「最近数学を使わなくなったな…」と感じたことはありますか?
「そんなことないよ」という方も多くいらっしゃるかと思いますが、就職などのイベントを機に、紙とペンを持って数式をガリガリ書いて問題を解く機会が減った方は多いと思います。
自分もしばらく数学に触れない期間があり、一念発起して数学と向き合いなおした時に感じた苦労、それに対しての対策などを話そうと思います。
これまでと数学と向き合い直すことにした理由
自分は情報系の大学院を修了し、アプリケーション開発を中心に経験してきました。
その中で数学は全く…というわけではないものの、学生時代と比べると全く使わなくなってしまいました。
プライベートの勉強でも、どちらかというとコーディングしたり、ライブラリを触ってみたり、開発に関する本を読んだりというのが多かったです。
ただ、この状況は次第に良くないと思うようになりました。今の発展目覚ましい機械学習分野などについていけなくなることに危機感を感じたからです。
もちろん、これからデータサイエンティストやAIエンジニアを目指す予定は正直ないです。ただ、データ分析やちょっとした機械学習を使った機能を開発することはあると思うし、それならライブラリを使うにしても内部で何をしているかを知っておいた方が良いと考えるようになりました。
統計検定を受けることに
今回数学を勉強したいとなったきっかけは、機械学習やデータ分析といった、広義のデータサイエンスの分野です。
なので、勉強する内容もそれに則したものとなります。
せっかく勉強するなら何かマイルストーンや目標が欲しいと思い、今回は統計検定を受けることにしました。
統計検定はその名前の通り、統計に関する資格試験ですが、個人的に良いと思ったのは以下の点です。
- 複数の難易度の試験があるので、自分のレベルに合わせて受験やその勉強を勧められる
- 1~4級+準1級の5段階
- 過去問の入手が用意
- 相当昔の年でも解説付きの過去問をAmazonなどで購入可能(2023年12月時点、CBT移行前のものに限る)
- 1級以外は受験日時・会場をこちらで決定できる
- コロナの影響で1級以外はCBT形式に移行された
- 問題が解けるor解けないで理解度が測れる
- もちろん完全に問題が解ける=理解度ではもちろんない
- しかし、問題が解けるようになることで理解度が深まっているという進歩はわかる
- 業務にも活かせる
- データサイエンティストの人がやるようなレベルではないにしても、簡単な分析をしたい時は多い
統計検定の大体の難易度ですが、公式のHPでは下記のようになっています。
検定種別 | 試験内容 |
---|---|
1級 | 実社会の様々な分野でのデータ解析を遂行する統計専門力 |
準1級 | 統計学の活用力 ─ 実社会の課題に対する適切な手法の活用力 |
2級 | 大学基礎統計学の知識と問題解決力 |
2級の内容は大学で学んだことだったので、一個上の準1級から受験することにしました。
また、受けると決めたのが2月中旬くらいだったのですが、いつでも受けられる分、ズルズルと後回しにしそうだったので7月中に合格することを目標にしました。
いざ勉強してみるものの…
さて、目標と締め切りが決まったのであとは勉強するだけです。
過去問は解けないのがわかっていたので、統計検定の公式(日本統計学会)が出しているワークブックで勉強を始めました。
しかし、全く進みません。当時純粋に時間が取れなかったのもありますが、2級の内容を完全に忘れているのに準1級の内容を無理に詰めようとしたのが一番大きかったです。
t検定とかモーメントとかなんとなくは覚えている、でもどうやって出すんだっけとかどういう時に使うんだっけというのは勉強し始めた当時あやふやな状態でした。この状態でいきなり準1級の勉強をしても難しいのは当然です。
また、テキストの例題の数式展開についていけないこともありました。大学の基礎レベルの数学や数ⅢCレベルで習うような微積分がスポッと抜けていたことも多かったです。
時間や今の能力だとこのまま進めても厳しい、と感じまずは2級の合格を目標にしました。
2級を受験するための戦略
さて、2級に目標は落としてなんとなく覚えているので、多少は進捗が出やすくなったものの、まだ数学アレルギーは続いていました。
勉強には大学時代の教科書を利用していたのですが、特に公式の導出などを読むと目は滑り、脳が理解を拒み始め、理解に相当な時間を費やしてしまうことが多かったです。
このまま進めても受かるかもしれないが、同じ理解度に持っていけるなら短縮をしたい、と勉強法を変えてみることにしました。
Udemyの講座を使ってみた
新しい勉強法に使ったのは、Udemyの 統計検定®2級対策講座 です。
選んだ理由は下記になります。
- 動画コンテンツである
- 文字だと理解のペースが遅かった(これに関しては教材が自分にあってなかった可能性もあり)
- 大学生時代の講義ではすんなり覚えていたはずなので、動画形式の方が良さそうと感じていた
- 統計検定2級の試験対策として過不足がなさそうだった
- 通常の統計学講座ではなく、明確に統計検定にスポットを当てた講座だと説明などからも感じられた
- 演習問題が多かった
- チャプターのの合間に200問程度あります
- 実際に習ったその場で問題を解いてみた方が、脳が定着できそうだと思っている
- 数式の説明が丁寧(そう)だった
- これはサンプルを見た範囲での判断
- お金を払って自分を追い込みたかった
- 良い動画コンテンツは探せばYoutubeやCourseraなどにもある(はず)
- しかし、有料コンテンツを購入することで、「せっかく払ったならやらないと…」という使命感を持たせたかった
どのように学んだ?
1周目は動画を見て、その後演習問題があるので紙とペンでそれを解く、の繰り返しでした。
また、問題によってはScipyなどを使って実装などもしてみたりしていました。(問題の権利の都合上、ソースは公開できませんが…)
主に退勤後の時間を使ってマイペースに進めていたので、一通りやるだけで2週間程度かかった記憶です。
2周目は演習問題をまず解いて、間違えたり数式がパッと出てこなかったりしたら動画を見直す、という方法でした。
これで一回だけだと理解の定着が難しい分野の再学習を行いました。これは1週間くらいです。
2周したところで、最後に過去問を使いました。
一通りの過去問は揃えていましたが、全部の年の過去問を浅くやるより、数年分を重点的にやった方が良いという考えで、3年分を重点的に勉強しました。
間違えた問題は、解説を読んだら、範囲が該当する講座の動画を再度見直して、演習問題を解き、時間をおいて再度その問題を解き直すようにしました。
この作業は本当は2~3週間程度取る予定でしたが、さまざまな都合できちんとできたのは直前10日程度でした。
そして受験
試験日は最悪落ちても7月の末までにもう一回受けられる日をと余裕を持って7/10に設定しました。
そして近所のプログラミングスクールで受けてきましたが、結果は幸い一発合格でした。
試験に関して言える範囲で言うと、試験の時間配分を間違えてしまうミスはあったものの、しっかり対策したおかげで自信を持って答えられた問題が多かったです。
講座を学んでどうだったのか
個人的には、本オンリーよりとてもわかりやすかったです。これは講座にもよると思いますが、今回受けた講座は式の展開が丁寧で、受講者が引っかかりそうな場所を口語で補完してくれていた印象です。
また、合間に演習があったのも期待通り定着に貢献してくれました。出てきた動画で出てきた知識をすぐに使うので、なんとなくわかった(わかってない)で終わらせないことがしっかりできたと思います。数学アレルギーも演習や過去問をガツガツ解いている間に、かなり薄まりリハビリすることができました。
統計検定2級を受けたいけど独学が苦手、という方にはぜひお勧めしたい講座です。
最後に、現在自分は再度統計検定準1級の勉強をしています。
2級に受かったとはいえ、非常に道のりは厳しいですが、2級に合格した土台があるのでかなり理解の進み方が違うことを感じています。
11月の1級が最終目標ですが、しっかりまずは準1級に合格できるように頑張ろうと思います。