1. はじめに
AIと会話する時「もっと専門的に答えてほしい」「初心者向けにやさしく説明してほしい」と感じたことはありませんか?その悩みを解決する方法のひとつが「ロール指定」です。ロール指定とは、AIに「 あなたは〇〇の専門家です 」と役割を伝えることで、回答の内容や口調を目的に合わせて調整できるプロンプト設計のテクニックです。
- 本記事はCopilot向けに書いていますが、 ChatGPT でも基本概念は同じです。
- 基本Copilotに直接聞いてまとめたメモです。正確さは保証できませんが、参考になれば幸いです。
2. なぜロール指定が重要なのか?
2-1. 回答の精度が上がる
AIは膨大な知識を持っていますが、何の立場で答えるかを指定しないと、一般的で曖昧な回答になりがちです。「あなたは医師です」と指定すれば、医療の専門知識に基づいた回答になります。目的に合った情報が得られやすくなります。読者に合わせた伝え方ができるようになります。
2-2. 説明のレベルや口調を調整できる
「初心者向けに」「10歳の子どもにも分かるように」など、対象読者を指定することで、専門用語を避けたり、やさしい言葉で説明してくれます。
2-3. 会話の方向性をコントロールできる
ロール指定によって、AIが「どんな視点で話すべきか」を理解するため、回答がブレにくくなります。一貫性のある、目的に沿った対話が可能になります。
3. 基本構文テンプレート
ロール指定の基本構文は、AIに「どんな立場で、誰に向けて、どう説明してほしいか」を明確に伝えるための3つの要素で構成されています。
あなたは【役割】です。【対象者】に向けて、【説明の工夫】を交えて教えてください。
【役割】 「プログラマー」「医師」「歴史研究者」など具体的に
【対象者】 「初心者」「ビジネス経験者」「10歳の子ども」など
【説明の工夫】 「具体例を入れて」「図解イメージで」「専門用語を使わず」など
4. 基本構文テンプレート(目的別)
4-1. 専門家視点で説明してほしいとき
あなたは〇〇の専門家です。初心者にも分かるように、やさしく説明してください。
例:あなたはExcelの専門家です。IF関数の基本的な使い方を、初心者向けに教えてください。
4-2. 子ども向けにやさしく説明してほしいとき
あなたは小学校の先生です。10歳の子どもにも分かるように説明してください。
例:あなたは小学校の先生です。電気の仕組みを10歳にも分かるように説明してください。
4-3. ビジネス向けに論理的に説明してほしいとき
あなたは〇〇業界のコンサルタントです。ビジネスパーソン向けに、論理的に説明してください。
例:あなたはIT業界のコンサルタントです。クラウド導入のメリットを論理的に説明してください。
4-4. 実務で使える提案をしてほしいとき
例:あなたは〇〇の専門家です。初心者向けに、具体例を交えてわかりやすく説明してください。
あなたは営業職の経験者です。新規顧客との初回面談で意識すべきポイントを教えてください。
4-5. よく使われるロール一覧
ロール名 | 主な用途・想定シーン |
---|---|
プログラマー | コード解説、バグ修正、アルゴリズムの設計支援 |
教師/講師 | 初心者向けの学習支援、教材作成、ステップ解説 |
医師 | 健康相談、症状の説明、予防法の提案 |
弁護士 | 法律相談、契約書の確認、制度の解説 |
マーケティング担当 | 広告戦略、SNS活用、ターゲット分析 |
コンサルタント | 業務改善、戦略立案、プレゼン資料の構成提案 |
ライター/編集者 | 読みやすい文章構成、タイトル案、校正のアドバイス |
旅行ガイド | 観光ルート提案、現地情報の紹介、持ち物チェック |
デザイナー | UI/UXの改善提案、配色アドバイス、構成案の提示 |
エンジニアリングマネージャー | チーム運営、技術選定、進捗管理のアドバイス |
5. なぜこの構造が効果的なのか?
ロール指定テンプレートは、AIに対して「何を、誰に、どう伝えるか」を明示することで、回答の精度・適切性・一貫性を高める仕組みになっています。
5-1. 情報の「視点」を固定できる(役割の指定)
AIは膨大な知識を持っていますが、視点が曖昧だと「一般的な説明」になりがちです。 「あなたは〇〇の専門家です」と指定することで、AIはその職業や立場にふさわしい知識・語り口を選びます。
- 例:「あなたは医師です」→ 医学的根拠に基づいた説明になる
- 例:「あなたはマーケターです」→ 実務的な施策や分析視点が加わる
効果:専門性のある、目的に合った回答が得られる
5-2. 説明の「難易度」を調整できる(対象者の指定)
AIは、誰に向けて話すかを指定されることで、語彙や構成を調整します。 「初心者向け」「10歳の子ども向け」などを明示することで、専門用語を避けたり、例え話を使ったりします。
- 例:「初心者向けに」→ やさしい言葉+ステップ形式の説明
- 例:「上級者向けに」→ 専門用語+応用的な視点を含む
効果:読者に合わせた理解しやすい説明が得られる
5-3. 回答の「スタイル」を制御できる(説明の工夫)
「具体例を交えて」「図解風に」「論理的に」などの指示により、AIは回答の構成やトーンを調整します。 これにより、読みやすさ・実用性・説得力が向上します。
例:「具体例を交えて」→ 抽象的な説明が具体的になる
例:「図解風に」→ 構造化された説明(箇条書きや段階的な整理)
効果:目的に応じた伝わりやすい回答が得られる
6. さいごに
AIとの対話をより効果的にするためには、ただ質問するだけでなく、目的に応じた「ロール指定」が非常に有効です。役割・対象者・説明スタイルを明示することで、AIの回答は格段にわかりやすく、実用的になります。この記事で紹介したテンプレートは、すぐに使えるものばかりです。AIとの会話がうまくいかないと感じたら、ぜひロール指定を試してみてください。
AIとの会話術は別記事にも整理しています。下記「記事まとめ」から、併せてご参照ください。