1年間の振り返りで、EM(Engineering Manager)っぽいものは何かと問われると、1on1あたりを起点にして会話をすることになるだろうなと思って一番印象に残っていることをまとめてみました。
よくあるやりとり
ここ1~2年くらいは自分自身が1on1をするだけじゃなく、マネージャーが1おん1するのに同席するなどをやったりもしているわけなんですが、その中でこんなやり取りを累積通して20回くらい見た気がします。
マネージャー「◯◯って、これからどんなことがやりたいとかあるの?」
メンバー「いやー、、、僕あんまりそういうのないんですよね」
マネージャー「そっかー、じゃあこの人みたいに仕事できるようになりたい、みたいなのはある?」
メンバー「うーん、、、△△さん(隣の先輩)ですかね」
マネージャー「なるほどねー、じゃあこういうことができないとね、彼も昔は✕✕だったんだよ」
(マネージャーの経験談)
気づけ、そのやり取りの不毛さに、お互いに。
このヒジョーによくある場面、ちょっとしんどいですよね。めちゃくちゃ問題かというとその時は表面化しないことがほとんどですが、半年~1年というスパンになってくると、やはり「このまま自分はここにいていいんだろうか」というモヤモヤの入り口にはなっていますので、その課題に対しての一つの処方箋になったら嬉しいなと考えての記載になります。
0.とはいえ「聞かないよりはまし」
とはいえ、とはいえですよ、1on1をちゃんとやっていて、そういう会話をしていること自体が素晴らしいことであるという自覚はやはり持っておくべきでしょう。
そもそも、マネジメントをされる側であるとはいえ、おそらく大多数が成人を果たしている立派な大人なわけです。
いまさらになって「やりたいことを見つけるのを上手に手伝ってくれない!」なんて不満をもつのは一つのダダである
という自覚も持っておいて然るべきであるというのは忘れてはなりません。
1.マネージャーの心得「そんなものがポイポイ出てくるはずもない」
前フリも終わりましたので、本題です。
まずは大前提。「そんなものがポイポイ出てくるはずもない」。だから1on1やってるんだぜ、という話です。
振り返ってみて、将来やりたいことベースで大学を選んだか?就職活動のときにやりたいことがハナからあった人はどのくらいいたか?と言われるとどうでしょう。まあほぼ無いですよね。
むかーし、個別指導塾の講師をしていたときに
「大学の学部は将来的にやりたいことが見つけられるように経済学部に行こうと思う」
と言っていた子が、数年後就職活動の話をしているときに
「色々やってみてやりたいことが見つけられるように大手・商社・銀行に行こうと思う」
と言っていたことは個人的には印象深いところです。
2.メンバー側の心得「見つけてないのはいいけど、探さなくていいわけじゃないよ」
だからといって「見つかってないことは探さなくていいことにはならない」というのが世の常です。なぜなら「ほっといても見つかるものではない」ので。そして気づくと3年とか経っちゃう。
経験上「まずは1年間目の前のことをやるだけだと思ってます」と言っていたメンバーが1年後無事に「これをやりたいです!」と言ってこれたことはほぼありません(1人いた気はする)。
3.探し方のコツ
1つ目:探すためには「今は」これですと言う
「簡単には見つからない」って言ったり「でも探せ」って言ったりどっちなんだ、というところですね。そこで出したい処方箋の一つが、なにかやりたいことを述べてもらうときに「今は」というフレーズを入れることをおすすめしています。
「『今は』このプロジェクトリーダーやりたいと思ってます」
「『今は』品質管理の新しい仕組み作ってみたいと思ってます」
でいいんですよね。
「今は」というフレーズがありがたいのは、「じゃあ来年は」というほうに思考が勝手に向いていくところにあります。
「言ったが最後、それを成し遂げなければならない」なんて法律はありませんし、途中で変わったところ、きちんと説明しさえすればそれを咎める人もいないのが普通です。
そして言語化することによって、人に説明したりFBをもらったりします。その中で「ちょっと変えよう」とか「こっちはやっぱ思ってたのと違った」みたいな方向修正は自然とできていくでしょう。
2つ目:「できるようになったこと」「今できないこと」を考える
時間軸を「今」に限定することで、ハードルを下げるとともに、見つけるきっかけについても少し言及します。
「今年できるようになったこと」はなんですか。
そして 「今できないこと」はなんですか。
そのなかに「できるようになったら嬉しいこと」はありませんか。
別に「海賊王に俺はなる」みたいなものじゃなくても、「今は」これができるようになりたい、だったらそのあたりから出て来ることもあると思います。
3つ目:「誰にくっついていきたいか」で人のやりたいことに乗っかってればいい
その他にも見つける先はあります。「この人の力になりたい」「この人の目指す先は面白そう、それを一緒にやってみたい」ということもあるかも知れません。
それだっていいんです。やりたいこと、目標は、誰かの支持から枝分かれをしていくところを何度も見てきました。
だから、マネージャーに聞いてみたらいいと思います。
「マネージャーは、これから何をやりたいんですか」
ひょっとしたら、マネージャー自身からも「えっ」「おっ」「ん?」とかなって出てこないかも知れません。マネージャーだって完璧なわけじゃありません。
社内の先輩とコミュニケーションを取るときに聞いて回るのもよいでしょう。
「この人カッケェな!」と思えることを言ってる人が見つかるかも知れません。
4つ目:探せないなら「選ぶ」
- 「今は」で考えてみる
- 「できるようになったこと」「できないこと」を並べてみる
- 人に聞いてみる
と、述べてみましたが、最後にこれらをやってみた上で、それでも言語化が難しかった方へのとっておきです。あくまでもこれらをやってみた上で、です。
やってみてもらいたいのが
「転職サイトで選びましょう」
です。誤解しないでいただきたいのが「転職しましょう」ではありません。マネージャーとしてはこれを発言するのは憚られますが笑。
ポイントとしてお願いしたいのは「転職サイトで『会社』を選ぶ」ではなくて「『職種』を選ぶ」もしくは「『役割』を選ぶ」をやってもらいたいという点です。
やはり転職サイトは求職者に対しての広報営業活動なので、「仕事の内容や役割について魅力的に語っている」という読み手をワクワクサせてくれる要素が詰まっています。
なので、そのなかで「これやってみたい」というのを「選んで」みる。自分で言語化するわけではないので、ハードルは著しく下がるはずです。
そして、マネージャーにそれを伝えてみる。一つの具体的なビジョンが提示されることで確実に一歩前進するはずです。
4.マネージャーへ「で、あんたはどうなのよ?」
ここまで書いてみて、マネージャー側でも考えておきたい内容がこちら。
けっこう見落としがちで、それはそれこれはこれと考えてしまったりすることもあるかと思いますが、メンバーからすると同じことですよね。
メンバーに期待するからには自分もやりたいこと、あるよね?
という話ですね。人に要求することは自分も回答を求められる、それに応えることが信頼に繋がります。
無いなら、同じことを自分のマネージャーと話しましょう
でもマネージャーだって、ちょっと経験値があるだけで同じ人間なんで、おいそれと出てくるものでないかもしれません。
故に、ここまで述べたことを自分自身やってみた上、その内容で更に上のマネージャーと会話をしてみてください。あなたのマネージャーも同じ用に悩み応えてくれるはずです。
マネージャーが力強いビジョンをもっていて、それに乗っかりたい、と思わせてあげられるのがお互い最強
この「やりたいこと」を探していくプロセスが、メンバー→マネージャー→マネージャー→…→組織と積み上がって行くことによって、「共通のベクトルでコミットする」に結実し、良き開発者体験やライフワークの発見に繋がっていくはずです。
弊社の企業理念は「想いを形にして笑顔と夢中を創造する」ですが、私自身この取り組みを日々実践していきながら隣で夢中になってるメンバーと仕事をし続けることができたらハッピーだな、と思っていますので、頑張ります。
おわり。