはすごいことです。

Heptabaseは以下の価格設定となっており

  • 月額プラン → $11.99/月(7日間のフリートライアル)
  • 年間プラン → $8.99/月(7日間のフリートライアル)

最安値でも月9ドル(約1400円), 最高値で月12ドル(約1860円)かかってしまいます。(その分クラウド同期サービスなのでiPad, iPhone, Android, PCすべてで同期されており、ローカルファーストなので変に時間がかかるといったこともありません)

しかし、自分の学習効果をより高めてくれるのであれば安い投資だと感じます。文献を読んで理解した気になってしまった知識よりも、文献を読んで概念に分解して、自分の思考で組み立てて獲得した知識の方がより理解度が高く応用できるからです。

なぜHeptabaseにしたのか

Heptabase Public Wikiの思想への共感

Heptabaseの思想として、「概念同士の関係性を創出し、自己の深い洞察を得るためにノートを作成する」 というものがあるように感じられます。

ノートを小さく分解することで「概念同士の関係性」を見つけやすくなり、自分自身でその関係性を見つけ出すことで物事を深く理解する、といった考え方に共感しました。

それに加えて、ノートを取っている時の思考プロセスを遡りノートの文脈を発見できたり、瞬時に理解できることが重要だと述べられており、その方面にも共感をしました。

Heptabaseではその関係性をマッピングしやすいホワイトボードであるマップや、ノートのバックリンクからホワイトボードへJumpできる機能など、より上記思想を支援する機能が備わっていて、よりプロダクトの価値が最大化されています。

「習慣を変える」ためにツールを変える

正直なところUI/UXを除いたらObsidianでも実現可能なワークフローであり、わざわざ乗り換える必要性はないようにも感じます。しかし、今自分が変えようとしているのはツールではなく、習慣であり、自己同一性(アイデンティティ)だと考えています。

人間の習慣は場所に依存しやすく、場所を変えるアプローチで習慣を断ち切れる可能性があります(家ではなく、カフェで学習する等)。

これがObsidianを使い続けるわけでなく、新しいツールを使う理由です。ツールを変えることで認識を変え、心機一転の場所で「自分はメモが取れる」という自己同一性により、新たなる習慣を身につけるためです。

AIの時代だからこそ、思考を大切にする

現代ではAIが登場し、ナレッジワークのレベルや幅の広さは大きく広がりました。基本的にAIが答えを出してくれる中、自分たちにできることとしては「AIから得られない情報をどう咀嚼して思考し、創造するか」が求められていると言えます。

他にも「AIから得られた知識が正しいかどうか」を審議し、現在の自分の状況に活用するための文脈を理解するスキルも求められています。この時代だからこそ、メモ以上に自分の思考を大切にし、より深い洞察を得て「知っている」から「理解している」状態に押し上げる必要があると考えています。

知識労働のライフサイクル

ナレッジワークには、「探索」→「収集」→「思考」→「創造」→「共有」 のライフサイクルがあります。

ブラウザを通して知識を検索し、Obsidianにメモを取り、記事を書いて、QiitaやZennに投稿する、といったライフサイクルを通してナレッジを発信します。

このライフサイクルをより快適にし、ツールを変えるスイッチングコストを最小限にするのがHeptabaseの目的です。

探索から収集

現代ではPDFやビデオ、オーディオ、画像、Webページ、書籍などの様々な形式で情報・知識は保存され、散らばっています。

これらの散らばっている知識を自分の手で構造化させ、その構造をつくるプロセスの中で知識をもとに思考をし、「理解」をします。

このプロセスをHeptabaseでは「アノテーションレイヤー」と呼んでおり、言葉通り注釈としてのカードをつくることで知識の構造化を行いやすくします。

現在ではPDFカードという、PDFのコンテンツからハイライトカードを簡単に切り出すものが提供されていますが、今後はビデオやオーディオ、画像、Webページまでサポートされる予定であり、より知識活動を行いやすくなると感じています。

PDFからカードを切り出す例

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カードからPDFの箇所へJumpする例

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収集から思考、そして創造

「収集」→「思考」→創造のライフサイクルをどう実現していくか?

Obsidianユーザーであればご存知だと思います。ジャーナル、いわゆるデイリーノートです。

Heptabase上ではジャーナルという名称のため、以下はジャーナルとして説明します。

このジャーナルは、毎日1枚作成されるノートであり、全てのメモを受け止める場所です。メモを書く時は「どこにメモを作ろうかな」「どこにメモを蓄積しようかな」と考えるのは無視できないコストです。

このコストが大きくなればなるほど、続けば続くほど、人はメモを取るのをやめてしまいます。このジャーナルを有効活用していくのはObsidianでもHeptabaseでも同様です。

ジャーナルに含まれるコンテンツ

ジャーナルに書かれるコンテンツは大きく分けて2つあります。

  • 「その日だけ重要で、長期的には必要ない」コンテンツ

  • 「断片的でありながら、将来に活用したり参照したりしたい」重要なコンテンツ

前者はTodoリストや使い捨てのその場限りのメモのことを指し、後者は自分の知識・知恵として長く参照し続けたいものになります。ScreenShotもその要素の1つです。

ジャーナルを見て、1日をふりかえる

ジャーナルには上記の2つの種類のコンテンツが入り混じっていて、そのままの状態で残しておくとノートとしての価値は半減してしまいます。

なので、1日の終わりにジャーナルを見直し、「これは残しておきたい」と思ったものをHeptabaseで言う「カード」に変換していきます。

そしてカード化したものをホワイトボードに配置していきます。 この時に他のカードとの関連性をマッピングしても良いですし、そのまま放り投げてしまい、次に新しい概念がStockされた時に見直す、といった戦法も取ることができます。

ジャーナルに書く内容は今回の本筋とは離れてしまうので深くは説明しませんが、自分の思考や感情、その刹那に持つ揮発的な情報を残しておくと資産になります。その日に話題となっているWeb記事や読んだWeb記事をリンクで貼り付け、そこに箇条書きとして一段下げてメモを書くのも良いでしょう。とにかく書く、この習慣が大事です。

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ジャーナルからホワイトボードへ「知識を集める」

Heptabaseの特徴的な機能として、ホワイトボードになっているMapという機能があります。このMapはLYTをご存知の方であれば Map of Contentsのことだと直感的に理解することができます。知らない方でも、「ノートをある意味のある塊にマッピングする場所」だと思ってもらえれば想像できると思います。

ジャーナルに知識をためた後、このMapに対してジャーナルから知識を切り出すことができます。

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この体験が非常に良く、1日のふりかえりとしてのジャーナル整理作業へのコストが格段と下がりました。

簡単にカードとして溜め込める上に、それをマップに配置するのが簡単なため、少しずつ溜まっていくカードを手入れするサイクルが自動的に仕組みで担保されています。これはシンプルな作りですが、正直なところ感動しました。人間が面倒だと感じる作業を楽しく視覚的にすることで、より行動を強化させるようにしたのです。

もちろんObisidianのような双方向リンクも存在していますし、ホワイトボード上でもメンションされているカード同士の線を表示するObisidianのグラフのような機能もあります。

しかし、Heptabaseでは双方向リンクを作りすぎることは推奨されていません。 必要のない場所でも双方向リンクを作りすぎてしまうと、本当に重要なリンクが目立たなくなってしまい、注意をひきにくくなってしまうため情報に埋もれやすくなってしまうのです。

とはいえ、有効に使えれば非常に効果的なものとなります。

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バックリンクはカードの下部に表示され、箇条書きのトップレベルにバックリンクがある場合はその子階層のメモも見ることができます。

そして、何よりこのカードが配置されているMap(ホワイトボード)も表示されているのが特徴です。ここの何が特徴なのかと言うとこの配置されたホワイトボードを辿ることで、このカードが配置された文脈を知ることができます。しかも視覚的であるため、一瞬で思い出すことができます。これがHeptabaseの強みです。 位置関係を通して刻まれる記憶は強力になるのです。

他にもHeptabaseではマインドマップをサポートしており、カードに対してもマインドマップを作成することができます。このマインドマップを使ってMECE的に構造を分解していっても良いですし、マインドマップで思考することが慣れている人はこちらを使うと良いでしょう。

そして、ジャーナルを通して作られたカードやPDFアノテーションから得られたカード同士を関連付けていくことによって、アウトプットの質を高めていきます。

この思考のプロセスは脳内で閉じていないので、デジタル情報としてデバイス上に存在しています。これこそが強みであり、人間が同時に多くのことを思考できるようになり、多面的で創造的なものを生み出せる瞬間でもあります。

今回このHeptabaseを使ってこの記事を執筆していますが、この記事がどのようなワークフローで書かれたのかも後述するので、参考にしてみてください。

以下はグルーピングを行った際の参考画像です。

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コラム: マップとカードをどう使うとより良いか

「マップとカードをどう使うべきなのか?」これは使い始めて第一に感じる疑問点だと思います。

マップはトピックごとの関係性を思考するための作業台であり、カードは思考を深めるための小さなカード(または付箋)のようなものだと考えると少しイメージが湧くかもしれません。

たとえば、マップを分けるとしたら以下のようなものはマップに切り出せるでしょう

  • バックエンド開発に関する知識

  • 会社運営、会社戦略、ビジョン、ロードマップ、組織にたいする 長期的な思考

  • 製品とユーザーに関するユーザーリサーチ

  • ユーザーの獲得方法、マーケティング

  • 好きな漫画、好きな漫画のシーン、個人ブログの記事

トピックの分け方は自由です。 自分が思考したいトピックの領域で分けます。カードはどのマップにおいても同期されていて、なおかつ何度でも配置することができるので、文字通り自分の思考の分だけ作って良いものになっています。

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このプロセスは多少時間がかかってしまうものの、学習の本質であり、自分なりの方法で概念を再構築することにより、理解し、構造を再構築します。

このマップがホワイトボードの視覚的記憶を利用し、自分の記憶を長期間空いてもすぐに思い出せるように手助けをしてくれます。

ただ注意として、マップも階層構造が強くなりすぎるとマップ自体を探しにくくなります。 この点だけは気をつけた方がよいでしょう。

次にカードについてですが、カードはできるだけ、「情報源から情報を切り出し、概念レベルでのタイトルを付けてカードとして扱う」 ようにしましょう。カードを概念レベルで切り出すことができれば、他の書籍やWeb、動画で言われている概念と結び付けられる可能性があります。

たとえば、今この「概念レベルでのタイトルを付ける」というアクティビティは他の場所では「自分の言葉で書き換える」と言われているかもしれません。

この時「概念レベルでのタイトルを付ける」というカードと「自分の言葉で置き換える」というカードは強く結びついているため、矢印で表現するかセクションでグルーピングをするか、カードの中にこのカードを入れるか、とどうやって構造化するかを思考します。まさに、このプロセスが一番重要なのです。

今ここで思考している時間こそが「理解するため」に必要なプロセスであり、このツールの最大の恩恵であると言えます。

コラム: Heptabaseを使って記事を書き上げるワークフロー

この記事は以下のようなステップで執筆されています。

ステップ1. 参考資料を集める

  1. 過去に作成した構造化されたカードを持つホワイトボードに作っていきます

  2. まず、ホワイトボード上でカードを範囲選択し、「すべてのリンクをコピー」をします

  3. コピー後、ホワイトボードの空白スペースに新しいカードを作成し、カードの一時的なタイトルを付けます

    1. そして、この新しく作成したカードに、コピーしたリンクを貼り付けます

ステップ2. アウトラインを計画し、文章を書き、相互参照を行いつつ書く

  1. カードを新しいタブに展開し、記事の構造をアウトライン化します

  2. アウトラインの下にリンク化したカードを配置していきます

  3. カードの内容をサイドバーで開きつつ、文章を自分の言葉で書いていきます

CleanShot 2024-04-25 at 22.53.18.png

つまり、右側にリンクから表示したカードを置き、過去に自分が作成したカードを参照にすつつ左側に自分の言葉で記事を書いていく、というフローになっています。

自分の頭の中から知識をひねり出す必要がないため、執筆コストは大きく下がり、アウトプットの品質はより高くなるはずです。

共有

最後に、共有のステップがあります。Heptabaseはクラウドにデータを持っているため、自分のマップをURLで公開することが簡単にできます。

この機能はとても効果的であり、自分の思考したプロセスや知識の構造をそのまま非同期的に誰かに送ることができます。 説明をする時にもより高い情報品質で相手に伝えることができます。

共有された相手もテキスト情報という平面的な情報だけでなく、視覚的に理解することが可能になるため、より高いレベルでの知識共有を行うことができます。

今回この記事を執筆するにあたり、Heptabaseをより理解するためにMapを作成しました。そのMapをサンプルとしてここに共有します。

こちらを実際に見てみてください!

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その他機能

今回詳しい機能説明はなるべく省いているため、漏れてしまっている機能を少しだけ紹介します。

タグ機能

Heptabaseには「タグ」という概念があります。このタグは関係を記述するために使用します。

というのも、このタグを使ってカード自体をテーブルの行として扱うことができるようになるため、テーブルとして扱いたいデータに対してタグを用いると良いと思います。

エンジニア的に言うと、タグはtableです。tableをつくる感覚でタグを切ることでタグを有効活用できるかもしれません。もちろん役立つと思うまでタグを使用しない選択肢もあり、Heptabaseはそれも推奨しています。

タブシステム

ブラウザのタブと同じものと捉えてください。タブ自体をフォルダに整理することも可能ですし、タブ自体をグループにすることも可能です。

タブはMapよりも大きな概念になるものであり、タブグループを使ってカテゴリーとするのも良いですし、自分の使いやすい単位にタブを作成するのも良いと思います。

Importer & Export

Importについてですが、Markdown / PDF / Notion / Obsidian / Roam Research / Logseq / Reflectに対応しています。

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エクスポートについてですが、

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Exportについてですが、カードをMarkdownで出力することは可能です

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2024.4.28追記 - CardのPDFでのエクスポートが実装されました🎊

モバイルアプリ版

iPadやAndroid, iPhoneのようなモバイル端末ではカードの移動はできません。

思想として、モバイル端末ではJournalにメモを取り、落ち着いて思考できる状況になったらPC等でJournalからカードを切り出してね、という意図を感じます。

しかし、ホワイトボード自体の閲覧は可能であり、そのホワイトボードのカードからカード詳細の編集はできるため基本的に不自由をすることはないと思います。

Macの場合TrackPadモードとマウスモードで操作モードも切り替えがあるため、操作感はとても良く、スムーズに操作することができます。

テンプレート

ノートアプリを使用する上では必須レベルなテンプレートもあります。少し分かりにくいですが、/コマンド からTemplateを呼び出すことで使うことができます。

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メンション

@ を使う方式のメンションとWikiリンク形式のメンションがあります。

メンションでは基本的に、日付・Journal・Cards・Highlight・セクション・ホワイトボードすべてメンションすることができます。

Todo管理

HeptabaseではTodoリストを使用することができます。

専用のTodoリスト機能があるわけではなく、あくまでもJournalなどのカードにTodoを書き込める機能です。

「29日のJournalに書いたTodoリストは29日に残ってしまうのであれば使いづらいじゃないか!」と思っていてデイリーノートにTodoを書くのはあまり気乗りしないタイプだったのですが、Heptabaseでは「締め切りに指定した日付」のJournalに自動でtodoを移動してくれる機能があり、todoもheptabase上で完結する未来が見えました。(あくまでも個人に依存するものだけ)

CleanShot 2024-04-30 at 20.01.51@2x.png

ぜひ便利なので使ってみてください。

カード in カード

カードの中にカードをホワイトボード上で簡単に挿入することができます。

「このカードはもう1つのこのカードの中にあってほしいんだよなー、あったらアトミックになるんだよなー」と思った時にササッと入れられるのが良いポイントです。

CleanShot 2024-05-06 at 09.27.16.png

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箇条書きリストの折りたたみ

通常の箇条書きもクリックすることで折りたたみが可能です。カード自体の見通しを良くするためにお使いください。

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あなたの人生にどう活かすか

複数書籍から得られる情報を構造化し、深い洞察を得て記事へ昇華する

  1. 理解したいと感じている書籍を通読しつつ、気になったところ・面白いと感じた場所には付箋を貼る(Kindle版の場合はハイライトを行う)

  2. 付箋をたどり、自分が面白いと感じた部分と思考メモを含んだ大きなカードを作成する

  3. この大きなカードをMapに切り出し、概念レベルのカードに変換しつつ、概念同士の構造化を行っていく

  4. 同様に同じ系統の種類の書籍から概念カードを作って構造化していったら、概念カード同士から生まれた構造・洞察を新しいカードや既存のカードに記入していく

  5. そのカードを範囲選択し、新しいカードにリンクをまとめ、アウトラインを引いていき洞察を述べた記事を作成する

自己が持つドメイン知識を構造化し、関係者へ共有し解像度を高める

  1. 会議や日々の仕事を通して得られたドメイン知識をカードに切り出す

  2. 切り出したカードでドメイン知識の構造化を行い、情報のぬけもれがないかを確認する

  3. 関係の間から生まれる疑問を解消し、新たに作成されたカードを含めて構造化する

  4. 構造全体がまとまったホワイトボードを共有し、ドメイン知識をチームに共有する

ユーザーリサーチから得たニーズを抽象化し、プロダクトに落とし込む

  1. ユーザーリサーチ・ユーザーインタビューを行った時のメモをカードにする

  2. 傾向やニーズを分析し、カードに切り出していく

  3. カードからプロダクトとして実現したい価値の仮説を立てていく

  4. 必要な情報をより付け加えていく

  5. フィーチャーとして落とし込み、顧客へ価値を届ける

その他公式で紹介されていたケース

Use Heptabase to Plan Your Dream Adventures | Heptabase Public Wiki

Plan a trip and write travel journals by Heptabase | Heptabase Public Wiki

Learn about childcare through Heptabase | Heptabase Public Wiki

Build a journal calendar whiteboard in Heptabase | Heptabase Public Wiki

おわりに

今ここまで書いてきた内容はObisidianでも実現可能だと思っています。また、ObsidianやNotion, Evernoteなどの各サービスがあったからこそHeptabaseは生まれ、よりさらなる発展していくのだと思っています。

しかし、Obsidianではノートを取る習慣は強く根付かずメモ書きとして使われることも少なくありませんでした。これがHeptabaseではJournalという仕組みで、ブロックエディターの良さを使い、ドラッグ・アンド・ドロップで新しいカードに分離できるという体験が最高に気持ちよく、カード作成の完璧主義から脱出することが理由だと思っています。

自分にはObsidianが合わなかったと感じた人はぜひ試してみてください。
そして、 Heptabase Public WikiからはHeptabaseを使わないにしてもPersonal Knowledge Managementでのインスピレーションを受けられる可能性があるため、一見の価値はあります。

ぜひ、Heptabaseを使ってHeptabase自体へ学びを深めてみてください。きっと気に入るはずです。

2024.5.8追記 お知らせ

noteに今後は使用例・使用方法を書いていく予定です!
ぜひフォローお願いします!

参考資料

Heptabase Fundamentals 101: Sense-making with whiteboards

Heptabase Fundamentals 102: Organizing topics with nested whiteboards and tab groups

Heptabase Fundamentals 103: Managing card databases with tags and properties

Heptabase Screencast: Supplement to the article "The Best Way to Acquire Knowledge from Books"

The best way to acquire knowledge from readings | Heptabase Public Wiki

Three ways to make sense of your fleeting thoughts in journal | Heptabase Public Wiki

A simple method to convert your thinking into writing | Heptabase Public Wiki

Nested Whiteboard | Heptabase Public Wiki

Two steps to remember what you’ve learned even after a long time | Heptabase Public Wiki

My Vision - The Roadmap | Heptabase Public Wiki

My Vision - The Knowledge Lifecycle | Heptabase Public Wiki

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