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今日から始めるCDK! ~既存リソースをCDK移行する~

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はじめに

クラウドインフラはCDKで管理する時代だ。という波に乗って、自分が主管のAWSアカウントをCDKに移行して展開しよう! というモチベーションから始めたのですが、「そもそも何言っているのかわからない」とか「既存リソースのCDK移行に関してドキュメントが少ない」という点でとても苦労してきました。

というわけで、本記事はそんな私と同じ道を歩む方への道しるべとして、2つの内容で構成しております。

  1. CDKの概念をざっくりと知る
  2. 既存のリソースをCDKに移行する

注意事項

以下については解説しません

  • CDKのコーディング
  • ゼロベースでCDKを始める方法

CDKとは何か

CDKを理解するにあたっては、まず登場人物を整理するところから始めましょう。
※前提:CDKは、ローカルのVSCodeで動作するものとします。

単語

  1. CDKコード
    • CDKの本体。Typescript, Pythonなど、様々な言語で記述できる
  2. テンプレート(ローカル)
    • CDKコードを記述し、cdk synthコマンドを実行すると、コードが変換されて生成される
    • yamlファイル
    • cdk synthはあくまでローカル上で動作する
  3. テンプレート(クラウド上)
    • cdk deploy コマンドを実行すると、ローカルのテンプレートがPushされる(同時にスタックに反映される)
    • yamlファイル
    • CDKを触る上では、あまり意識しなくていい
  4. スタック
    • Cloudformationが管理するリソースのセット
    • テンプレートを元に作成される、デプロイ可能な最小単位
    • 実態というよりは概念に近い
    • AWS実態リソースを直接変更した場合、このスタックには反映されない
  5. AWS実態リソース
    • Lambda, EC2, VPC, IAM, Stepfunctions, etc...

image.png

主要コマンド

  1. cdk synth
    • CDKコードを、Cloudformationのテンプレートに変換する
    • コードのエラーなどはここで検知される
    • あくまでローカル上のみで動作する
  2. cdk deploy
    • CloudformationのテンプレートをAWS上に反映させ、スタックを介して実態リソースを更新する
    • cdk synthコマンドが内包されており、CDKが未変換の場合は変換してからPushされる
  3. cdk diff
    • ローカルのテンプレートと、Cloudformation上のスタック(こうあるだろうと管理されたリソース群)の差異を検出するコマンド
    • ローカルで行ったコーディングが、どのような変化をもたらすかを検出できる
    • ただし、AWSの実態リソースとスタックの実態が異なっていた場合、それは検出できないので注意
  4. driftsコマンド
    • 正確にはaws cloudformation describe-stack-resource-drifts --stack-name your-stack-name のようなコマンドで、CDK関連のコマンドではない
    • AWSの実リソースとスタック間での差異を検出する

image.png

基本的なコマンドの順序は、

  1. cdk synth : コードをテンプレートに変換
  2. cdk diff : 変換されたテンプレートとスタックの差異を表示
  3. cdk deploy : テンプレートをスタックに反映

という風になります。
マネコンで編集した実態コードを上書きしたくない場合は、最初にDriftsコマンドを使うといいかと思います。

つまりCDKとは何か?

ここまでの図を見ていただければわかるかと思いますが、実態はCloudformationのテンプレートであり、CDKはテンプレートを生成するためのものです。
もともと存在していたテンプレートのYamlファイルを様々な言語でラップして、管理性や再利用性を向上させたというわけです。

既存のリソースをCDKに移行するには?

さて、基本的な登場人物を理解したところで、次は既存のリソースをCDKに取り込むにはどうすればいいかについて解説します。
まず最初に言わなければならないのは、簡単ではないということです。エラーが多々発生し、一定程度のCDKやコーディングの知識が必要なのに加え、生成されるコードが人間Likeにできない場合もあるので、最小限必要な部分(DBやS3など、データが入っていたり、運用中のリソース)以外はゼロベースで作った方が良い気がしています。

本記事では解説しませんが、ゼロからCDKを作成する方法はAWSの公式記事から始めるとよさそうです。(AWSの日本語ページより、英語ページをChromeで翻訳したほうがわかりやすいです)

こちらはコーディングの例が載っている公式Githubです。

CDK移行に関するコマンド

とはいえ、「ゼロベースで作るなんて面倒くさい!」もしくは「このリソースは作り直したくない!」というものがある場合は、実態リソースからCDKへの移行を試したいですよね。
どんな方法があるのかとググってみると、cdk import, cdk migrateコマンドがどうやらCDK移行に関するものだと書いてあったのですが、正直わかりにくいのでそれぞれ解説します。

  1. cdk import
  • AWS上の実態リソースを『スタックに』取り込むコマンド。つまり、CloudFormationの管理下に加えるコマンド。逆に言えば、それだけしかしてくれない
  • CloudFormationのテンプレートやCDKコードに変換してくれる機能はない
  • 実際にこのコマンドで移行するには、CDKコードで対象リソースをしっかり記述してから、cdk import でスタックに取り込む必要がある。ロケットのランデブーみたいなイメージ
  1. cdk migrete
  • 実際にCDKコードを生成できる
  • 主に3つのオプションがある
    1. --from-scan:AWSリソースから直接CDK化する。エラーが多すぎてやりたくない
    2. --from-stack:cdk import した後、ここからCDK化することもできそう
    3. --from-path:Cloudformationテンプレートから作成する

これらのコマンドを組み合わせれば、移行はできます。
ただ、AWSは2023年後半にIaCジェネレータという「実態リソース」⇒「CDK/テンプレート」の変換フローを作ってくれているので、そちらに乗っかるのがよさそうです。

IaCジェネレータとは

概念的には以下のようなイメージです。

image.png

手順

  1. アカウント内の全リソースをスキャン
  2. スキャンしたリソースのうち、必要なものを選択してテンプレートに変換
  3. テンプレートをダウンロード
  4. ダウンロードしたテンプレートファイルを元にして、cdk migrate --from-pathコマンドでCDKコード化する

以下は実際のコンソール画面でお見せします。

CDKに移行する

  • まず最初に、CDK管理させたいリソース(Lambda, Stepfunctions, etc...)にタグ付けします(必須ではないですが、強くおすすめします。尋常じゃなく面倒なことになります)

image.png

  • マネコンから「Cloudformation -> IaCジェネレータ」を選択します

image.png

  • スキャンを開始します。(私はすでにスキャンしているので該当ボタンが「再スキャン」になっています)

  • スキャンが終わったら、「テンプレートを作成」をクリック

image.png

  • テンプレート名は任意です。ただ、削除ポリシーは「保持」にすることを強くお勧めします。CDK移行後にあやまってコード削除してDeployしたりローカルのスタックを削除すると、今あるリソースが消えてしまいます

  • テンプレートに取り込むリソースを選択します。このとき、最初に設定したタグで検索して、一括選択してしまいましょう。タグ付けしていないと、最悪数千件のリソースをポチポチ選択したり、エラーでやり直しになったりします

image.png

  • テンプレートの作成が完了したら、「テンプレートの表示」⇒「該当テンプレートを選択」⇒「アクション」⇒「CDKを表示するコマンド」を選びます

image.png

  • 指示に従って、テンプレートのダウンロードとCDK化コマンドを実行すれば完了です。私の場合はここでいくつかのエラーが出たので、言われたことをしらみつぶしにエラー対処していきました
  • ※cdkをインストールしている必要があるので、まだインストールしていない人は公式サイトを参考に環境整備をしてください

image.png

  • ここまでできれば、CDKコードがローカルに生成されていることかと思います
  • ./bin/配下のファイルに、自分のアカウントIDとリージョンを記述する必要があるのでお忘れなく

image.png

CDKを編集する

不満があるとすれば、変数の命名がとても長いことと、コードが高レベルではなく低レベルレイヤーの関数だということでしょうか? 高レベル関数ならnew stepfunctions.StateMachineとなるようなのですが、Cfnとついているのは低レベル関数のようです

image.png

  • というわけで、ここまでできたらあとは自分の思うがままに編集して、AWS上のリソースを更新できます
  • 私は手始めに、1ファイルにまとめられていたリソース群と、メインファイルに直接書かれていたStepfunctionsコードを分割しました(古くて今際使われていないっぽい記法もあったのですが、アプローチはこちらのサイトを参考にしました)

image.png

  • 編集が完了したら、cdk synthでエラーチェックとテンプレート化を実施します。その後、cdk diffコマンドを実行して、不用意な変更がされていないか確かめました

以上で準備完了です!!!
これで現状のAWS実態リソースをCDK管理下に置き、さらにCDKコード化する手順は終わりです。後は、思うがままにCDKライフを楽しんでいきましょう!!

おわりに

CDKを既存リソースの移管前提で触り始めたとき、新しい概念が多く、かつドキュメントも少なく、だいぶ苦労してしまいました。ただまあ私の結論としては、 リソースの全移行はやらないほうがいい ということでしょうか。それが肌感でわかっただけでも、とても収穫が多かったです。

とはいえまだ理解を進めている最中ですので、間違っている箇所がありましたらご指摘いただければ幸いです。

参考文献

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