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ITサービスマネジメントの進化形 - ITSMからCSMへ:知っておくべき重要な違いとは

Last updated at Posted at 2024-10-27

はじめに

デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速により、企業のITサービス管理は大きな転換期を迎えています。従来のIT部門中心のアプローチであるITSM(ITサービスマネジメント)から、顧客中心のCSM(カスタマーサービスマネジメント)へと進化が求められる時代となりました。
この変化は、単なる管理手法の変更ではなく、ビジネスにおけるITの役割そのものの変革を意味します。ITサービスは今や、社内の業務効率化だけでなく、顧客体験の向上や事業価値の創出に直結する重要な要素となっているのです。
一方で、ITSMCSMの違いはほとんど無いと聞くことも多く、この認識の違いに疑問を感じました。そこで今回、両者の具体的な違いについて詳しく調査を行い、その結果を本記事として共有させていただくことにしました。
本記事では、ITSMCSMの基本概念から主要な違いまで、実践的な視点で解説していきます。この知識が、皆様の組織における最適なサービスマネジメント手法の選択の一助となれば幸いです。
最後に、当記事に記載の無い違いがある場合、コメントで教えていただけますと幸いです。

ITSM vs CSM

ITSMとCSMの基本概念

  • ITSM基本概念
    ITSMは、エンドツーエンドのITデリバリを管理するための包括的なアプローチです。IT機能をサービスとして運用する原則に基づき、計画、設計、構築、実装、展開、改善に加え、顧客や従業員へのサポートまで、幅広いITサービスの提供を支援します。単なるサポートデスク機能を超えて、ユーザーニーズと事業目標の整合性を重視し、基本的機器の構成から予期せぬシステム障害への対応まで、社内IT全般の管理を行います。その実践にはITILフレームワークが広く活用されています。
    image.png

  • CSM基本概念
    フロント、ミドル、バックオフィスを統合し、問題解決の自動化や顧客エンゲージメントの強化を実現します。特に、インテリジェントな自動化により、カスタマーエクスペリエンスの向上とチームの連携最適化を図り、組織全体にシームレスで卓越したサービスを提供することが可能です。これにより、従来型のカスタマーサービスの限界を超えた、統合的なサービス管理を実現します。
    image.png

共通ポイント

機能 ITSM CSM
サービス管理による問題解決
(インシデント、問題、変更、リクエスト、リリース、資産、コスト)
構成管理(CMDBおよびCSDM)
予測インテリジェンスとパフォーマンス分析
ウォークアップ体験※1
デジタルポートフォリオ管理
ユニバーサルリクエスト※2
継続的改善
ベンダーマネージャーワークスペース※3
モバイルパブリッシング※4
DevOps変更速度とDevOps構成
Virtual Agent
App Engineカスタムテーブル

※1ウォークアップエクスペリエンス:迅速な専門家サポートで問題解決
※2ユニバーサルリクエスト:エージェントが企業全体でシームレスにケースを解決し、従業員エクスペリエンスを改善できるようにすること
※3ベンダーマネージャーワークスペース:ベンダーのパフォーマンスを監視し、全てのベンダー関連情報を管理できるワークスペース
※4モバイルパブリッシング:セキュアでブランディングされたモバイルアプリケーションを公開すること

非共通ポイント

機能 ITSM CSM
ケース管理(重要ケース、およびケースタイプ) -
顧客、貢献者、サービス組織のデータモデル -
カスタマーサービス用パッケージ化されたプレイブック -
サービス対応インストールベース※1 -
コミュニティ -
プロアクティブなカスタマーサービス運用 -
顧客プロジェクト管理 -
エンゲージメントメッセンジャー※2 -
外部委託カスタマーサービス -

※1サービス対応インストールベース:さまざまな顧客の場所にインストールされている製品とサービスを追跡ができる機能
※2エンゲージメントメッセンジャー:モジュールを作成し、さまざまなサービスを顧客用にカスタマイズできる機能

主要な違い

  • ITSMの対象は内部組織、CSMの対象は外部組織ということです。
    ※例えばITSMは社員の方々向け、CSMは顧客向けということになります。
  • 費用面でCSMが少し割高になります。
    両サービスともライセンス体系が異なりますので、各ライセンスで比べた際にCSMが高くなっております。
  • 非共通ポイントで申し上げました通り、CSMの方ができることが多くあります。
    これが費用差に反映されているのかもしれません。

まとめ

CSMは、顧客やパートナーなどの外部ユーザーにデジタルサービスを提供するために使用されます。
ITSMは、サービス デスクが従業員に提供するサービスなど、社内のITサービスに重点を置いています。
CSMの方が多少機能が多いとはいえ、どちらも同等の機能を備えていますが、対象となるエンドユーザーのニーズが異なるため、使用方法は異なります。
・機能ではなく費用の観点で見ると、ライセンス費用はCSMITSMよりも割高となります。

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