ChatGPTを使った〇〇(例:ChatGPTを使ったアプリ、ChatGPTによる自動生成サービス)は、こうしたワードがQiitaやSNSに飛び交っています。
しかし、実際にChatGPTを使ったものではなく、OpenAIのGPT-3.5系文章生成AIのAPIで作ったアプリやサービスがほぼ100%です。
以前は 「はいはい、ChatGPTじゃなくてOpenAIのAPIでしょ。」 で片付けられましたが、OpenAIが「ChatGPTのAPIを提供予定」とアナウンスしたことでややこしくなっています。
水曜日ということで、「ChatGPTを使ったアプリ(サービス)、ChatGPTじゃない説」 を検証し、注意喚起と命名ルールを提案したいと思います。
ChatGPTのAPIがついに一般公開されました。
Youtube動画にて、ChatGPTのAPIについて解説しています。今後は本物のChatGPTアプリが誕生しそうです!
2023年大注目のChatGPT
2022年11月に彗星のごとく登場した文章生成AIのChatGPTはセンセーショナルな出来事でした。
多くのユーザーがChatGPTに夢中になり、色々な試行錯誤をしています。
さらに、マイクロソフトの巨額出資のニュースもあり、ChatGPTは大きく盛り上がっています。
数十億ドルの投資と発表され、Googleも危機感を感じていると報じられています。
ChatGPTを謳ったサービスが登場
そんな話題のChatGPTを名前に謳っているサービスが多数登場しています。
- ChatGPTを使った質問アプリ
- ChatGPTによる自動記事生成サービス
- ChatGPTによる拡張機能
- ChatGPTのチャットボット
しかし、これらのサービスのほとんどは、実はある問題を抱えています。
ChatGPTを使ったアプリ(サービス)、ChatGPTじゃない説
これらのChatGPTを謳ったアプリやサービスは、実際にはほとんどがChatGPTではありません。
なぜならば、ChatGPTは2022年11月に公開されるも、Webサービスとしてブラウザ利用しかできない状態だったからです。
アプリやサービスを展開するにはAPIで連携する形になりますが、ChatGPTにはAPIは用意されていませんでした。
そのため、ChatGPTを冠したサービスは実はChatGPTではなく、OpenAIが提供するGPT-3.5系の文章生成AI(主にdavinci-003)を使っています。
ChatGPTもGPT-3.5系の言語モデルのため、基本的に同じ仕組みですが、モデル構築に使ったデータなど大きく異なります。
それゆえに、ほとんどの「ChatGPTの○○」は正しくは「OpenAIの文章生成AIを使った○○」です。
OpenAIはトライアルで3ヶ月限定18ドルまで無料で使え、以下の記事のように簡単にスプレッドシートなどで利用できます。
2022年12月~2023年1月中旬までは、ChatGPTのアプリと聞いても、「ああ、OpenAIのAPI使ったアプリね」 と判断できたものの、後述する出来事でややこしくなりました。
OpenAIがChatGPTのAPIリリース予定と発表してややこしく
2023年1月17日にOpenAIが、ChatGPTのAPIをリリース予定であると発表しました!
ChatGPTのAPIを使いたい人向けにウェイトリストが公開され、APIを希望するユーザーが申込に殺到しました。
その4日後には海外ユーザーでプロプランが選択できるようになったと報告があり、ごく少数のユーザーはAPIが使えるようになっています。
ChatGPT goes paid today! 🔥
— James Ivings (@JamesIvings) January 21, 2023
RIP all the free tools exploiting the closed API 🤪 pic.twitter.com/ARbDyqHIyl
ただ、まだごくわずかのユーザーにしかプロプランは開放されていないため、OpenAIが提供するGPT-3.5の文章生成AIのAPIを使っているサービスが大半です。
さらに今後はChatGPTのAPIを使った本物のChatGPTアプリと、OpenAIのAPIを使ったアプリが混ざるようになり、複雑怪奇な事象に繋がります。
一部のサービスでは、バックエンドはOpenAIのAPIなのに、「ChatGPTのアプリすごい!」ともてはやされている事象も起きています。
誤解を生まない命名・ルールが推奨
今後、ChatGPTのAPIがリリースされることで、ChatGPTの名前がついたアプリ・サービスはますます混迷を極める予定です。
既存のOpenAIのAPIを使ったサービスが、すべてChatGPTのAPIに置き換わればよいです。
しかし、置き換わらない場合にユーザー側はChatGPTを使っているのか、OpenAIのtext-davinciを使ってるのか分からなくなります。
ユーザーに誤認を招くようなサービス・アプリは、ユーザーフレンドリーではありません。
そうしたユーザーの誤解を防ぐために、以下の命名やルールが推奨されます。
- ChatGPTではないことがわかる名前
- アプリ/サービス説明にChatGPTではないことを明記
ChatGPTではないことがわかる名前
ChatGPTじゃないのに、ChatGPTのアプリは命名としておかしいです。
ただ、バズワードな「ChatGPT」をアプリ名やサービス名に使いたい気持ちは理解できます。
そこで、ChatGPTでないことが名称からわかるようにしましょう。
- ChatGPT風
- ChatGPTライク
- ChatGPTみたいな
「みかん風ジュースといえば、無果汁っぽいな」 と判断できるように、こうした表現を盛り込むことで誤解をへらすことができます。
私もOpenAIのAPI(text-davinci)を使ったLINE botを作った際は上記の指針を取りました。
「ChatGPT風に対話できる」として、ChatGPTではないことが分かるよう注意しました。
アプリ/サービス説明にChatGPTではないことを記載
アプリやサービスであれば、ランディングページなどでどういった内容か説明するページがあります。
また、Qiitaなどのブログで紹介する場合はほぼ無制限に説明を付け加えることができます。
その中に、ChatGPTではないことを記述しておきましょう。
ただ、ChatGPTを謳いたい気持ちはわかるので、名称は含める形で下記のような記述にしましょう
- ChatGPTを開発したOpenAIが提供する文章生成APIを使った~
- ChatGPTと同じ自然言語処理モデルであるGPT3.5系を用いた~
上のような文章に加え、「ChatGPTを使っていない」 と説明があるとユーザーの誤解を防げるので親切です。
先程紹介したLINE botもサービス紹介ページに「ChatGPT自体はAPIが公開されていないため、ChatGPTと同じではありません。」と記事内に明記しました。
終わりに
今日は水曜日ということで、「ChatGPTを使ったアプリ(サービス)、ChatGPTじゃない説」 を検証してみました。
QiitaやTwitterを賑わす「ChatGPTを使った〇〇」は、実際にはOpenAIのtext-davinciのAPIを使ったサービスがほとんどです。
もともとはエンジニアやAIに詳しい人だったら、ChatGPTにAPIがないため一発で識別可能でした。
しかし、2023年1月17日にOpenAIがChatGPTのAPIが近日リリース予定と発表し、一部ユーザーが有償版のプロプランを使えるようになりました。
このままだと、ChatGPTなのか、OpenAIの同じGPT-3.5系のdavinciのAPIなのか、ユーザーは分からなくなります。
そうした誤解を招く名称を使うことはユーザーのためにはならず、むしろ騙されたと感じる人も出てきます。
ユーザーフレンドリーを目指すため、ChatGPTをバズワードのように使わず、命名や説明を心がけてほしいと切に願います。
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