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XBRL JapanAdvent Calendar 2019

Day 12

XBRLを知ろう(1/10)

Last updated at Posted at 2019-12-11

Advent Calendar 初回投稿では、XBRLの概要についてお話します。

1. XBRLとは

XBRL(Extensible Business Reporting Language)は、エンロン事件などの会計スキャンダルを背景に、財務情報を標準的な方法で記述することで財務情報の交換・再利用を可能にするものとして、アメリカ公認会計士協会を中心とする世界的なコンソーシアム(XBRL International)の活動によって開発されたXMLをベースにしたコンピュータ言語です。
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近年では、企業の財務情報の電子的開示に対応するだけでなく、世の中の動向を踏まえ、非財務情報(環境情報、ガバナンス情報など)にもその幅を広げています。これに伴い、より広範なレポーティングのための国際標準仕様として、G20を含む世界60ヵ国あまりに普及されています。
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 財務情報は年度ごと、あるいは組織や業種ごとに、文書構造や項目、計算式などが異なるといった特徴があります。このため、従来の作成方式では作成コストがかかるだけでなく、共通化や二次利用が困難でした。しかし、XBRLを用いることにより、ソフトウェアやプラットフォームの壁を越えて、電子的な事業報告の作成や流通・再利用を容易に行うことが可能になります。その結果として、企業、会計専門家、監督機関、アナリスト、投資家、資本市場参加者、ソフトウェアベンダー、情報ベンダーなど、財務情報のサプライチェーンに関係するすべての当事者に、財務情報を取り扱うためのコストを削減させ、より正確でスピーディーな情報処理が可能となります。特に、インターネット上に公開されている財務情報については、データの精度が向上するだけでなく、他のシステムでの再利用が容易になることにより、その価値が飛躍的に高まるという効用もあります。 また、2000年代頃から収集してきたXBRLデータは活用可能な程度に蓄積がされてきており、機械学習を筆頭にしたデータ活用の流れの中で、Machine-readableかつMachine-understandableなデータ形式であるXBRLデータの活用・検討が更に活発化しております。(金融庁:金融庁政策オープンラボ「有価証券報告書等の審査業務等におけるAI等利用の検討」など)

有価証券報告書等の審査業務等におけるAI等利用の検討より

XBRLデータを使ったアプローチにより、経営方針等の記載について、前年度との類似率を計算することで、固定化した記載を抽出した結果もみられた

2. XBRLの基本構造(XBRL = タクソノミ+インスタンス)

XBRLの基本規約は、国際組織であるXBRL Internationalから、2013年2月20日付けの**XBRL2.1 Specification(*1)** (以降、XBRL2.1と略す)が公開されています。XBRL2.1には、XMLSchemaXLinkなどのW3Cで標準化されているXML関連技術が積極的に取り入れられています。XBRLの基本構造は、タクソノミインスタンスにより構成されています。以下で、それぞれの文書についても簡単に説明したいと思います。

*1:日本での普及を推進するために、XBRL 2.1はJIS規格(JISX7206)に登録しています。これにより、日本産業標準調査会(JISC)から日本語に翻訳したものが閲覧可能です。

2.1 タクソノミについて

タクソノミは、ビジネスレポートのフォーマットを定義する雛形のことです。日本語では「分類学」などと訳されますが、その使い方から、情報を分類する辞書とも言われています。タクソノミでは、フォーマット中の報告項目に関する情報のほか、フォーマットにおける項目の並び順、項目間の関係等を定義することができます。タクソノミは、更にタクソノミスキーマリンクベースから構成されていますが、詳細な説明は別の記事で行うことにします。
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2.2 インスタンスについて

インスタンスは、タクソノミで定義した雛形に入れる情報のことです。数値や金額などの報告内容のほか、文章、真偽値などの幅広い形式の情報を表現することが可能です。また、数値や金額等を取り扱う場合には、単位を表現します。また、当期や前期といった報告内容の期間を表現することができます。このように、インスタンスに項目の値が定義されているため、インスタンスのみでも簡易な分析は可能ですが、タクソノミを参照することで、経年比較などより高度な分析が可能となります。
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2.3 ビジネスレポートとタクソノミ・インスタンスの関係性イメージ

2018年度のビジネスレポートがあった場合に、タクソノミでは、そのレポートに対応するタクソノミのバージョン(2018年度)、報告項目に関する情報(Salesという項目が数値情報で定義されており、期間はいつ時点の情報かを定義する)などをタグを用いてXML形式で定義します。インスタンスでは、タクソノミで定義された報告項目、例えばSalesに関する金額(2,000)、期間(2018年時点)、単位情報(JPY)などを個別に定義します。これにより、タクソノミとインスタンスを紐づけて解析することで、ビジネスレポートを再現することができます。
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2.4 タクソノミと複数のインスタンスの関係性イメージ

同年度に個別のインスタンスが複数あったとしても、固定されたフォーマットであれば、タクソノミを共通的に利用し、一対多の関係で、処理を行うことができます。この考え方を応用すれば、収集する側の組織は、タクソノミを開示し、企業等は当該タクソノミを用いてインスタンスを作成することで、一元的に情報を扱うことが可能となります。
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3. XBRLの概要動画

概要を理解する際には、以下、日本公認会計士協会の作成したXBRL紹介動画をご覧いただくのが効率的です。

ちょっと教えてXBRL
XBRLってなに、XBRLの特徴、XBRLの仕組みの3部構成となっており、約10分程度の動画です。XBRLについての導入編として閲覧をオススメします。※本動画は、Flashの動画再生となります。
ちょっと教えてXBRL.png

4. 問合せ先

本記事に関する問い合わせは、以下のメールアドレスまでお願いします。
e-mail:xbrl-tech-qa@xbrl.or.jp
(もちろん、qiita上でのコメントも歓迎します)

本メールアドレスは、qiitaの記事を執筆しているXBRLJapanの開発委員会の問合せ窓口になります。
そのため、組織に関する一般的な問合せなどは内容によって回答できかねますが、XBRLに関する技術的な質問、意見、要望、助言等はお気軽にご連絡ください。
なお、委員会メンバが有志で対応しているため、回答に時間がかかることもありますが、ご了承ください。

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