LINE API Expert(LAE)の山本です。1年間育休を取って育児に専念し、10月に仕事復帰してバタバタした日々を送っています。
そんな中、個人開発でローカルメディアを立ち上げて、ローカルメディア用のLINE公式アカウントを開発してグロースを頑張っていました。
そこでLINEDCのアドベントカレンダーではローカルメディアのLINE公式アカウントの開発内容とお友達を増やすために行った取り組みを紹介します。
個人でローカルメディアを立ち上げ
2024年6月にローカルメディアを立ち上げました。きっかけは子どもの誕生です。
家族が増えたため家が手狭になってきたので、東京の多摩地区に引っ越しました。
(家の広さは2倍になりながらも、家賃はむしろ下がるという嬉しい限りです。)
引っ越し先の最寄り駅周辺には複数の商業施設もあり、毎月フリーマーケットやキッチンカーが出店するイベントも開催されて住み心地がよいです。
ただ色々イベントはあるのに、情報が見つけられず、気づいたら開催されていたイベントも多くありました。
「せっかく街を盛り上げようとイベントを企画しているのに、住民も知らないのは勿体ない!なら自分で集めて発信しちゃおう」
とローカルメディアの運営を始めました。
サクッと独自ドメインを取って、レンタルサーバーでワードプレスをインストール、Cocoonのテーマ適用や設定、HTTPS化などおよそ3日の突貫で作りました。
最寄り駅に特化したローカルメディアへのニーズはやはりあったようで、開始2ヶ月で1万PVを超え、開始6ヶ月目は4万PV超とまずまずのアクセスを獲得できています。
最近では地元の人々にも認知されるようになってきて、掲載依頼の連絡も来るようになりました。
地域の人とのチャネルにLINE公式アカウントを開発
ローカルメディア以外に地域の人とのより密度の高いタッチポイントを設けたいと考え、LINE公式アカウントも始めました。
ローカルメディアの情報を紹介するだけでなく、よりダイレクトなやり取りや情報発信ができるためです。
こちらはローカルメディア立ち上げから少し遅れて、7月から運用を始めました。
ローカルメディアの新着記事が読める以外に、地域で生活する上で役に立つ以下の機能を実装しています。
- 近隣スーパーのチラシをまとめて読める
- 最寄駅の上下線の時刻表を確認できる
- 駅前映画館の上映スケジュールをチェック
自分が当該エリアに住んでいることもあり、自分が欲しい機能を実装しました。
自分でも近くのスーパーの安売り情報を調べたり、見たい映画をチェックしたり、会社に出社する際に時刻表を調べるのに重宝しています。
LINE公式アカウントのお友達は470人突破
ローカルメディアのLINE公式アカウントもじわじわとですが、友だち数が増加し、2024年12月時点で470人を突破しました。
最寄り駅の乗降者数が5万ちょっとなので、もうすぐ1%に達することができそうです。
今時点の目標がお友達1000人なので、ちょうど目標地点まで半分のところまで来ています。
ただ現在は無料プランを利用しているため、すでに無料枠メッセージ上限200通は超過しています。
そのため、カスタムオーディエンスを用意して、無理やり200人に絞り込んでプッシュメッセージを毎月1回だけ送っている状態です。
せっかく登録してくれたお友達全員に通常メッセージが送付できないため、有料プランへの移行を検討しています。
LINEアカウントはGASで開発
LINEアカウントはGoogle Apps Script(GAS)でMessaging APIを使って開発しました。
後述する生成AIを使ったLINE botをたくさん作ってきたので、既存のLINE botのプログラムを改良して2日ほどで作り上げました。
基本的な機能としてはLINEメニューをタップすると、特定ワードがトーク画面で投稿されます。
メニューによるワードが投稿された場合は、当該機能の応答を返すようにしています。
- 「チラシが含まれる」→スーパーのチラシ画像
- 「映画館が含まれる」→映画館の上映スケジュール
- 「時刻表が含まれる」→最寄駅の時刻表と運行情報
※それ以外の投稿は生成AIが解答
時刻表については投稿された曜日で平日用・土日祝用の制御をしています。
投稿された日が平日か土日祝かを判定し、それぞれに対応した時刻表を返しています。
さらに0時〜1時に調べた人はその日の終電時刻を知りたい人が多いです。
そこで日付が変わっても1時までは前日の日付を返すようにしています。
金曜日に0時回って 「終電は何時だっけ?」 と調べた際に、翌日の土日用時刻表が出て 「知りたいのはそれじゃない!」 を防いでいます。
運行情報をスクレイピングしているので、遅延があったときなどに確認もできて便利です。
LINEアカウントはGASによる運用のため、維持コストは無料で済んでいます。
今時点でマネタイズなどできていないので、維持コストがかからないのはありがたいです。
ローカルメディアのLINEはグロースは大変
これまでもLINE公式アカウントを作成して、お友達を増やしてきました。
しかし、ローカルメディアのLINE公式アカウントの運営は初めてでした。
そこで感じたのはお友達追加の大変さです。
過去に個人開発してきた生成AIなどを活用したLINE botなどの場合、QiitaやZenn、自分のブログ、XなどのSNSで紹介すれば、お友達を増やすことができました。
しかし、ローカルメディアの場合、この方法は難しいです。
なぜならローカルメディアでは当該エリアに住む人にお友達追加してもらいたいからです。
ウェブで友達を増やしてしまうとそうではないユーザーが増えてしまいます。
(仮にお友達追加されても当該地域でないとブロックや友達解除に)
※本当だったらこの記事でも紹介したいのは山々なのですが、上記理由で紹介ができず…
そのため、ローカルメディアのLINE公式アカウントでお友達を増やすには、地道な努力が必要になります。
LINEのお友達を増やすためにやった施策
ローカルメディアのLINE公式アカウントのお友達を増やすためにやった施策は以下の2つです。
- ローカルメディア上のよい場所に誘導枠を設置
- SNSでも地域情報と絡めてLINEお友達追加を宣伝
ローカルメディア上で記事を読む体験を阻害せず、かつ目に止まりやすい場所にLINEお友達追加の動線を設置しました。
その場所は①記事ページの記事終わりと②トップページの新着記事一覧の末尾の2箇所です。
①記事ページでは記事中に誘導枠を設置したほうがユーザーの目には留まりやすいものの、記事本文に誘導枠が差し込まれるので、読者体験が阻害されます。
そこで、記事読了したタイミングのできるだけ視認率が高く、「また読みたい」と思った人に登録してもらえる場所に誘導枠を設けています。
②ローカルメディアでは個別記事へのアクセスに加えて、トップページにも多くのアクセスがあります。
そこでトップページの新着記事一覧の10件表示された場所にもLINE友達追加の誘導枠を設けています。
これらの誘導枠によって1日2,3人のお友達が獲得できています。
1日のアクセス数が1300PV程度で2,3人獲得と考えると、マーケティングでよく言われる「千三つ」というのはその通りだなと実感します。
さらに、ローカルメディアと合わせてXのSNSを始め、投稿でインプ数が大きかった場合にLINEお友達追加をぶら下げ投稿するなどしました。
特に最寄駅の電車遅延などのタイミングで遅延情報と合わせて、「◯◯線◆◆駅の遅延情報が確認できる」としてLINEアカウントのお友達リンクをつけてXのアカウントでポストしました。
投稿するタイミングなどにもよりますが、8月30日におきた台風で鉄道の遅延が発生した際、Xで投稿したところ、多くのユーザーにお友達追加してもらえました。
やみくもなSNS投稿ではあまり効果はありませんが、うまくローカルメディアの対象エリアと関係性の高い投稿をすると、多くの友達を獲得することができました。
いずれも愚直に取り組むしかない施策ですが、ローカルメディアなどでは一瞬の注目を集めるのではなく、地道に取り組むことが大切と感じています。
ただそのおかげで、ユーザー86.5%の地域が東京という狙った形でのお友達獲得に成功しています。
生成AI系のLINE botとの友だち傾向の違い
ローカルメディアのLINE公式アカウントはお友達を増やすのが大変ですが、生成AIなどのLINE botとは違ったよい点もあります。
その1つがブロック数の少なさです。
これまで運営してきたLINE botはブロック率がすべて10%を超えていました。
中にはブロック率が20%を超えるものもあり、1000人友だち追加されても200人からブロックされている状態です(汗)
ローカルメディアのLINE公式アカウントはその点でブロック率は5%以下とかなり低い数字です。
やはり地域の情報を得られるLINEアカウントということで、ブロックされづらいと推測されます。
また、生成AIなどのLINE botでは友だち追加してくれるユーザーの多くは男性で、女性は少ないです。
これまで個人開発した生成AI系のLINE botはQiitaやZennで紹介して友達を集めてきたため、そのQiitaやZennのユーザー属性がそのまま反映されていました。
一方、ローカルメディアのLINE公式アカウントは女性が70%弱を占めており、これまで運営してきたLINEアカウントとはユーザー属性が大きく異なっています。
イベントやセール情報など、生活に役立つ便利な情報を発信するローカルメディアのアカウントということで、女性と相性がよいようです。
うまくお友達の数が1000人、2000人となれば、集客効果も見込めるようになり、 「◯◯駅周辺に住む*千人に、LINEでアプローチできるローカルメディア」 としてマネタイズ展開もできるのではと期待しています。
終わりに
ローカルメディアの公式LINEをGoogle Apps Script(GAS)で開発し、お友達追加のグロースを頑張った話を紹介しました。
周辺のスーパーのチラシ情報や最寄り駅の時刻表など、その地域に住んでいる人に便利な情報を提供するLINEをGASを使って無料で運営しています。
ローカルメディアのターゲットである地域の人に友達追加してもらうため、ローカルメディアからうまくLINEお友達追加につなげる導線を用意しました。
さらにSNSでも地域と絡めた投稿でお友達を追加してもらうなど、地道なグロースによって運営5ヶ月でお友達470人を突破しました。
目標である千人には道半ばですが、2025年も引き続きローカルメディアに注力しながら、LINEアカウントのグロースも継続して目標達成したいと思います。