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kintoneカスタマイズでtry/catchを使おう

Last updated at Posted at 2024-02-16

はじめに

皆さんこんにちは。サイボウズ株式会社テクニカルトレーナーのTeruです。
今回はkintoneカスタマイズにおけるtry/catchの使い方を考えていきましょう!

try/catchの基本

そもそも、try/catchは例外が発生した場合に例外を処理するために使用します。

try {
 実行する処理
} catch(e) {
 try文で例外が発生した場合に実行される処理
}

例外とは、kintoneカスタマイズにおいては多くの場合 REST API の実行に失敗した場合のことです。

サンプル

例えば、アプリ番号:1 レコード番号:1のレコードを取得する場合は下記のようにtry/catchを使用します。

try {
  // レコード取得処理
  await kintone.api('/k/v1/record', 'GET', { app: 1, id: 1 });
} catch (e) {
  // レコード取得に失敗した場合の処理
  console.error(e);
}

この取得処理でエラーが発生するのは、次のようなケースです。

  • アプリが存在しない
  • レコードが存在しない
  • ネットワークエラー

仮にアプリが存在しなければ、console.error(e)はこのようなエラーを表示します。
{code: 'GAIA_AP01', id: '8BwNVgSl5Z0XNrXaZbZI', message: '指定したアプリ(id: 1)が見つかりません。削除されている可能性があります。'}

ちなみにcatch(e)e部分は自由に命名できますし、catch内で使用しなければ省略することもできます。

省略する場合のサンプル

try {
  // レコード取得処理
  await kintone.api('/k/v1/record', 'GET', { app: 1, id: 1 });
} catch {
  // レコード取得に失敗した場合の処理
  console.error('取得に失敗しました');
}

複数の処理の扱い方

次に、複数の REST API を実行する場合のtry/catchについて扱っていきます。
例えば次のようなケースです。

  • アプリ番号:1 レコード番号:1のレコードを取得する
  • 取得したレコードの値を用いて、アプリ番号:2にレコードを登録する

try/catchでひとまとめにするパターン

try {
  // レコード取得処理
  const resp = await kintone.api('/k/v1/record', 'GET', { app: 1, id: 1 });
  // レコード登録処理
  const params = {
    app: 2,
    record: {
      氏名: {
        value: resp.record.氏名.value,
      },
    },
  };
  await kintone.api('/k/v1/record', 'POST', params);
} catch (e) {
  // 失敗した場合の処理
  console.error(e);
}

この場合は、取得処理・登録処理のどちらかにエラーが発生した瞬間にcatchへ飛びます。
処理が正常に終了しなかったことをユーザーに対してアラートを表示したり、コンソールにエラーを表示することができます。

しかし、このコードではどちらでエラーが発生したのかはcatch内で判別ができません。
「取得に失敗しました」や「登録に失敗しました」といったエラー文の使い分けができないことになります。
では、それぞれにtry/catchを設定すれば良いのでは?と考える人もいるかもしれません。

try/catchを個別に設定するパターン(動作しません)

try {
  // レコード取得処理
  const resp = await kintone.api('/k/v1/record', 'GET', { app: 1, id: 1 });
} catch (e) {
  // レコード取得に失敗した場合の処理
  console.error(e);
}

try {
  // レコード登録処理
  const params = {
    app: 2,
    record: {
      氏名: {
        value: resp.record.氏名.value,
      },
    },
  };
  await kintone.api('/k/v1/record', 'POST', params);
} catch (e) {
  // レコード登録に失敗した場合の処理
  console.error(e);
}

今回のコードは動きません。
try{}でスコープ(=変数がアクセスできる範囲)を作り出しています。
スコープ内で宣言された変数は外からアクセスすることができません。
よって、登録処理側でrespにアクセスすることができないわけですね。
まあ一応解決策としてrespを外でletを使って先に宣言してしまう方法もあるのですが、エラー処理のためにエラーが発生する要因を作ることになりかねないので非推奨です。

ではどのようにすればいいでしょうか。

await/catchを使うパターン

// レコード取得処理
const resp = await kintone.api('/k/v1/record', 'GET', { app: 1, id: 1 }).catch((e) => console.error('レコード取得失敗',e));

// レコード登録処理
const params = {
app: 2,
record: {
  氏名: {
    value: resp.record.氏名.value,
  },
},
};
await kintone.api('/k/v1/record', 'POST', params).catch((e) => console.error('レコード登録失敗', e));

Promiseチェーンを活用してエラー処理を行うこともできるわけです。
try/catchでひとまとめにするパターンが楽でいいですけどね。

例外処理を発生させたいとき

kintoneカスタマイズではcatchに飛ぶだろう・・・と想定していることがcatchに飛ばないことがあります。
それは次のようなケースです。

  • アプリ番号:1の最新の顧客番号を持つレコードを取得する
  • 取得した顧客番号に+1した値を顧客番号にセットしてアプリ番号:1にレコードを登録する

この処理を行う時、もしレコードが一つもなかったらcatchに飛ぶだろう・・・と思いませんか?
いいえ、飛びません。

レコードが一つもないのは、絞り込みで0件表示の時と同じ状態なのでエラーではないのです。
取得処理自体は成功している扱いになります。

こういう場合に使うのがthrowです。例外を強制的に発生させることができます。

try {
  // レコード取得処理
  const resp = await kintone.api('/k/v1/record', 'GET', {
    app: 283,
    query: 'order by 顧客番号 desc limit 1',
  });

  // レコードが0件の場合は例外を発生させる
  if (resp.records.length === 0) throw new Error('レコードが存在しません');

  // レコード登録処理
  const params = {
    app: 285,
    record: {
      顧客番号: {
        value: resp.records[0].顧客番号.value + 1,
      },
    },
  };
  await kintone.api('/k/v1/record', 'POST', params);
} catch (e) {
  console.error(e);
}

このようにthrowすることでcatchに強制的に飛ばすことができます。

まとめ

  • REST API と try/catchはセットで使いましょう
  • 個別にエラー処理をしたい場合は await/catchを使いましょう
  • 例外を発生させたいときは throw を使いましょう
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