前提知識
参考用リンク
ご存知でない方もいると思います。ということで、サザエさんの全自動卵割り機回
をリンクで貼っておきます。各自ご参照ください。
※Youtubeで本編を見ることが出来ますが、グレーゾーンすぎるので今回リンクはこちらにて紹介はしません。
ストーリーの流れ
上記リンクが分かりやすく簡潔にあらすじを説明されているのですが、自分の方からもこちらで今回記事用の目線で見たあらすじをはさみます。
- 波平が全自動卵割り機を買ってくる
- 卵をセットしてレバーを引くと卵を割ってくれるという機械
- その他家族は亭主関白な波平をおだてる
- ノリスケは知らずに波平をこき下ろす
- 紆余曲折してノリスケに全自動卵割り機が渡る
- 『おもちゃ』としては最適だったがコストが大きいので波平に返す
- 波平と復縁し、今度は鰹節を鉛筆削りのように削るマシーンを考える
- 欠点としては「鉛筆サイズになるまで手で削るようにする必要がある」
- 波平・マスオ・ノリスケは大絶賛で取り組む
- マスオはイエスマンなので波平を立ててただけかもしれないが・・・
- 客観的な視点を持つサザエの意見を聞かなかったり、第三者を入れないように「関係者以外立入禁止」の立て札をして、情報を秘匿してしまう
アンチパターン
一番の利害関係者の意見を聞いていない
劇中でも語られている通り、波平はほとんど料理をしませんし、したことがありません。
それもそのはず、昭和の世界観なので料理は女性がするものという前提のもと物語は進んでいます。
そして問題なのは、そんな料理をほとんどしたことがない波平が料理をする人が便利になると思って全自動卵割り機を買ってきたことです。
料理する人が楽になると思って・・・という考え方は素敵です。 そもそも波平が料理すればいいだけですが
ここで伝えたいのは、 一番影響を受けるであろう人の意見を聞いていないことが問題だと言うことです。
事前にこの全自動卵割り機の存在を伝え、フネやサザエと対話をすることができていれば、購入せずに本当に料理に役立つ機器を購入できる別の未来が見えていたでしょう。
それを行わずに思いつきで買っていってしまったため、実際の現場に役立つものではなく、自己満足で終わってしまう結果に繋がったのだと思います。
もしプロダクト開発を行うのであれば、一番の利害関係者の存在を忘れずに、定期的に見てもらい、フィードバックを行えると良いプロダクトに繋がると思います。
最高権力者が存在する
全自動卵割り機は磯野家においては完全に無用の長物です。
しかしそんな無用の長物であるのに対して、家族は絶賛します(カツオは一部疑問を浮かべてましたがまともに扱われませんでした)
これは波平が亭主関白であるという前提から生み出された状況です。
この状況下では何を言っても響かないですし、亭主関白である波平の気分を害したら、制裁をくだされるかも知れません。
この状況で波平以外に残された選択肢は一つ「従う」しかありません。
(劇中では作ってはいないですが)そんな状況で作られるプロダクトは良いものにはなりません。
最高権力者の意思しか反映されず、自分たちの意見は捨てられ「やらされている」
良いプロダクトを作っていくには、メンバーが自己組織化していけるような環境であることが第一前提として必要になってきます。
また、全自動卵割り機は「料理を普通にできる人」には無用の長物ですが、身体的に不自由な人が使う場合にはありがたい商品かもしれません。
本当に身体的に不自由な人が使う分に役立つのかは疑問ですが、どこにペルソナを置くかによってプロダクトの方向性は大きく変わることには変わりないと思います。
解決したい課題を見ず、要件だけ見てしまっている
鰹節を鉛筆削りのような機械で鰹節を削る作業を楽にする「グルグルダシトール」というプロダクト企画をノリスケが持ち込みます。
この機械が解決したかった課題はおそらく「鰹節を手作業で削るのが面倒」ということだったのだと思います。(憶測ですが)
しかし、最終的に行き着いているのは「グルグルダシトール」という名のプロダクト。
前提として、鉛筆サイズまで鰹節を手作業で削る必要がある代物です。
本来は「鰹節を手作業で削るのが面倒」だから思いついたものの、商品開発がメインになってしまい「鰹節を削れればいい」という要件だけ見るようになってしまったのです。
実際に使う人からしたら、手作業で鰹節を削ってからグルグルダシトールを使おうとなる人はほとんどいないはずです。
プロダクト開発においても「なんのために」作っているのかを日頃から見失わずに持っておく必要があります。
むきなおりをしたり、実際に自分が解決したかった課題は何だったのかを再認識することが重要なのだと思います。
情報を秘匿する
波平・マスオ・ノリスケは『関係者以外立ち入り禁止』という札でプロダクト開発における情報を秘匿してしまいます。
良いプロダクトを作っていくには『透明性』が必要になります。
透明性がないプロダクト開発では、自分たちがどこに向かっているかもわからなくなりますし、見当違いなものを作っていた時にそれを正してくれる方法がありません。
完璧に完成するまで秘匿し、世に出してみた結果「アレ?思っていたのと違う」「これが出来ないのは不便」「この機能いらなくない?」と反応が返ってきます。
それもそのはず、自分たちの感覚で進めてしまったがために、自分たちを満たすためだけのプロダクト開発になってしまったのです・・・。
あとがき
会社で雑談をしていた際に意外といいネタだったと感じたため、簡略的にですが記事として書きました。
いかに早く失敗し、一番の利害関係者に検査してもらってプロダクトを正しい方向へ舵を戻す。これを忘れずに実践出来ているプロダクトこそが、世の中で成功しているプロダクトなのかもしれません。