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H31春 応用情報技術者試験 合格体験記

Last updated at Posted at 2019-06-23

Abstract

2019年4月21日(日)に応用情報技術者試験を受験しました。
約3ヶ月の勉強の末、合格を果たしました。
勉強方法や午後問題の選択について参考にして頂ければと思います。

Introduction

応用情報技術者試験(AP) とは、IPA(情報処理推進機構)が実施する検定試験、情報処理技術者試験の一区分です。情報処理技術者試験は、IPAが経済産業省所管の独立行政法人であるため、国家試験の一つであります。
IPAの国家試験の中ではITパスポート試験、基本情報技術者試験 (FE) の次の段階とされ、ITスキル標準のスキルマップではレベル3に位置付けられます。
筆者はこれまでIT系の検定試験では、LPIのLPICとCisco SystemsのCCNA/CCNPを受けてきました。ここを訪れる方はご存知の事と思いますが、これらベンダー試験とIPAの試験それぞれの特徴を比較しました。

項目 ベンダー IPA
実施頻度 ほぼ毎日各時間帯 年2回(春・秋)
試験会場 各地のテストセンター 各地の大学校舎など
検定料 1万5千円以上 5,700円
合格の有効期間 3年間 無期限
ねらい ITエンジニアとしての即戦力 IT分野のゼネラリスト
下位試験との関係 一部区分は下位試験の合格も必要 下位試験合格により一部免除あり
資格の有効性 能力の認定のみ 能力の認定のみ

これらベンダーの認定試験は料金が1万5千円以上と、入学試験並みの高い金銭的コストが掛かります。また、一度認定を得ても、それ以上の試験に合格することなく3年間が経過すると、再び下位の試験から受け直しとなるため、注意が必要です。筆者は、CCNP ROUTE、CCNP SWITCHに合格しましたが、3年以内にCCNP TSHOOTに合格していないため全て失効し、CCNA R&Sから受け直しとなります。
一方で、IPAの検定試験は年2回のチャンス(試験によっては年1回)のため、余裕をもった計画が必要となります。
※ITパスポート試験に限っては毎月受験可能です。

会社が事業継続のための施策として従業員に受験を勧める場合は、会社の経費として計上、または特定支出として控除されますので、従業員個人の負担が軽減されます。但し、適用には用途や金額の条件があり、不合格の場合にも会社経費として計上されるかについては会社に依ります。

会社からベンダー試験、国家試験どちらを受けても良いと言われており、難易度に差が無いのであれば、実施頻度の高いベンダー試験の方が良いかも知れません。

顧客へのアピールとしては、エントリーレベルであればベンダー試験の方が効果ありますが、顧客が政府系の場合にはITSSレベル4以上の国家試験の認定があるほうが評価されます。国家試験とは言っても、無線従事者や危険物取扱者などとは異なり、業務独占資格ではありません。発注者や上司が何の仕事を振るかであり、資格の有無は必須ではありません。

Methods

参考書

情報処理技術者試験については、全区分含めて今回の応用情報受験が初めてでしたので、2019年1月中旬にまずは本屋で参考書を幾つか見比べました。
筆者が使用した参考書は、TAC出版のニュースペックテキストシリーズ『応用情報技術者 平成29・30年版』です。カラー図解が多いため、このシリーズにしました。
最初から自炊するつもりでしたので、中古で購入しました。すなわち、ネットオークションで本を買い、家に届くなり各ページを綴じ部分から引き剥がし、バラバラにしました。ここで各ページ1面1面をスキャナに載せていたら気が遠くなりますが、ドキュメントスキャナを買っていたのが役に立ちました。スキャナの本体価格が3万円前後ですが、酷使するとローラーや機構が傷むので、スキャンのコストはこれ以上に掛かると思っておいた方が良いです。
自炊のメリットは、任意の出版物をスマホやタブレットなど任意の表示装置に取り込めることです。現行法における自炊に対する解釈は、レンタルCDのアナログ録音と同じく、個人の範囲内で使用する場合は「私的複製」として実施可能となっています(他人のために複製する行為や他人に複製させる行為は著作権侵害となる)。反対にデメリットは、ページを引き離すのに失敗すると、破れて文字が欠落したり紙の本としては使いづらくなったりすることです。めでたく試験に合格しても本を中古本屋に売りに出すことはほぼ不可能になりますが、受験料と書籍代合わせても1万円以下ですし、受験機会を一回逃したら半年間も間が空くことを考えれば安いものです。
上記参考書を通勤の電車内などで読み進め、一通り読破するのに1ヶ月程度でした。

午前対策

参考書で勉強した後は、応用情報技術者試験ドットコム 過去問道場で午前試験を解いていきました。Ping-t同様に出題範囲や問題数を指定可能で、各問題に対して正解と思う選択肢を押すだけです。解説もあり、勉強実績も円グラフで閲覧可能です。過去問の入手が容易であり、だからか無料で利用できます。しかし、基本情報も応用情報も午前問題の大半が過去問からそっくり出題されるため、このサイトが最も役に立ったかもしれません。
午前問題対策は、正答率9割以上を目指して、1~2か月で4年分(8回分)を解きました。

午後対策

試験日直前の2週間は午後問題対策も午前問題演習と並行して進めました。
過去問を見てみて、午後の選択問題はどれを選ぶを参考に、自分の得意分野も考慮して下記分野に絞りました。

問題番号 分野
問1 情報セキュリティ
問2 ストラテジ
問4 システムアーキテクチャ
問5 ネットワーク
問7 組み込みシステム開発

正答率8割以上を目指して2年分の問題を学習しました。

Result

午後問題選択

問題番号 分野
問1 情報セキュリティ
問4 システムアーキテクチャ
問5 ネットワーク
問7 組み込みシステム開発
問8 情報システム開発

自己採点

午前問題はIPAによる解答発表、午後問題は資格スクールによる解答速報を参考に自己採点しました。
さらに、マークミスの可能性や採点の手加減具合に備えて、0.8を乗じたものを下限として合否予想しました。乗数の0.8は、過去問演習(午前)における正答率を採用しました。
午後の問題別の予想点数については、採点基準や配点割合のずれを考慮して幅を持たせています

  • 午前 … 67.5~85点/100点満点
  • 午後 … 62~78点/100点満点
    • 問1 … 14~18点/20点満点
    • 問4 … 13~15点/20点満点
    • 問5 … 14~16点/20点満点
    • 問7 … 12~14点/20点満点
    • 問8 … 12~15点/20点満点

各時間区分とも60%の得点が合格基準のため、合格圏内ではありますが、合否発表までは油断はできません。2019年6月21日(金)まで、つまり受験日から2か月間もの間、待たなければなりません。

合格発表

受験票の下側の受験番号・パスワードを入力して成績照会を行いました。

時間区分 得点
午前 85.00点
午後 87.00点

午前分野別得点

分野 得点 得点率
ストラテジ系 22.50点 90%
マネジメント系 12.50点 100%
テクノロジ系 50.00点 80%

上記の通り、合格でした。

Discussion

点数に関して

自己採点と結果を比較しますと、

  • 午前に関しては、自己採点通りでした。
  • 午後に関しては、自己採点よりも9点高い結果となりました。合格者の割合を調整(20%前後に)するため、各問題の配点割合や採点の加減を甘めにした可能性があります(統計資料)。

筆者が理系であり、5年間以上の業務経験があるため、このような試験に有利ではあると思います。しかし、それだけでは不合格だったかも知れません。特に午前を突破できなかった可能性は大いにあります。3か月前からしっかりと勉強したため、余裕を持った点数で合格できたのだと考えています(得点分布 (1.42 MB) )。

午後問題選択に関して

午後の問題について、その選択の妥当性や問題内容を振り返りますと、

  • 「セキュリティ」は解答必須であり、自分の現在の業務、ファイアウォールの設計構築・運用にも関係するため、言及することは特にありません。
  • 「ストラテジ」は設問2くらいまで取り組んだところで、どの設問にどの言葉を当てはめるかが難しく感じたため、問題選択から除外しました。
  • 「プログラミング」はコード中の空欄に当てはまる変数や数関数を記述する問題のようでした。易しかったとの声も聞かれますが、この分野の問題演習をしていなかった事と長い空欄があった事から、ざっと見てすぐに問題選択から除外しました。
  • 「システムアーキテクチャ」は情報システムの構成についてのネットワーク寄りの問題でした。自分の業務に近いため無難な問題と思い、選択しました。
  • 「ネットワーク」はWi-Fiのアクセスポイント設置に関する問題でした。ネットワークの設計構築の業務経験が長いため、迷わず選択しました。にもかかわらず、トランクVLANとなる箇所の選択を誤ったことが恥ずかしいです。
  • 「組込みシステム」は身近に感じられる話題だったため、解き易かったです。計算問題において、問題文をよく読まず繰り上げるべきところを四捨五入したことは悔やまれます。
  • 「情報システム」は今回はWebサイトの構築に関する問題でした。イベント運営においてWebサイト更新に携わっていたため、最も簡単に感じられた問題でした。
  • 「データベース」は薬剤管理システムの問題でした。薬学部出身とはいえども情報処理システムの問題にそんなことはあまり関係なく、文字が細かい事とSQL文に慣れていない事から、すぐに問題選択から除外しました。難しかったとの声が聞かれるため、やはり「データベース」は業務で専門としている人が選択すべきでしょう。
  • ほかの問題は文字数が多く、読解のスピードを求められる問題だと思われるため、最初から除外しました。

自分にとって解き易い分野の問題を選び、合格基準を遥かに上回る点数を得たため、成功だったと考えられます。

Conclusion

試験勉強期間としては、3か月間あれば十分であることが示唆されました。つまり、秋試験を受験する場合は7月下旬に勉強開始です。
中堅以上の方でも全分野の知識を備えている方は少ないと思いますが、午前は過去問から多く出題されることを踏まえると、1か月間程度の問題演習だけで事足りるかも知れません。
対策の仕方としては、
* 午前対策については過去問を数年分解きます。
* 午後については、まず自分が解きやすい問題を選別します。そして問題文・設問分を読む順序や時間配分などを考えながら、解く練習をします。

Future work

次回は、情報処理安全確保支援士試験(登録セキスペ)を受験予定です。ネットワークスペシャリストとも迷いましたが、暗号技術やサイバー攻撃対策に元々興味あった事と、応用情報の上のIPAの国家試験の中では最も合格しやすいと言われている事から、こちらにしました。
早速、IPA発行の情報セキュリティ白書2018をDLし、教本を買って自炊しました。

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