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WIZnet W55RP20搭載・Platypus RS485–Ethernet変換モジュールの紹介

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概要

レガシーなシリアル通信機器(RS-485対応機器など)をインターネットに接続することは、IoT時代において重要な課題です。従来、このような機器をネットワーク対応させるには専用ゲートウェイの開発やPLCの置き換えなど大掛かりな対応が必要でした。しかし昨今、よりスマートな解決策が登場しています。WIZnet社の最新 ioNIC チップ W55RP20 を搭載した Platypus社製のRS-485⇔Ethernet変換モジュール は、その一例です。これは古いRS-485/422デバイスを簡単にイーサネット経由で接続できる画期的なデバイスで、本記事ではその概要と技術的特徴を紹介します。


W55RP20とは?

W55RP20 は、WIZnet社が開発した新しい System-in-Package(SiP) 型のネットワーク対応チップです。

この1チップの中に、以下が統合されています:

  • Raspberry Pi社のRP2040マイコン
  • WIZnet社の有線LANコントローラ W5500
  • 2MBのフラッシュメモリ

このチップは、RP2040ベースの デュアルコアARM Cortex-M0+ MCU を搭載し、W5500由来の ハードウェアTCP/IPスタック を内蔵しています。そのため、マイコンだけでEthernet通信を行う場合に比べ、ネットワーク処理の負荷を大幅に削減でき、安定した通信が可能です。

さらに、以下の特徴を持っています:

  • 2MBの内蔵Flashメモリ により十分なコード容量を確保
  • 1.8V~5.5Vの広範囲な電源電圧 に対応
  • コンパクトながら高機能 で、既存機器のIoT化を支えるのに最適

Platypus RS485–Ethernetモジュールとは?

Platypus社の「PP-Ethernet-RS-485/422」 は、その名の通り RS-485/422信号をEthernetに変換 する小型ながら高性能なコンバータモジュールです。

このモジュールには W55RP20チップ が搭載されており、シリアルからTCP/IPネットワークへのブリッジ をハードウェアで実現します。

特徴:

  • RS-485(半二重)だけでなくRS-422(全二重)にも対応
  • 工場やビル設備の制御ライン などのレガシー通信機器をそのままネットワーク化可能
  • 「非常にパワフルで安定性抜群のEthernet-RS485コンバータ」 と評されており、産業用途でも信頼性抜群

このモジュールを利用すると、以下のようなことが可能になります:

  • LANやインターネット経由でRS-485対応機器を接続
  • 工場内のセンサー群や古いPLC装置のリアルタイム監視
  • ビル管理システムの各種デバイス(エレベーターや空調制御盤など)をIPネットワークで管理

要するに、このモジュールを既存設備に追加するだけで「後付けIoT化」が実現できる のです。


技術的特徴・メリット

1. ハードウェアTCP/IPによる安定通信

W55RP20内蔵のW5500ネットワークエンジン が通信処理を肩代わりするため、マイコンの負荷を低減し、高速かつ安定した通信 が可能です。

特に、

  • 多数ノードとのやりとり
  • 長時間稼働でも通信が途切れにくい

といった点で、産業用途でも安心して使用できます。

2. 高い柔軟性(RP2040デュアルコアMCU搭載)

ユーザープログラムを書き込むことでカスタムデータ処理が可能 です。

  • シリアル通信プロトコル(例: Modbus RTU)をEthernet側で別プロトコル(例: Modbus TCP/IP)に変換
  • 工場やビルの既存通信インフラに適応

3. RS-485/422両対応

  • RS-485(半二重)とRS-422(全二重)を一つのモジュールで対応
  • ジャンパや設定変更のみで切り替えが可能
  • 既存システムへの適合が容易

4. 広範囲な電源電圧に対応

  • 1.8V~5.5Vの広範囲な電源電圧で動作
  • 古い5V制御盤から最新の3.3Vマイコン搭載基板まで対応可能

5. コンパクト設計

  • W55RP20のSiP統合により小型化
  • 省スペース筐体に後付けしやすい
  • 振動の多い環境でも安定した接続

応用シナリオ

1. 産業IoTへの活用

工場内の生産装置やセンサーをネットワークに接続 し、リアルタイムデータ収集や遠隔制御を実現。

例:

  • RS-485接続の温度センサ群をEthernet経由で集中監視
  • 異常検知時に即時アラートを発するIIoTソリューションに活用

2. ビルディングオートメーション

空調、エレベーター、照明制御 などのRS-485ベースの設備を クラウド連携による集中管理 へ統合。

大幅な改造不要で監視・制御の高度化(省エネ最適化や遠隔管理)が可能

3. レガシー機器の延命と遠隔監視

RS-232/485シリアル出力しか持たない古い機器をネットワーク化 し、遠隔からデータモニタリングや操作が可能。

  • 設備更新コストを抑えつつデジタルトランスフォーメーションを推進
  • 既存機器からデータを取得し、より有効活用

まとめ

本記事では、WIZnet W55RP20を搭載したPlatypus社製のRS485-Ethernetモジュール について、その概要と特徴を紹介しました。

  • RS-485機器をインターネットに接続
  • 低コスト・短期間で「後付けIoT化」が可能
  • 新しいチップ技術(RP2040 + W5500統合)を活用
  • デジタルトランスフォーメーション(DX)やレトロフィット技術の鍵

👉 参考: WIZnet公式サイトの成功事例記事(英語)
🔗 WIZnet Success Stories – Platypus RS485-to-Ethernet Module

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