勾配ブースティングは、機械学習の中でも特に強力な手法であり、予測性能が高いことで知られています。その中でも、「ヒストグラムベースの勾配ブースティング」は大規模データに対応するための効率的なアプローチです。本記事では、Pythonのscikit-learn
に実装されているHistGradientBoosting(HGB)と、人気ライブラリであるLightGBMのアルゴリズムの違いについて詳しく解説します。
※この記事は、ChatGPTの出力を基に作成しています。
1. 共通点
まず、HGBとLightGBMにはいくつかの共通点があります。
-
ヒストグラムベースアプローチ
連続値をビン化(ヒストグラム作成)して扱うことで計算効率を大幅に向上。特徴量の分割点の探索が高速になります。 -
勾配ブースティング
複数の決定木を逐次構築し、それぞれが前のモデルの残差(誤差)を修正する形で学習を進めます。
これらの共通点から、どちらの手法も高速かつスケーラブルな予測モデルを構築するのに適しています。
2. HGBとLightGBMの違い
それぞれの違いを具体的に見ていきましょう。
(1) ビン化(ヒストグラム生成)の方法
-
HistGradientBoosting
- 固定ビンを使用(デフォルトで256ビン)。
- 各特徴量の値域を等間隔に区切ってビンを生成します。これを全ての決定木で共有します。
- 例: 値域 [1, 10, 15, 20, 100] の特徴量に対して、等間隔で「0-20」「21-40」「41-60」... というビンを作成。
-
LightGBM
- 分位点ベースのビン化を採用。
- データの分布を考慮し、非均等なビンを生成します。分布が偏っている特徴量に対して、より適切な分割点を提供します。
- 例: 上記と同じデータに対して、「1-10」「11-20」「21-100」などのビンが作られる可能性があります。
違いの影響
- LightGBMは、偏りのあるデータ分布でも柔軟に対応可能。
- HGBは単純かつメモリ効率が高く、大規模データセットで有効。
(2) 欠損値の処理
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HistGradientBoosting
- 欠損値を「特別なビン」として扱います。
- 欠損値を含むデータを特定のノードに分岐させることで明示的に処理。
-
LightGBM
- 欠損値のデータが「左ノード」または「右ノード」のどちらに分岐するかを自動で最適化。
違いの影響
- HGBは欠損値が多い場合に解釈しやすい。
- LightGBMは欠損値が少ない場合でも適切に処理可能。
(3) 並列処理とGPUサポート
-
HistGradientBoosting
- scikit-learnのスレッドベース並列処理を使用。
- GPUのサポートはありません。
-
LightGBM
- 並列処理が非常に効率的で、GPUもサポート。
- 特に大規模データセットでの学習速度が非常に速い。
(4) 正則化
-
HistGradientBoosting
- シンプルな
l2_regularization
をサポート。 - 過学習を抑えるためのシンプルな正則化。
- シンプルな
-
LightGBM
-
lambda_l1
やlambda_l2
など、多彩な正則化オプションを提供。 - モデルのカスタマイズ性が高い。
-
(5) 早期終了
-
HistGradientBoosting
-
early_stopping
パラメータを指定するだけで、自動的に検証セットを使い、改善が見られない場合に学習を停止。
-
-
LightGBM
- 同様に
early_stopping_rounds
を設定可能。さらにカスタム検証指標にも対応。
- 同様に
3. コードで比較してみる
HistGradientBoostingの例
from sklearn.experimental import enable_hist_gradient_boosting
from sklearn.ensemble import HistGradientBoostingClassifier
from sklearn.model_selection import train_test_split
from sklearn.datasets import make_classification
# データセット生成
X, y = make_classification(n_samples=10000, n_features=20, random_state=42)
X_train, X_test, y_train, y_test = train_test_split(X, y, test_size=0.2, random_state=42)
# モデル構築
hgb_model = HistGradientBoostingClassifier(
learning_rate=0.1,
max_iter=100,
early_stopping=True
)
# トレーニングと評価
hgb_model.fit(X_train, y_train)
print(f"HGB Accuracy: {hgb_model.score(X_test, y_test):.2f}")
LightGBMの例
import lightgbm as lgb
from sklearn.model_selection import train_test_split
from sklearn.datasets import make_classification
# データセット生成
X, y = make_classification(n_samples=10000, n_features=20, random_state=42)
X_train, X_test, y_train, y_test = train_test_split(X, y, test_size=0.2, random_state=42)
# LightGBM用データセット
train_data = lgb.Dataset(X_train, label=y_train)
test_data = lgb.Dataset(X_test, label=y_test, reference=train_data)
# モデル構築
params = {
'objective': 'binary',
'learning_rate': 0.1,
'num_leaves': 31,
'metric': 'binary_error',
'early_stopping_rounds': 10
}
lgb_model = lgb.train(params, train_data, valid_sets=[test_data], num_boost_round=100)
# トレーニングと評価
preds = lgb_model.predict(X_test)
preds = (preds > 0.5).astype(int)
accuracy = (preds == y_test).mean()
print(f"LightGBM Accuracy: {accuracy:.2f}")
4. どちらを選ぶべき?
条件 | 推奨アルゴリズム |
---|---|
シンプルな実装が必要 | HistGradientBoosting |
大規模データで高速性が重要 | LightGBM |
カスタマイズ性(正則化やチューニング) | LightGBM |
Python環境で完結したい | HistGradientBoosting |
GPUを活用したい | LightGBM |
まとめ
HistGradientBoostingとLightGBMは、それぞれの特性に応じて使い分けることが重要です。HGBはシンプルで中規模データに適していますが、LightGBMは大規模データや高度なカスタマイズに適しています。
最適な選択をするためには、データの規模や目的に合わせてこれらのツールを使い分けることがポイントです!