2020年5月29日、ローコードプラットフォーム OutSystemsのArchitecture Dashboardがリリースされました。2020年の新コロナ禍による影響で各種イベントが休止・延期される中、まだあまり情報が表に出ていないのですが、以下の情報が発信されています。
https://www.outsystems.com/whats-new/architecture-dashboard-available/
当記事では、このOutSystems Architecture Dashboardの概要、機能、利用方法を紹介します。数あるローコード開発系ツールの中でも、このようなコード品質・アーキテクチャ改善用のダッシュボードが提供されているプラットフォームは少ないのではないでしょうか。このように、開発したアプリの保守性、品質、性能まで考慮している点は、OutSystemsの強みの一つであると言えます。
Architecture Dashboardとは
Architecture Dashboardは、企業が抱える技術的負債を監視するためのツールです。ダッシュボードを利用することで、以下の恩恵が得られます。
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ITマネジャー・テックリードにとってのメリット:
企業が保有する複雑なアプリケーションポートフォリオの構成を把握し、問題を特定できる。 -
開発者にとってのメリット:
開発上のベストプラクティスを参照し、陥りがちな実装上の問題(保守性、品質、性能面などの課題)を避けることができる。
Architecture Dashboardの詳細は以下のドキュメントをご参照ください。(2020年6月29日時点、コンテンツは英語のみですが、日本語翻訳作業が鋭意進行中です。 7月10日、日本語版が公開されました。)
https://success.outsystems.com/Documentation/ja-jp/Architecture_Dashboard/Introduction_to_Architecture_Dashboard
Architecture Dashboardの機能
ダッシュボード画面で分析レポートを参照し、以下の課題を確認・対応できます。
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ソースコード(設計情報)の課題
開発モジュールの問題(構成面、セキュリティ、性能、保守性など)について、検索、詳細確認、エクスポート可能 -
パフォーマンスの課題
稼働中のアプリケーションについて、パフォーマンスログの分析結果に基づき、緊急対応が必要な改善箇所を特定可能
レポート内のメッセージは、すでに日本語化されており、以下のページで参照できます。
https://success.outsystems.com/Documentation/ja-jp/Architecture_Dashboard/Code_Patterns
Architecture Dashboardの構成
Architecture Dashboardは、以下の2つの要素から構成されます。
- Architecture Dashboard本体(SaaSサービスとして提供 ※)
- 開発環境側で動作するProbeエージェント(開発環境にインストール)
※Architecture Dashboardを利用するためにはSasSへのアクセスが必要です(データの暗号化、情報の扱い、匿名性などのセキュリティ面は考慮されています)。
また、アプリケーションの構成を分析するため、Discoveryコンポーネントも必要です。Discoveryを導入していない場合は、以下のForgeレポジトリからダウンロードします。
https://www.outsystems.com/forge/component-overview/409/discovery
Architecture Dashboard利用の前提条件
上記ドキュメントの「4. Access to Architecture Dashboard features」に記載のように、Free Edition (Personal Environment) では、Architecture Dashboardを利用できません。また、エディションによって、利用可能な機能が一部異なります。
OutSystems Platformのバージョンは、OutSystems 10以上(.NETスタック)に対応しています。
Architecture Dashboardのセットアップ方法
Architecture Dashboardを利用するまでの大まかな流れを以下に記載します。
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Architecture DashboardのSaaSサイト(https://architecture.outsystems.com/)にアクセスし、ライセンス登録済みのアカウントでログインします。
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SaaSサイト上で、Probe対象となる環境(インフラ)のアクティベーションコードを登録します。
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ForgeからDiscoveryコンポーネントをインストールし、Probe対象のDev環境にインストールします(未インストールの場合)。
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Probe用のモジュールをダウンロードして、Dev環境にインストールします。詳細は以下のリンクをご参照ください(Architecture Dashboardの利用に必要な要件も、ドキュメント内に記述されています)。
https://success.outsystems.com/Documentation/Architecture_Dashboard/How_to_set_up_Architecture_Dashboard