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MitakaをMacOS(Intel CPU, Ventura 13.7.6)で動かす

Last updated at Posted at 2025-07-04

最終更新: 2025/7/4

知ってる人向け要約

  • 一番安全なのはBoot Camp
    • ただしApple Siliconには非対応
  • wineでも動く(本稿のメイン)が、以下に注意
    • wineはhomebrewからwine@develを入れるのが一番動きそう (wine@stagingは不安定そう)
    • winetricks cjkfontswinetricks allfontsの両方を実行する
    • WindowsのバージョンはWindows 7
    • mitakaのフォルダーをwineのprefix内に入れる
  • Apple Siliconの場合はRosetta 2を入れてwineで動かすのが一番良さそうだが、筆者がApple SiliconのMacを持っていないため未検証

Mitakaについて

Mitakaは国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト(4D2U)によって開発された、惑星から銀河、大規模構造までの宇宙を旅するように見ることのできるWindowsソフトです。国立天文台三鷹キャンパスにある4D2Uのドームシアターでも使われています。

Mitakaは良いソフトなのですが、唯一と言っていい難点がWindowsでしか動かない、という点です。そこで本稿ではMitakaをMacOS(など)で動かす方法を説明します。

なお、以下で説明する方法を行う際は自己責任でお願いします。

MacOSでWindowsのソフトを動かす方法

MacOSでWindowsのソフトを動かす方法は、おおよそ次の5つあります。

  • Boot Camp
    • Apple公式
    • Intel CPUでしか動かない
    • 無料
    • 高速
  • Parallels
    • プロプライエタリ(営利企業によるソフトウェア; 主に中身は非公開)
    • Apple Siliconでも動く
    • 有料(無料体験版あり)
    • ちょっと遅い
  • Virtual Box
    • プロプライエタリ
    • Apple Siliconでも動く
    • 無料
    • かなり遅い
  • Wine (オリジナル)
    • オープンソース(中身が公開されているソフトウェア; 主に非営利団体による)
    • Rosetta 2と一緒に使えばApple Siliconでも動くと謳っているが未確認
    • 無料
    • 速い場合もあるしかなり遅い場合もある
    • 2025年現在も開発継続中
  • Wine (派生)
    • 上のオリジナルWineを営利企業や他の人が改善したバージョン
    • CrossOver (有料、開発継続中)やEasyWine (有料、2020年ごろに開発停止?)、Wineskin (無料、2015年ごろに開発停止?)などがある

個人的に一番安定だと考えているのはBoot Campです。これはMacOSに元から入っている「Boot Campアシスタント.App」からWindowsをインストールし、「システム設定.App」>一般>起動ディスクからWindowsを選択し再起動すればWindowsがMac上で動きます。ここにmitakaを入れればすぐ動きます。Boot Campは一応Apple公認であるのも安心材料ですね。

Boot Campの難点として、いちいちシステム設定から再起動する必要がある、というのが挙げられます。またその他のParallelsやVirtual Boxは有料だったり動作が遅かったりと若干気軽にやるには難しいポイントがあります。

それに対しWineはMacOSを動かし続けながらWindowsソフトを走らせることができる方法で、Wineで比較的きちんと動くならばこれを使うのが便利です。Wineで動かす際は適切な設定がソフトごとに異なるため、そこでつまづきやすいです。そこで本稿ではWineを使ってMitakaを動かす方法を適切な設定とともに説明していきます。

なお、筆者の環境はMacOS Ventura 13.7.6を走らせているiMac (Retina 5K 2019)、およびMacBook Pro (13in. 2020)です。これ以外のOSバージョンでも動く可能性はありますが未確認です。またApple SiliconではRosetta 2を入れることでWineを使うことができるようになりますが、2026年に出る予定のmacOS 27でRosetta 2の提供は最後になる予定です

Wineを使ってMitakaを動かす

Homebrewをインストールする

HomebrewはmacOS用パッケージマネージャーです。パッケージマネージャーとは、「アップルが提供していないあなたの必要なものをインストール」(公式サイトより引用。)できるものです。Homebrewでインストールされた各パッケージは、「formula」(フォーミュラ)と呼ばれます。

「アプリケーション」フォルダ内の「ユーティリティ」フォルダ内にある「ターミナル.App」を開き、以下を入力・実行してください。(コピペ→Enterキーを押す)

/bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)"

途中でログインパスワード(Macにログインする際に入力するパスワード)の入力が必要になるかもしれません。また、英語で次これをやってくださいという表示が出るかもしれませんので、それに従ってください。

Homebrewのよく使うコマンドとして、

  • 更新を確認する brew update
  • 更新をダウンロード・インストールする brew upgrade
  • インストールしたフォーミュラをリストする brew list
  • フォーミュラ「X」をインストールする brew install X
  • インストールしたフォーミュラ「X」をアンインストールする brew uninstall X
    があります。

Homebrewで開発版(devel)Wineをインストールする

WineはmacOSやLinux上でWindowsのソフトを動かす互換レイヤーです。エミュレーターとは技術的には微妙に異なるもので、Wineの名前の元にもなってます(WINdows EmulatorでありかつWine Is Not an Emulatorでもある)。

もし仮に他のバージョンのwine(wine-stable、wine@staging)をインストールしていた場合は、これをやる前にアンインストール(brew uninstall wine-stableなど)しておいてください。同時にインストールすると壊れます。

ターミナル.Appで引き続き、以下を入力・実行してください。

brew install --cask --no-quarantine wine@devel

またこちらも途中でログインパスワードの入力が必要になります。「--no-quarantine」オプションはMacのセキュリティの一つであるGatekeeperをWineに関してオフにするものです。これはWineのインストール・実行で(おそらく)必須となっています。

なお、本稿執筆時(2025/7/4)での最新バージョンは10.10です。以降、このバージョンを仮定して説明していきます。WineのバージョンをアップデートするとMitakaなどが動かなくなる可能性もあります(リグレッションバグ)。その場合はバージョンを戻すか、さらに後のアップデートで直るはずです。絶対このバージョンでなければならない、というわけではないので、そこまで気にしなくても大丈夫です。

HomebrewでWine Tricksをインストールする

Wine TricksはWineを使いやすくするためのDLLのインストールや設定変更を行うものです。

ターミナル.Appで引き続き、以下を入力・実行してください。

brew install winetricks

Wine Tricksでフォントをインストールする

Wine Tricksを使って、Windows用フォントをインストールします。

ターミナル.Appで引き続き、以下を入力・実行してください。

winetricks cjkfonts
winetricks allfonts

cjkfontsは日本語・中国語・韓国語のフォントをインストールするもので、allfontsは全ての利用可能なフォントをインストールするものです。なぜかcjkfontsだけ・allfontsだけでは日本語関連のフォントが全ては入らない(それぞれMitakaの日本語テキストの別の部分に対応している)っぽいので、両方やる必要があります。allfontsの実行は結構時間がかかるので注意。

WinecfgでWindowsバージョンを設定する

Winecfgと呼ばれる、Wineと一緒にインストールされる設定用コマンドを使って使用するWindowsのバージョンをWindows 7に設定します。

ターミナル.Appで引き続き、以下を入力・実行すると設定用GUIが開きます。

winecfg

設定用GUIは次のようになっています。上の「アプリケーション」タブを押して開くと、ウィンドウ一番下に「Windowsバージョン」を設定できる部分があります。これを「Windows 7」にして、右下「適用」ボタンを押し、最後に「OK」ボタンを押してウィンドウを閉じてください。
スクリーンショット 2025-07-04 17.30.45.png

Wineのprefix内にMitakaのフォルダーを移動させる

Wineのprefixとは、Wineで動かしているWindowsの中身(システムファイルやデスクトップフォルダなど)が全て入ったディレクトリのことです。通常、実行したMacユーザーのホームディレクトリにあります。ホームディレクトリはFinderの左サイドバーで家のアイコンに対応するものです。またターミナルでは

cd ~

を実行することでホームディレクトリに移動できます。

Wineのprefixディレクトリは隠しフォルダとなっているので、これをまず表示します。Finderで、コマンドキー+シフトキー+ピリオド(.)を押すと、「.(ピリオド)」で名前が始まる隠しフォルダ・隠しファイルが表示されます。もう一度押すことで再度隠すことができます。

ホームディレクトリを開いたFinderで、「.wine」という隠しフォルダを探し、中に入ってください。「.wine」>「drive_c」>「Program Files」のディレクトリの下にダウンロードしたMitaka_174a.zip(バージョンは違うかもしれませんが)を展開してください。なおターミナルでzipファイルの解凍・展開先の指定を行うには

unzip ~/Downloads/mitaka_174a.zip -d ~/.wine/drive_c/Program\ Files/mitaka/

としてください。(通常のダウンロードフォルダにmitaka_174a.zipをダウンロードしたと仮定。)

次にターミナル.Appからwineを起動します。

cd ~/.wine/drive_c/Program\ Files/mitaka

を実行して今移動したmitakaのディレクトリ内に入り、

wine ./mitaka.exe

を実行してください。これでMitakaがWineを使って起動されるはずです。

↓動かした例
スクリーンショット 2025-07-04 17.49.40.png

prefix内に展開せずに直接MacOSのダウンロードディレクトリに置いて実行しようとしたり、prefix内に移動せずにホームディレクトリから実行しようとすると、Mitakaは動きません。必ずCドライブ内にMitakaを移動させて、ターミナルの作業中ディレクトリもそのMitakaのディレクトリに移動させてから実行させてください。

これでも動かない場合のWineのその他設定

を参照してください。

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