はじめに
小学生の頃Minecraftに出会った私は、高校時代に映像制作を学び、大学時代にはそれらを掛け合わせた、Minecraftのマルチプレイでプロモーションビデオを制作するに至った。本記事は、Minecraft初心者歴10年と齧った程度の映像制作スキルを持つ筆者が、所属するMinecraftサークルにおいて様々な人の協力を得ながら制作したサークルのプロモーションビデオの、制作過程とそこから得た気づきを記すものである。
Minecraftとの出会いと映像作品への憧れ
筆者がMinecraftに出会ったのは今から12年程前の事である。小学生だった筆者がニコニコ動画でMAD動画見る中で偶然Minecraft実況プレイ動画を発見し、そこから派生してMinecraftストーリーリンク、所謂茶番系動画にのめり込む様になった。
その頃視聴した映像作品への憧れから、自身もMinecraftを使って動画を作ってみようとしたが、当時の自分のセンスと理解力の無さに絶望して早々に挫折していた記憶が残っている。それ以来、筆者がMinecraftをプレイする頻度も低くなっていた。
高校時代の修行と大学時代の実践へ
高校生になった筆者は、映像制作を行う部活動に所属し、顧問の指導の下で撮影と編集の知識、スキルを学んだ。特に学びがあったのは、高校紹介映像の制作だった。当時の顧問による、「毎年作られる同じような映像を改めよう」、「大学のプロモーションビデオを参考にしてみよう」という提案から、筆者と同期の2人が中心となって制作を行った。筆者の制作スタイルはこの時に形作られたと思われる。
大学入学後、ゲームサークルに入会し、そこではMinecraftも扱っていたのでより広いコミュニティでマルチプレイをする様になった。当時は運営に積極的に関与するつもりは無かったのだが、いろいろあって途中からコミュニティの運営と広報を引き受けることになった。その過程で、プロモーションビデオを制作する機会があったのである。
プロモーションビデオの企画と映像の構成
まず、企画段階で、目的やメッセージを決め、それを基にどの様な映像にするかを考える。その際に、使用する音楽も決めて、その音楽に合わせたシーン構成を練っていく。本記事の基になった映像では、サークルの活動を伝えるという目的で、マルチプレイワールド内の建築物や過去のイベントの様子を紹介した。音楽に合わせたシーン構成にするのは、その方が気持ち良いからという理由である。ただし、そのせいでシーンの一つ一つに割り当てられる時間が少なく、後述の撮影と編集の過程で苦労する事になった。
使用する音楽の再現
企画段階で使用する音楽を決定し、その音楽をMinecraft内の音符ブロックを用いて再現する。音楽をMinecraft内で再現する事で、映像内のMinecraftの要素を増やす事が出来るだけでなく、演奏扱いになる為、JASRACと許諾契約を締結しているYouTubeにおける投稿がしやすくなる。尚、筆者には音楽系のスキルが無かったので、サークル内の他のメンバーに依頼した。
マルチプレイでの動画撮影
事前に決めた構成に基づいて、Minecraftのマルチプレイ画面を撮影する。筆者がカメラ役となり、他のプレイヤーが動いたり、建築したりする様子を、定点、あるいは移動しながら撮影を行った。Minecraft内での撮影の為、プレイヤーの操作ミスで撮り直しになる事もあれば、予想していなかった挙動やメンバーの思い付きからその場での内容の改善がされる事もあった。
また、一つ一つのシーンの割り当て時間が1~2秒程度しかない為、プレイヤーが上手く操作出来たとしても、割り当てに収まらず撮り直しになる事もあった。短い時間で全てのプレイヤーが操作をしなければならない為、撮影の難易度は更に高まる事になった。
Minecraftプレイヤーなら分かるかもしれないが、あるプレイヤーがエリトラで飛行しつつ、別のプレイヤーはエンダーパールを使って瞬間移動する。その他にも複数のプレイヤーがわちゃわちゃと何かしら動作していて、更にカメラ役の筆者も動いている。その様子を約4秒の中に収めるシーンがあった。そこで、少しでも撮影の難易度を低くする為に、筆者の画面を他のメンバーにも共有する事で、他のメンバーが操作をしやすくなるようにした。
編集
撮影した映像を、構成を基にカットし、シーンを繋げる。筆者の編集技術は高くないので、ここでの作業は単純である。それ故に、撮影段階において編集で使える映像を作る事の重要性が高い。また、この過程で他のメンバーに依頼していた音楽と映像を合わせる。
おわりに
高校時代に現実での映像制作を行った筆者が、Minecraftでのプロモーションビデオの制作を通じて気づいた事は、現実でもMinecraft内でも、やる事はある程度共通しているという事である。特に撮影においては、カメラ役も、そこに映るキャラクターも操作するのは人間で、ミスも人の手によって生じる。一方で、Minecraft内だからこそ、様々な位置や角度から撮影が出来たし、撮り直しもやりやすかったと思う。今後は、Minecraftだからこそ出来る方法を模索したり、ワンカットやより長尺の映像にも挑戦したりしてみたい。