Advent Calendar 最後の投稿では、Advent Calendarで触れなかった内容を概要レベルで記載したいと思います。
1. その他の内容
〇inlineXBRLからインスタンスに変換する方法について
inlineXBRLの処理にお困りの方のために、XIIが提供しているInline XBRL Extractorを紹介する記事を検討していました。inlineXBRL1.0
仕様であれば、本ライブラリを活用することでinlineXBRLをインスタンスに変換可能
です。(inlineXBRL1.1には未対応ですが、日本のXBRL関連システムでは未適用のため、現状問題はありません)XIIが活用方法についてチュートリアルを公開しています。[Part 2: Technical Details]が解説として分かりやすいと思います。
〇拡張項目を抽出したデータセットの提供について
従業員の情報を抽出するプログラムを記載しましたが、企業毎に拡張している項目を抽出するまでは対応できていません。そのため、データセットとしては、全開示企業の情報が取り込まれていない状態になっています。
※従業員の情報を、社員(ex.MonthlySalaryEmployee
)と従業員(ex.HourlyWageEmployee
)で分けて開示している企業などがあり、そのような場合は区別するため項目を拡張しています
【給与に関する項目の一例】
社員給与:AverageAnnualSalaryMonthlySalaryEmployeeInformationAboutReportingCompanyInformationAboutEmployees
従業員給与:AverageAnnualSalaryHourlyWageEmployeeInformationAboutReportingCompanyInformationAboutEmployees
〇海外システムからのデータ自動取得について
EDGAR
、Companies House
、HMRC
からのデータ自動取得の記事を検討していましたが、投稿まで至りませんでした。いずれもプログラマフレンドリーなシステムなので、是非興味がある方は挑戦してみてください。(Companies HouseはAPIを提供しています。)また、先日XBRL USがXBRL APIを発表しました。USのサイトにAPI接続先DBに関する概要等も記載されているようです。
〇XBRL認定教育&資格について
XBRLには、XII公認の認定教育&資格
があります。XBRL認定教育は、業務時間を学習のために割けない方や、まとまった学習時間を確保しづらい方でも効率的に学習できるよう、eラーニング形式
になっています。詳しくは、XIIのIndividual Certificationページをご覧ください。(XBRL Foundation Certificate Exam
に合格した方は、本ページに記載されます)
〇XBRLJapanの組織・委員会について
XBRLJapanは理事会
と、企画委員会
、開発委員会
、金融・データ利用委員会
、教育委員会
の4つの委員会で活動しています。 理事会は、XBRLJapan会長、副会長を含む理事で構成され、XBRLJapan の運営について重要な事項を審議し、活動方針・計画を承認あるいは決定しています。 各委員会は、密に連携しながら、XBRL技術規約等の開発への協力や、XBRLに関する広報、関係団体との交流の推進などを行っています。また、開発委員会と金融・データ利用委員会は、月に1度委員会を開催しています。
2. おわりに
初めてXBRLに触れた方は、XBRLの概要やXBRLデータを扱うための情報を得ることができたでしょうか。既にXBRLを知っていた方々には、有益な情報が提供できたでしょうか。このAdvent Calendarを通じて、一人でも多くの方が、XBRLに興味を持っていただけたなら幸いです。
そして、やはり1点だけ、触れておくことにします。みなさまからのXBRLに関する厳しいご意見には目を通しており、様々な課題に直面していることも確かです。一方で、その課題を乗り越えるために、世界中の方々が知恵を絞りながら活動を進めていることもまた事実ではあります。そういったXBRLの影の部分と、それに対する取り組みについても、今後、どこかの場を利用し、何らかの形で発信していきたいと考えています。
最後になりますが、XBRLJapan会員からのメッセージをここに引用し、今年のXBRLJapanのAdvent Calendarをクローズしたいと思います。以上、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
エルトンジョンの名曲に「Good-bye Yellow Brick Road」があります。私が初めて参加したXBRLの国際会議で、ある方が、「Yellow Brick Road to XBRL」と題して、これから彼が取組もうとしている巨大で、そして困難なプロジェクトについて報告をしました。
マイクロフォンが不調だったため、大きなホールの中央に立った長身の彼が、肉声を張り上げて、語りかけるその内容に、聴衆は魅了されました。私は、肌に粟粒が立つくらい、感動し、そしてこの技術の持つ可能性にひきつけられていきました。
数年後、彼のプロジェクトは見事に完成し、歴代のXBRLプロジェクトの中でも金字塔的な評価を受けながら、稼動を開始しました。私も、その彼に数歩遅れながらも、なんとか自分達のプロジェクトを成遂げることが出来ました。
途中何度も挫けそうになりました。その度に思い出したのは、彼の姿です。今も、そして何時までも彼に感謝しています。ありがとう、Jon! そして多くの仲間たち! この道を歩んできて、私は幸せです。そして、次にこのYellow Brick Roadを歩むのは、この文章を読んでいる、「あなた」です。 XBRLは単なる技術ではありません。改革者のネットワークです。一緒に歩いてみませんか? コンピュータのエスペラント語で世界を繋ぐ改革者の道を!