0.はじめに
筆者がはじプロでの再現を試みてやまない、とあるゲームジャンルの制作裏話です。
10分程度で読了します。
突然ですが、私には思い出深いゲームタイトル1のシリーズがあります。
非常に硬派なメカアクションTPSとして知られ、
PS3での最新作リリース以来、その続編は絶えて久しい2…魂が、激しい飢えを訴えるのです。
そんな私が「はじプロ」を始めたのは発売日翌週頃。モノ作り好きが高じてどハマりし、ナビつきレッスンはEXチェックポイント50までおよそ1週間で修了しました。
翌年2022年1月から“原作再現”に挑み始め、
5月からは毎週末、twitterで進捗物を放流しているのが後述のアカウント3です。
まだまだ満足の出来とは言えませんが、これまでに上手くいった要素のいくつかをご紹介します。
1.自機操作
目指すのは究極のブンドド
「物理UFO」が実現した、あの操作感
いま、画面には背中越し視点のロボット兵器がいます。これをプレイヤー機として、ラジコンのように操って敵と戦わせる為に用意したキーコンがこちら
(執筆時点での最新作ver.):
Rスティック→カメラ視点を上下左右に旋回操作
Lスティック→カメラ左右角に対して前後左右に移動
Xボタン→上空へ飛翔、離すと自由落下
ZRボタン→カメラ視点方向へ射撃
ZLボタン→自機周囲への回転斬り
方向キー→各種オプション機能
このとき、射撃方向はカメラ操作に追従する必要があるので
カメラ左右角は機体全身の左右旋回に連動、
さらに射撃武装を積んだ上半身や砲身部がカメラ上下角に連動します。
最初はヒトノードン・UFOノードンを軸に組み立ててみましたが、原作の操作性に対してスピード感がイマイチのため完全モノ化。動かせるモノに速度を反映する、フリースライド連結でグラつきを安定するといった試行錯誤の結果、
「物理UFO」
とでも呼ぶべき強力なブンドドフォーマットが完成しました。
2.標的構築
そして身体は闘争を求める
ヒット数をカウントして爆散する敵機
ここまで来れば、欲しいのはやはり敵機。
自機と同等の可動軸で移動や攻撃をし、攻撃がヒットした分量に応じてド派手に爆散・墜落する必要もあるでしょう。
これも実質「物理UFO」として構築します。
弊作では伝統的に、敵ユニットの中核を見えない「おしゃれなモノ」で構成し、見た目にはモノやテクスチャを盛り込んだ上で
頭上や土手っ腹に積んだ「数つきモノ」ヘ残耐久を表示させています。
自機攻撃がヒットするたびダメージエフェクトが火花のごとく散り、耐久値ゼロで大爆発!!
同時に「モノをこわす」ノードンが中核部を破壊し、物理UFOとしての連結が断たれたガワは断末魔ボイス(任意)とともに爆炎の尾を引いて墜落してゆく…
演出面はこれでバッチリです。
そして、「おしゃれなモノ」の「こわれた数」をカウントすることで、全滅クリアまでの進行状態を管理出来ます。
3.ステージ設計
壮大過ぎる原作世界観
そのとき、1タイトルに込められるゲームボリュームは?
ある時は、激しい対空砲火を縫って全長1000mにも及ぶ陸上空母の懐に切り込み、急所をことごとく破壊したのち、崩壊を始める敵影を背にクールに帰還する。
ある時は、荒廃した地上の覇権を賭けた2対2の決戦で、最精鋭の同型機達を相手に戦い抜きただ1機生還する。
またある時は、結託した地球上の全勢力から5機の刺客を差し向けられるもこれを1戦で全て討ち果たし、「人類種の天敵」とすら恐れられる。
そんな壮絶なストーリーテリングを、ゲームハードの限界に挑むかのような美麗なグラフィックとともに、重厚なゲーム体験として浴びること。
この原体験をはじプロで表現することはきっと難しいでしょう。
それでも、その場面要素を単独タイトルのステージとして部分再現することは出来ました。原作の1ミッションに相当する部分へ、512ノードンを使い込んでしまおうという考え方です。
巨大な増設ブースターを背負った奇襲作戦、高速で飛び回るプレイヤーと同型の敵機や、激しい弾幕を張る機動要塞との攻防といった
原作描写の部分再現を体験することが出来ます。
執筆時点で制作中の最新作からは、「おめくり式」関数化の実装と制御に成功しているので
上手く開発資産圧縮のノウハウを積めば、今後は複数の原作ミッション分のゲームボリュームを持つ単独タイトルをお届けできるかもしれません。
4.おわりに
最後に余談・雑談
ここまでお付き合い頂き、誠にありがとうございました。
皆さんをノードンガレージへ向かわせる、創作欲の源は何でしょうか?
私にとっては「アーマード・コア」1という思い出のゲームシリーズ(特にフォーアンサー)の操作感や場面描写を、成りきりアカ3のファンアートとしてはじプロ再現してみることでした。
制作・公開のたびに表現しきれなかった課題点が浮かび上がり、次回作からは、次回作でこそはとつい試行錯誤を重ねてしまいます。
そんな中、皆さんの作品やその発想・技術・表現に驚かされ、学び、取り入れて形にした時の感動もまた特別なものです。
しかしこの愛すべきプロセスをこそエンターテイメント化したものの1つがはじプロであり、我々を惹き付ける沼の正体に思えてならないのです。
これに味を占めたところで、はじプロ以外のゲーム開発エンジンを試してみるのもいいかもしれませんね。
ここまでお付き合い頂き、誠にありがとうございました。
2022/12/11
Xamel(ザメル)
脚注
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「アーマード・コア」
第1作発売から25周年となる、ロボットアクションゲームの金字塔です。
多数のナンバリングを通して独自かつ奥深い作品性が提示され、熱狂的なファン層を獲得しました。
長年に渡り次回作を熱望する者達の悲痛な様子は、
身体は闘争を求める→アーマード・コアの新作が発売される、というネットミームにもなっています。
お察しの通り、筆者もとても他人事ではありません。 ↩ ↩2 -
緊急追記12/9
なんとこの記事執筆後、アドベントカレンダー上の公開日を待つ間にアーマード・コアの新作発売が公式に発表されました!!
長年の渇望が報われる思いですが、再現作品の制作はまだまだ続けます。 ↩ -
成りすまし成りきりアカ「ザメル」
筆者がはじプロ投稿に使っているtwitterは、元々はガンダム0083に登場する敵メカ「ザメル」の成りきり趣味アカでした。ちょっと独特なモビルスーツ語でコミュニケーションします。
そんなマイナーキャラブランドの布教(いわば推し活)目的も兼ねているため、
アーマード・コア再現とは言いつつも、プレイヤー機が毎作ザメルモチーフの何かになっています。 ↩ ↩2