この記事は株式会社SUPER STUDIO - Qiita Advent Calendar 2024の25日目の記事になります。
今年はなんと言ってもAIについてずっと考えていた年なわけですけど、新しいモデルが出るたびに、数学の問題を解かせたり、専門的な知識を問うたりと、その性能を多方面で皆さんがいろいろ検証してますよね。
僕は、「韻」で検索すると一番上に出てくることでお馴染みの韻ノートという韻検索エンジン(あえてリンクは貼りません。「韻」でググってください)を8年ほど前に開発して以降たくさんの方に使ってもらっているのですが、韻ノートにおいてはAIはまったく使わずに、if文やfor文を並べて同じ韻の単語を出すロジックをゴリゴリと書いているわけです。
そんなわけで、個人的には生成AIに「韻踏んで」って指示を出したらどれぐらいのクオリティで返してくれるかということにはここ数年ずっと興味があって、新しいモデルが出るたびに試してるんですが、GPT-4oまでは正直すごく微妙で、全然使いものになりませんでした。
そこで、じっくり考えてから回答をくれるというChatGPTのo1モデルなら、どないなもんかというのを試してみました。せっかくなので、「クリスマス」で韻を踏んでもらいましょう。
まずこれは微妙。最後の2文字だけ合わせるパターン。
文章としては一貫性があっていいけど、韻という観点ではレベルが低い。最後の2母音「a a」しか合ってないので、クリスマスなら5母音「u i u a u」をすべて合わせてほしい。
今までのモデルも、こういう感じで返してきてて、ここからどんだけ指導しても上手くなってくれなかった。o1 はじっくり時間をかけて考えてからのこのクオリティなので、フリースタイルの即興性を犠牲にしたということを考慮すると、悪化しているとさえ言える。
じゃあ教育したらどうか。韻とはどういうものかを教えてあげる。
おー、合ってる。考え方は合ってる。母音を合わせることを言うよって伝えただけで、理解してくれた。
けどフリヌマスって何やねん。
ほんで、なぜ母音をそろえるのか?のコーナー要らんねん。一時期流行った新書のタイトルみたいな解説コーナー求めてないねん。そんなん説明してる暇あったら実在する単語で探してほしいので、
おお!すごい!
これは何がすごいかって、もちろん「振り向かず」って日本語として成立する言葉を出してきてくれたのもすごいけど、「振り向く」っていう動詞を活用して母音を合わせにいってるのがすごい。
韻ノートを含むだいたいの韻検索エンジンでは、この世に存在する名詞をとにかくたくさんデータベースに入れて、ひらがなに変換して、それをさらに母音に変換してそれにインデックス貼って、同じものを出すって仕組みで動くから、動詞を活用した形と踏むってのはなかなかレベルが高い。ほんまにChain-of-Thought感あるというか、人間と同じ思考回路で韻を考えてる感じがしてとても良い。この調子でいってほしいので、
めちゃくちゃいい。例文まで出してくれた。
けどちょっとストックが尽きてきた感あるな、、、「振り向かず」と「釘打たず」は両方同じような構造やし、その次が「釘抜かず」で、もう「釘」っていう単語を使い回してもうてる。あと釘打ってへんならそら抜けへんよ。
なので、こっちから手助けしてみる。
受け入れてくれた。素直でよろしい。
不満な点は2点で、
- 例文が微妙
- 「土は踏まないけど韻は踏んでるよ」という粋な発言はスルー
もっかい言うたろ。
ありがとう。
ありがとう。
メリークリスマス!