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渾身の個人開発で「誰にも使ってもらえない」に陥らないための5つの指針

Last updated at Posted at 2022-03-07

ある日、天啓を受けたかのように頭に浮かぶアイディア。

そこからの設計→実装→実装の熱量によって生み出された個人開発の自信作!

「バズったらどうしよう?」と思いながらも、期待に胸を膨らませてサービスを公開した個人開発者に襲いかかる 「誰にも使ってもらえない問題」

そんな個人開発あるあるな、せっかく作ったサービスが自分しか利用者がいない事態を防ぐための5つの指針を紹介します。

自信作のサービス、「使ってるの私だけ?」

個人開発ユーザーは、「これは役に立つサービスだ」と考え、サービス・プロダクトを開発します。

本業がある方は、本来であれば趣味に使えた余暇時間を費やして開発します。

お子さんがいるお家でも、こどもと過ごす時間の合間を縫い、実装します。

そうした自分の時間を費やし、熱量をもって個人開発されたサービスは渾身の力作です。

リリース直前には 「バズって、システム利用料が高額になったらどうしよう?」 と、未来を思い描いています。

しかし、いざリリースしたところ、「誰にも使ってもらえない」が発生します。

管理画面やログを眺めても、「使っているの自分だけ(お試しに数人)」を示す実行履歴が表示されています。

「誰にも使ってもらえない」から脱出するために

私も「誰にも使ってもらえない」問題にハマりました。

かつて作った個人開発サービスは、実行履歴が自分しかない状態でした。

今も公開していますが、インターネットにただ存在しているだけになっています。

そうした反省点を踏まえ、誰にも使ってもらえない沼から脱出するため、色々作戦を練って、「瞬間Deep和訳」を個人開発しました。

この瞬間Deep和訳は、LINE Messaging APIを使ったLINEアカウントで、トーク画面で英文を写した画像を送ると、画像をOCRして翻訳結果を返信するサービスです。

https://auto-worker.com/blog/?p=5075
※QRコードまたはリンクからLINEアプリで友達追加できます。

https://line.me/R/ti/p/%40546jpbvi

前述した作戦・戦略を練ったことで、リリースして9日目で友だち追加数が50を突破し、自分以外に50人のユーザーが利用してくれました。

さらに、その後も友だちの数は増えていき、リリース後1ヶ月(28日)で友だちが100人を突破しました。

ヒットサービスとまでは言えませんが、サービスとして 0→1 ぐらいには成長することができました。

その経験を踏まえ、「誰にも使ってもらえない」問題を回避するための戦略を紹介します。

1.「優れたサービスなら利用されるはず」という考えは捨てる

エンジニアは「優れたサービスであれば利用される」という考えをもつ人が多いです。

もちろん、いいサービスはその利用体験や、利便性からユーザーを引きつけることができます。

では、だからといって、優れたサービスだから勝手に広がるわけではありません。

qiita003.jpg
毎日、日本のどこかで個人開発サービスがローンチされている現在の状況では、優れたプロダクト・サービスですらも埋没します。

もちろん、過去にヒット開発があったり、エンジニア系インフルエンサーであれば別ですが、多く個人開発者はそんなことはありません。

だからこそ 「優れたサービスなら利用される」 という考えは個人開発では捨てる必要があります。

※実際には企業開発でも同様で、競合よりも優れたサービスでも利用されないケースはよくあります。

2.といってもストロングポイントは必須

優れたサービスなら利用されるという考えは捨てなければなりませんが、「優れてなくてもOK」 ではありません。

ユーザーを引きつけるために、そのサービスの強みを用意しなければなりません。

強みがなければ、ユーザーの興味すら引けずに終わるので、一言で言える強みを用意しましょう。

qiita004.jpg

ストロングポイントを一言で表すキャッチコピーは、サービスの告知で利用でき、ユーザーが使ってくれるかに大きな影響を及ぼします。

前述した私の「瞬間Deep和訳」の場合、 「英文画像を高精度でOCR翻訳する無料LINEアカウント」 です。

  • 無料
  • 手軽
  • 高精度

の3つがストロングポイントとなっています。

3.車輪の再発明になっていないか?振り返る

よく個人開発に起きるパターンが、「それ〇〇でよくない?」です。

すでに広く利用されているサービスと提供する価値が同等になっているパターンです。

例えば、翻訳に関する個人開発サービスには、競合が多く存在します。

単なる翻訳のWebアプリの場合、DeepLやGoogle翻訳の方をユーザーは選びます。

個人開発したサービスの機能をカバーしている類似サービスがあれば、完全に車輪の再発明です。

qiita005.jpg

この場合、大きく普及するのは難しいので、ストロングポイントを見直しましょう。

競合調査した中で見つけた隙間領域の機能を実装することで、ストロングポイントになりえます。

「瞬間Deep和訳」はLINE×GoogleOCR×DeepLという組み合わせによって、「LINEで簡単に使える高性能な和訳サービス」を実現しました。

4.ユーザーの使用障壁をできるだけ下げる

ユーザーは利用する前に必要な手間が多ければ多いほど、利用せずに立ち去ります。

  • 会員登録が必要で、個人情報を取得する
  • アプリのダウンロードが必要
  • サービスの操作方法がわからない

自分がちょっと利用してみたいなと思っても、会員登録でたくさんの数の入力画面がでてきて、そっとタブを閉じた経験はありませんか?

アプリインストールの先にユーザー登録が必要と言われ、開かなくなったアプリはありませんか?

頑張って使用画面まで来たけど、どうやって使うのか分からないからやーめた。となったことも多いです。

qiita006.jpg

使ってもらうためには、できる限りユーザーの使用障壁を下げる必要があります。

  1. 会員登録不要で利用できるようにする
  2. Webサービスとして公開し、アプリインストールは不要にする
  3. ユーザーが直感的に使い方が理解できるUIに

瞬間Deep和訳では、会員登録不要はもちろん、LINEアカウントという選定を行いました。

LINEアカウントは、すでにスマホユーザーの大半がLINEアプリをインストールしていて追加する必要がありません。

さらに、LINEという使い慣れたアプリを利用しているため、ユーザーは操作方法を分かりやすく、操作に困ることも少ないです。

このように、ユーザーが使用するあたって障壁となるような項目はできるだけ減らす必要があります。

5. 1に告知、2に告知、3,4がなくて5に告知

残念ながら、どれだけ優れたサービス・プロダクトでも知らなければ、ユーザーに認知されなければ、使われることはありません。

これは個人開発に限ったことでなく、企業で開発したサービスでも起こりえます。

ユーザーに使ってもらうためには、ひたすら告知を重ねるしかありません。

「このサービス、超便利!」ってTwitterやFacebookで誰か口コミしてくれないかな~?

という幻想をつい抱いてしまいますが、そんなユーザーは1%程度しかいないと思ったほうがいいです。

そう考えると、利用者が100人超えて、ようやく1人がそうしたコメントをくれるレベルです。

であれば、個人開発のサービスは実は開発フェーズよりも、利用者を増やす告知フェーズが重要になってきます。

Twitter、Facebookなどもちうる全てのSNSアカウント、さらにQiitaやZenn、はてなブログなど、あらゆる媒体での告知活動に全力を投じなければなりません。

実際に使ってもらえるのが5%だったとしても、2000人にリーチできれば、100人になります。

自分のSNSアカウントの場合、バズらない限り、フォロワー数で影響範囲が限定されますが、QiitaやZennなどはプラットフォームなので、うまく行けば、多くのユーザーの目にふれることができるかもしれません。

多くの個人開発されている方の動きを見ると、QiitaやZennに個人開発サービスのリリース記事を1本載せて終わっています。

しかし、それだけでバズって、集客できることはほとんどありません。

リリース記事を出すことはもちろん、技術的な解説記事や、実際に個人開発のサービスを運営しての利用状況などを紹介し、ユーザーへの告知に努めましょう。

私も自分のブログを運営していますが、そちらと別にQiitaとZennに

  • 瞬間Deep和訳のリリース記事
  • 瞬間Deep和訳リリース10日後の利用状況分析
  • LINE Messaging API選定のメリット・デメリット

の記事を投稿して、その中でサービスの告知を混ぜ込んでいます。

1本目はリリース記事なので、ガチガチの告知にしていますが、2本目は分析やMessaging APIの選定理由などテーマは変えながらも告知も含めています。

この3つの記事を書いたことによる告知効果でLINE公式アカウントとしてリリース1ヶ月で100人の利用者を突破し、「誰にも使ってもらえない問題」から脱することができました。

正直、個人開発サービスの設計、コーディングしていた時間よりも告知に費やした時間のほうが長いです。

しかし、こうした自分で作ったサービスをユーザーに使ってもらってこそなので、作ってからの告知が本番と思っています。

個人開発における告知の重要性については下記の記事も書きました。

告知が苦手な人も多いですが、個人開発者の方には自信を持って作ったサービスだからこそ、告知を努めてもらいたいと考えています。

頑張って利用者を増やしたサービスができれば、次回作の難易度が下がる

私が開発した瞬間Deep和訳は「個人開発、誰にも使ってもらえない問題」から脱することができた状態で、残念ながらヒットサービスといえるほどではありません。

しかし、もしヒットサービスを出すことができれば、次回作には大きなアドバンテージがつきます。

2018年に出版されて話題を呼んだ「人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている」でもこの法則が紹介されています。
510vPo2oorL.jpg
この書籍で紹介されている「錯覚資産」がヒットサービスによって形成されます。

「〇〇というヒットサービスを作ったのだから、次回作もすごいに違いない!」

とユーザーは思ってくれ、利用率が高まるボーナスが付きます。

映画で言えば、新海誠監督は「君の名は」で大ヒットを打ち立てた結果、「天気の子」は公開前からまずヒットするだろうという評判を獲得していました。

「君の名は」を見てよかったと思ったから、次回作「天気の子」が上映されると聞いて、鑑賞した人も多いと思います。

このように個人開発でヒットサービスを出せれば、次回作の成功確率が高まります。

そのため、成功確率を高めるためにも、個人開発のヒットのループに入れるよう、開発⇔告知を繰り返しましょう。

終わりに

今回、自信作の個人開発サービスが誰にも使われない問題に対する5つのアプローチを紹介しました。

  1. 「優れたサービスなら利用されるはず」という考えは捨てる
  2. といってもストロングポイントは必須
  3. 車輪の再発明になっていないか?振り返る
  4. ユーザーの使用障壁をできるだけ下げる
  5. 1に告知、2に告知、3,4がなくて5に告知

個人開発ではせっかく貴重な時間を使って開発しても利用者がなく、一定期間経過した後にサービスをクローズさせることも多いです。

個人開発自体はスキルや開発経験を得る目的の場合もありますが、多くの人に使われたほうが運営や改善のスキルも得られます。

もちろん個人開発には運の要素が非常に大きく、タイミングなどの影響も受けます。

ただ、渾身の個人開発だからこそ、多くの人に使ってもらえるように戦略・戦術が必要です。

今回紹介した5つ指針を参考に、多くの人に使われるサービスを個人開発してみてください。

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