はじめに
私がBizRobo!を触り始めたのが2017年の夏ですが、それ以来6年ほどの間、バージョンはv10.1系から11.4系まで進みました。
私が触ったことがあるのはv9.4以降ですが、それ以降の各マイナーバージョン毎の新機能や触った当時感じたことを思い出しながら記事にしてみようと思います。
BizRobo!の異端さや変態さが垣間見えるように書こうと思います。
記憶や個人的感想をもとに書いているので間違っているところがありましたらご指摘ください。
この記事はRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション) Advent Calendar 2023 12月9日担当分の記事です。
v9.x系
私が社内のRPA運用に参画した2017年当時、社内で運用していたバージョンでした。
v8系の時代にはなかった、現行でも使われている内部ブラウザのWebkitが標準ブラウザになったバージョンです。
当時はまだBizRobo!にはデスクトップオートメーション機能は存在せず、製品内蔵のブラウザやExcel、コマンドライン、API等を駆使してどうにかしていました。
デスクトップオートメーション機能がないというと、現在一般的に出回っているRPA製品ではありえないことだと思うので、BizRobo!を触ったことがない方には意味が分からないかもしれません。
しかしデスクトップ環境不要で自動化でき、すべてバックグラウンドで処理できるところがBizRobo!の異端さであり、強みでもある点でした。
ちなみにWindowsではなくLinuxでも運用できます。
※私はやったことないです
v10.1系
ついにデスクトップオートメーション(DA)機能が追加されました。
といっても出始めの頃で知見もなかったせいもありますが、なかなか動作が安定せず、使いにくく、かなり苦手意識がありました。
また、パスワードをサーバ上に保存して利用する仕組みであるパスワードストア機能が追加されたバージョンでもあります。
Excelとかテキストファイル等の外部ファイルに保存させなくてよいセキュアに使える仕組みですね。
v10.2系
もう二度と見たくない
v10.1よりも進化していたはずですが、不具合が気になるバージョンでした。
こんなのがあってはまともにDA運用できません。
・ロボットの実行中にDASが頻繁に落ちてしまう
https://knowledge.bizrobo.com/hc/ja/articles/360028271251
あと、修正されたはずの不具合が存在していたり、、、
・Out Of Memory発生時、ロボットファイルが消える事象が10.2.0.3の修正バージョン以降でも発生する
https://knowledge.bizrobo.com/hc/ja/articles/360028893811
v10.3系
ついに日本語化されました!
もう英語だから嫌だとか言わせません!
ちょっと翻訳が変な日本語もありましたが、英語への忌避感のあるユーザーも触りやすくなり、諸々不具合解消とかもされていてだいぶ良くなったバージョンです。
ようやくDAがまともに使えるようになりました。
また、以下の機能追加もあり、一気に進化したバージョンです。
・内蔵ブラウザ「Chromium」の追加
・組み込みExcel「Built-in-Excel」の追加
・DAの要素認識機能「Intelligent Screen Automation(ISA)」の追加
・DAのアテンディッドロボット機能追加
組み込みExcelというのは、Microsoft ExcelをAPIで操作する仕組みです。
実はそれまで、今もそうですが、BizRobo!内蔵のExcelはMicrosoft Excelは使わず、データをメモリ内に展開し、Apache POIで操作していました。
ExcelをインストールしていなくともExcel操作ができ、Excelとして開かないのでExcelのプロセスが立ち上がることもない利点もありましたが、一部機能制約がありました。
この機能のおかげでDAを使わなくともバックグラウンド処理としてMicrosoft Excelを使う選択肢が増えました。
v10.4系
全体的にUIが見やすくなり、ユーザーフレンドリーになりました。
ハイブリッドクラスタ機能がリリースされ、バージョンアップ移行時に複数バージョンのRoboServerを起動し、順次ロボットの起動バージョンを切り替えていくことができるようになりました。
v10.7系
v10.5とv10.6はどこいった?
きっとあまりイケてなかったのでしょう。
一気にバージョンが飛びました。
このバージョンでDAの機能が大幅に改善しました。
おかげで長年のDA嫌いが治りました。
色々新機能はありましたが、ロボットにタグが付けられるようになったのは地味ながら運用上助かる機能でした。
タグの機能についてはRPAテクノロジーズ社の方が書いた記事があるのでご覧ください。
・BizRobo!の運用を円滑にするためのロボットタグ活用のすゝめ
https://qiita.com/ParakeetOnTheHead/items/2e7764b0c4ab81ad9bc0
また、この頃からでしょうか、製品としての機能が良くなったのはもちろん助かりましたが、
eラーニングやナレッジベースが充実したり、ユーザーコミュニティがオープンしたり、各種セミナーを積極的に開催するようになったり、初心者や非ITエンジニアのユーザーにもかなり優しくなった印象があります。
恐らくカスタマーサクセスに和田氏がジョインしたおかげでしょう。
v11.1系
メジャーバージョンアップなので当然ですが、色々と変わって対応が大変だった覚えがあります。
ちゃんと新機能や変更点をユーザー様に案内できるように色々いじり倒す日々でした。
色々ありましたが、新機能の大きなところでは以下2つでしょうか。
・カスタムアクションステップ
・メールトリガーロボット
カスタムアクションステップは、製品としての機能にはない動作を自身で開発して利用できる機能です。
と言っても一般ユーザーレベルでは開発するのはなかなか大変ですので、RPAテクノロジーズ社として色々開発中です。
・BizRobo! コネクター 開発状況
https://knowledge.bizrobo.com/hc/ja/articles/7962448014233
メールトリガーは、その名の通り特定のメールをトリガーにしてロボットを実行できる機能です。
お客様からのメールをトリガーにするとか、ロボットの利用部署のユーザーが実行したいときに任意のタイミングでメールを送って実行したりと、色々便利に使えるようになりました。
v11.3系
色々地味に親切になったバージョンの印象が強いですが、ちゃんと機能追加もされています。
大きなところはこの2つでしょうか。
・「クラウドAI」ステップ
・「電子メール」ステップ
「クラウドAI」の機能はAWS、Microsoft Azure、およびGoogle CloudのAI機能にアクセスできる機能です。
例えば、PDF内の英文を各種クラウドの機能に渡し、翻訳された文章を受け取る、といったことができるようになっています。
「電子メール」の処理では、ロボットが直接メールサーバーにアクセスし、メールの内容を取得したり、フォルダ移動などの操作ができます。
これまで追加されていた機能と合わせると、メール受信をトリガーにしてロボットを起動し、そのメールの内容や添付ファイルを取得して処理するようなことが可能になりました。
常時Outlookを起動しておいて、メールの受信ルールでVBA起動させて添付ファイルを抽出するとか面倒なことをしなくて済むようになりました。
今やるならVBAなんて使わずにPowerAutomateでやればいい気もしますが一旦置いておきましょう。
v11.4系
Windows11への正式サポートバージョンです。
そして長年運用してきたユーザーには無視できない大きな変更のあるバージョンです。
ついにクラシックブラウザのサポート停止です。
クラシックブラウザというのがまず何だという話ですが、かつてv9系以前から実装されてきた製品オリジナルのIEっぽい動作をする内蔵ブラウザです。
世の中でIE使われなくなったのでここでサヨナラということでしょう。
これで主に困るのはレガシーなシステムをクラシックブラウザで操作してきたユーザーと、
webkitブラウザリリース前のv8系とかから使い続けてきた古参ユーザーでしょうか。
特に古参ユーザーにとってはWeb操作していないロボットだから問題ないって話でもないありません。
webkitブラウザリリース前に開発したロボットは全部標準でクラシックブラウザを利用する設定になっているため、Web操作がなかったとしてもロボットの設定を切り替えなくてはなりません。
切り替え自体は簡単なのですが、その数が多いと切り替え作業だけでなかなかの時間を取られると思います。
v11.4の時点ではまだ実行は可能ですが、改修ができなくなっていますし、なるべく早いうちに対応を始めた方が良いでしょう。
まとめ
長々と書きましたが、色々思い返して懐かしい気分に浸れました。
この数年でRPAが世間でも当たり前に使われるようになり、各ベンダーの製品も日々進化しています。
他のRPA製品については語れるほど触っていないので今後も記事にするつもりはありません(Blue Prism最後に触ったのもいつだか思い出せません)が、
RPAやそれ以外の技術についてもその進化についていけるよう、皆さんのお役に立てるよう日々精進しようと思います。