はじめに
今回は、「新米データサイエンティストの日常」シリーズの第1弾になります。
新米データサイエンティストが躓きがちなテーマについて、先輩データサイエンティストと会話しているシーンをChatGPTに生成してもらいました。
登場人物(架空)
👩💻 佐藤 :新卒1年目の新米データサイエンティスト。OJTで実務を学んでいる最中。
👨🏫 田中 :実務経験5年の先輩データサイエンティスト。佐藤のOJT担当。
💬 モデルの評価指標を選ぶ
佐藤: 田中さん、ちょっとモデルの評価について相談したいんですが、今いいですか?
田中: もちろん!どうしたの?
佐藤: クレジットカードの不正検知モデルを作ってみたんですが、Accuracyが98%くらい出ていて、結構いい精度になったと思うんです。
田中: なるほど、Accuracyね…。ちょっと待って、それって不正な取引の割合ってどのくらい?
佐藤: えーと…確か、全体の0.5%くらいですね。ほとんどの取引は正常です。
田中: そしたら、Accuracy 98%っていうのは実はあまり意味がないかもしれないよ。
佐藤: えっ、なんでですか?98%って、結構良い数字に見えますけど…。
💡 Accuracyの落とし穴
田中: じゃあ、ちょっと極端な例を考えてみよう。仮にすべての取引を「正常」と予測したら、Accuracyってどのくらいになると思う?
佐藤: えーと…0.5%が不正だから、残りの99.5%は正常ですよね。だから、全部「正常」って予測すれば…99.5%?
田中: そう、それが問題なんだよ。もしモデルが何もせずに「すべて正常」と予測したら、99.5%のAccuracyが出る。でも、それって不正取引を1件も検知できてないよね?
佐藤: …たしかに!じゃあ、Accuracyが高いだけじゃダメなんですね。
田中: その通り。不正検知のように不均衡データ(正常がほとんどで、不正が少ないデータ)の場合、Accuracyは役に立たないことが多いんだ。
📊 PrecisionとRecallの重要性
佐藤: じゃあ、どうやってモデルの性能を評価すればいいんでしょうか?
田中: ここで重要になるのが、**Precision(適合率)とRecall(再現率)**だよ。
佐藤: それ、授業で聞いたことあります!えーと、Precisionは「不正と予測した取引のうち、本当に不正だった割合」ですね。
田中: そう!じゃあ、Recallは?
佐藤: Recallは「実際の不正取引のうち、モデルが正しく検知できた割合」…ですよね?
田中: 正解!で、不正検知では特にRecallが重要になることが多い。なぜかわかる?
佐藤: えーっと…不正を見逃すと、クレジットカードの持ち主や会社に大きな損害が出るから…ですか?
田中: その通り!もしモデルが「正常」と間違って予測すると、不正を見逃すことになる。それは会社にとって大問題だよね。
⚖ PrecisionとRecallのトレードオフ
佐藤: でも、Recallばかり重視すると、普通の取引も「不正」と判定しちゃいませんか?
田中: いい視点だね!実際、Recallを上げるには「とにかく不正っぽいものを全部検知する」方向にするから、誤検知が増えてしまう。
佐藤: たとえば、正常な取引までブロックされちゃうと、お客さんが困りますよね…。
田中: そうそう。だからPrecisionとのバランスを取る必要があるんだ。そのバランスを評価する指標がF1スコアだよ。
佐藤: F1スコアは、PrecisionとRecallの調和平均を取る指標でしたよね?
田中: その通り!PrecisionもRecallも高いほど、F1スコアが高くなる。だから、不正検知モデルの評価には、AccuracyよりもF1スコアを見たほうがいいんだよ。
📈 ROC-AUCも見るべき?
佐藤: ところで、ROC-AUCも見たほうがいいって聞いたんですが、不正検知にも使えますか?
田中: うん、使えるよ!ROC-AUCは、モデルが「不正」と「正常」をどれだけうまく区別できるかを測る指標なんだ。
佐藤: なるほど…AUCが1.0に近いほど、モデルがしっかり分類できているってことですね?
田中: そういうこと!でも、ROC-AUCだけだと不均衡データに弱いことがあるから、**PR-AUC(Precision-Recall AUC)**を見るのもアリだね。
佐藤: なるほど!じゃあ、まとめると…
✅ クレジットカード不正検知の評価指標
指標 | 役割 |
---|---|
Precision | 誤検知を減らす(正常な取引を不正と誤認しない) |
Recall | 不正を見逃さない(重要) |
F1スコア | PrecisionとRecallのバランスを見る |
ROC-AUC | モデル全体の判別能力を測る |
PR-AUC | 不均衡データでも適切に評価できる |
🎯 最適な評価指標の選び方
佐藤: じゃあ、今回のモデルでは、Recallを重視しつつ、Precisionとのバランスも考えてF1スコアをチェックするのが良さそうですね!
田中: そうだね!ただ、実際の運用ではビジネス的な要件も考える必要があるよ。たとえば「誤検知を増やしても、不正を徹底的に防ぎたい」ならRecall重視、「顧客への影響を最小限にしたい」ならPrecision重視、というふうに調整するんだ。
佐藤: なるほど、単に機械的に指標を選ぶんじゃなくて、ビジネスの目的に合わせるのが大事なんですね!
田中: そういうこと!よく理解できてるね。次は、実際にPrecisionやRecallを計算してみて、どう調整するか考えてみようか。
佐藤: わかりました!頑張ります!
💬 PrecisionとRecall、どっちがどっち?
佐藤: 田中さん、さっきの話、理解できたつもりなんですが…正直、PrecisionとRecallの意味がいつもごっちゃになるんですよね…。
田中: それ、めちゃくちゃ分かるよ(笑)。実は、僕も最初は混乱してた。いい覚え方があるから教えるね。
佐藤: ぜひお願いします!
🎯 Precisionの覚え方
田中: まずは**Precision(適合率)**からいこうか。これは「不正と予測したもののうち、本当に不正だった割合」だったよね?
佐藤: そうですね。でも、なんで「Precision」っていうんですか?
田中: Precisionは「精密さ」とか「正確さ」って意味があるよね?つまり、「不正と言ったものがどれくらい本当に不正だったか」を測っているんだ。
佐藤: あっ、なるほど!適当に「不正!」って言ってると、Precisionが下がるってことですね。
田中: そうそう。だからPrecisionが高いってことは、「怪しい」と言った取引の中に、本当に不正が多いってこと。
佐藤: たとえば…裁判で言うと、「有罪判決を出したうち、どれくらい本当に犯罪者だったか」みたいな感じですか?
田中: まさにその通り!だから、冤罪を減らしたいならPrecisionを重視するんだ。
佐藤: なるほど…じゃあ、不正検知でPrecisionを上げるには?
田中: 「本当に怪しいものだけを不正と判断する」ように閾値を厳しくすると、Precisionは上がる。でも、その分、見逃す不正も増えちゃうから気をつけないとね。
佐藤: たしかに…Precisionを上げすぎると、Recallが下がるわけですね。
🚨 Recallの覚え方
田中: 次にRecall(再現率)。これは「実際の不正取引のうち、どれくらい検知できたか」だったよね?
佐藤: はい。でも、「再現」っていう単語がいまいちピンとこないんですよね…。
田中: うん、それも分かる。「再現」っていうのは、「不正をどれだけちゃんと見つけられたか」っていう意味だと思うといいよ。
佐藤: うーん…Precisionは「精密さ」だけど、Recallは「網の広さ」みたいな感じですか?
田中: そうそう!例えば、漁師が魚を獲るときに「大きな網」を使えばたくさんの魚を獲れるよね?
佐藤: でも、大きすぎる網だと、小魚まで獲っちゃうし、ゴミも引っかかる…?
田中: そう!それがまさに**「Recallを上げすぎると、Precisionが下がる」**という話だね。
佐藤: たとえば、裁判で言うと「本当の犯罪者をどれだけ逃さずに捕まえられるか」ってことですね?
田中: そう!だから**「犯罪者を見逃したくないならRecallを重視」**するんだ。
佐藤: なるほど…!
⚖ PrecisionとRecallのトレードオフ
佐藤: じゃあ、まとめると…
- Precision = 有罪判決を出した人のうち、本当に犯罪者だった割合(冤罪を減らしたいなら重視)
- Recall = 実際の犯罪者のうち、どれだけ捕まえられたか(見逃したくないなら重視)
ってことですね?
田中: その通り!で、不正検知では「犯罪者を見逃す」ほうがヤバいから、普通はRecallを重視するんだ。
佐藤: でも、それだとPrecisionが下がって、無実の人まで「不正!」って言っちゃうんですよね?
田中: そう。それでバランスを取るためにあるのが、F1スコアだよ。
📏 F1スコアの覚え方
佐藤: F1スコアって、PrecisionとRecallのバランスを取る指標でしたよね?
田中: そうそう。「調和平均」を使ってるから、どっちかが極端に低いと、F1スコアも低くなるようになってるんだ。
佐藤: えーっと…たとえば、Precisionが100%だけどRecallが1%だと、F1スコアはあまり高くならないってことですね?
田中: そう!どっちもある程度バランスが取れてないと、F1スコアは上がらないんだよ。
📊 ROC-AUCとPR-AUCの違い
佐藤: あと、さっき言ってたROC-AUCとPR-AUCって、どう違うんでしたっけ?
田中: 簡単に言うと、ROC-AUCは全体の分類能力を測るのに対して、PR-AUCは特に少数派(不正取引)の検出能力を測るんだ。
佐藤: 不均衡データではPR-AUCを使ったほうがいいってことですね!
田中: その通り!実際の業務では、Precision-Recallカーブを見ながらモデルの性能をチェックすることが多いよ。
📌 佐藤の覚え方メモ
指標 | 覚え方 | 使いどころ |
---|---|---|
Precision(適合率) | 「有罪判決を出したうち、どれくらい本当に犯罪者か」 | 誤検知を減らしたいとき |
Recall(再現率) | 「実際の犯罪者をどれだけ逃さず捕まえたか」 | 見逃しを減らしたいとき |
F1スコア | PrecisionとRecallのバランスを見る | 両方をバランスよく評価したいとき |
ROC-AUC | 全体の分類能力を測る | クラスのバランスが取れているとき |
PR-AUC | 少数派(不正)の検出能力を測る | クラスが不均衡なとき |
🚀 最後に
佐藤: ありがとうございます!これでPrecisionとRecallがスッキリしました!
田中: よかった!あとは実際にPrecisionとRecallを変えながら、どんな影響が出るか試してみるのが一番だね。
佐藤: はい!モデルの評価結果を見ながら、調整してみます!