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【OKR】進化するチームの目標設定~5つのポイントとアンチパターン~

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TL;DR

- 週次のミーティングの延長線上で目標設定をしてしまう
+ ありたい姿から逆算する

- 上長(や会社)がトップダウンで目標を決めきってしまう
+ トップダウンとボトムアップの両者から作る

- 目標だけ決めて終わり
+ 優先順位とTODOリストを作成する

- 実行管理していない
+ チーム内で実行管理するリズムを作る

- 状況が変わっているのにもかかわらず一度決めた目標を修正しない
+ 柔軟に目標を調整する

4年間OKRを運用してみてわかった目標設定のキモ

私はWEBマーケターの事業部リーダーとして、エンジニアのチームリーダーとして、これまで累計4年間ほどOKRを用いたマネジメントを行ってきました。(個人での目標設定に使っていた期間を含めれば6年ほど)

OKRとは、googleが導入したことでも有名な目標設定手法のこと。Objectives and Key Results(目標と成果指標)という2つの概念を用いて目標設定・運用を行う。

もう結構長いことOKRでの目標設定をやっていて、私自身の経験や他の事業・チームの運用を見てきた中で感じたのは、目標として機能するかしないかの差が激しいということです。

ハマらない目標を立ててしまうと、全然目標に向かって進捗してない自分やチームに対する苛立ちが生まれたり、そもそも目標を放棄してしまったりと、設定するだけ時間の無駄だったということになりかねません。

目標設定には、抑えておくべき勘所、キモがあります。

この記事では、5つのポイントに焦点を当て、アンチパターンとともにご紹介したいと思います。

目標設定時に抑えておくべきポイント

ポイント1:ありたい姿から逆算する

目標設定とはおしなべて理想と現実のギャップをどのようにして埋めるか企画することですよね。したがって、当然両者が見えていないといい目標は決められません。

よくあるのが、週次のミーティングの延長線上で目標設定をしてしまうというアンチパターンです。普段使い慣れたKPTをそのままOKR設定に流用して、結局普段のTryに毛が生えた程度の目標にしかならない...。みたいなことは結構あります。

特にOKRは、

目標は、場合によっては若干気後れするくらいの高いレベルに設定します。

OKR では、目標の 60~70% の達成率が理想的です。逆に、達成率が常に 100% の場合、その OKR の設定レベルが低いと言えるので、もっと野心的な目標を立てる必要があります。

とされています。(google re:Work 「OKRを設定する」)

つまり、「これできたらマジですげえよ...!!」という挑戦的な目標を置くことで高いパフォーマンスを引き出すことを目的としています。

何がマジですごいのか。

これを言語化して、OKRのタネにするのが「ありたい姿から逆算する」ということになります。スクラムでは「向き直り」というイベントをやったりするのですが、このイベントがまさにありたい姿を想起するためのものです。

私のチームではOKRを設定する際、現状認識→理想を描く→ギャップの認識といいう順番で会議を進行しています。

スクリーンショット 2024-02-05 22.49.04.png
(↑現状認識。できるようになったこと、課題に思っていることをみんなで共有する)

スクリーンショット 2024-02-05 22.52.39.png
(↑理想を描く。抽象的に「こんなチームでありたい」という姿を描く)

スクリーンショット 2024-02-05 22.54.33.png
(↑ギャップを認識する。具体的に何をどうしていきたいか考える)

特に理想像は結構高いことが多いので、このワークを通して理想を明確にすることで高い目標を出せる可能性が高まります。

「理想のチームは何か?」という質問に対して明確な答えが無い場合は、「ありたい姿から逆算する」ためのワークを取り入れてみてください。

ポイント2:トップダウンとボトムアップの両者から作る

基本的に目標設定はボトムアップ・アプローチで、メンバーが自発的に設定したほうが効果は高いように感じます。というのも、その目標が与えられたものではなく自分自身が納得して「これを追いかけたい」と決めたものになるためです。ただ上から降ってきた無味乾燥な目標よりも、自分でいいと思って決めた目標の方が自発的にその目標に対してコミットするはず。

特に主体的な働き方をするほうが活き活きするようなメンバーが多い組織ではこの傾向が強まるように思います。

一方、目標設定でありがちなのが、上長(や会社)がトップダウンで目標を決めきってしまうというアンチパターンです。

これがすごく悪いというわけではないのですが、「メンバーがその目標に納得して、熱量高めで追いかけてくれそうか?」ということを特に注意しなければいけません。でないと、目標を必死に追いかけているのは上長だけ...という事態に陥りかねません。悲しいですよね(笑。

とはいえ、トップダウンの目標設定も重要です。やはり、リーダー・マネージャー・トップマネジメントが見る一歩先の理想は、メンバーから出てこないケースが多いです(というか、一歩先を見るのがマネジメントの責務でもあるので当然ですが。)

ということで、基本的にはボトムアップでメンバー自身に目標を出してもらいつつ、上長も「こんなチームになっていきたいんだけど、どう?」という問いかけをしてトップダウンでもアイデアを出すという形式が良さそうです。

OKR運用時に抑えておくべきポイント

ポイント1:優先順位とTODOリストを作成する

アンチパターンは言うまでもないんですが、「目標だけ決めて終わり」というものです。が、意外とこのケース多いです。なんとなく過ごす中で「そういえばOKRで決めたことやってないな...」と焦って、ちょっとズルしてKRだけ満たす...。みたいなことは、運用をしっかりしていないとすぐ発生します。

OKRを決めた段階で、これまでの業務とOKRのためのTODOを混ぜたスケジュールを立てましょう。

そうすると、絶対に無理が発生します。なぜなら、そもそもOKRは6〜7割の達成率が普通という高い目標水準なので、全部達成するためのTODOをスケジュールに入れれば必ず限界にぶち当たります(そうでないなら、逆にOKRの基準が低い可能性ありです。)

ここで、優先順位が役に立ちます。

優先順位の高いものからスケジュールに入れ、もし早めにKRが満たせるような状況になってきたらその次の優先順位のTODOを入れるという具合に、無理なくスケジュール化することで達成する可能性が高まります。

また、優先順位をつけることで「これは今やらない」というタスクを決められるということでもあるので、目標を放棄する可能性も抑えられますね(高いハードルはくぐり抜けやすいので、「全部100%にする」と考えているとすぐに燃え尽きて結果何も追いかけなくなります。)

ポイント2:チーム内で実行管理するリズムを作る

これも、実行管理していないというのがアンチパターンです。これもありがちです(笑。

実行管理のやり方はいくつかあって、

  • 日々のタスクといっしょに混ぜて管理する
  • リーダーが週次で達成状況を報告し、振り返りで議論する
  • ホワイトボードに書いて常に見えるところにOKRを置く

などがあります。「リズムを作る」と表現したのは、何かしら定期実行されるイベントによって達成状況の確認や修正がトリガーされるようにしておくと、特に意識せずとも実行管理ができるためです。

例えば、ウチのチームでは私が毎週チームの振り返りレポートを作成していて、そこでOKRの進捗確認を行っているので、何かスムーズにいっていないものがあればチームに共有して話し合う機会が意識せずとも毎週訪れます。

あるいは、振り返りをOKRをベースとしたものにすればチーム全員で定期的に実行管理を行うことも可能でしょう。

やり方は様々ですが、とにかく「やると決めたことをやっているかウォッチする」ということを仕事のリズムの中に作っていれば、自ずと実行管理はできるようになるはずです。

ポイント3:柔軟に目標を調整する

状況が変わっているのにもかかわらず一度決めた目標を修正せず、それを追いかける意義を見失って機能しなくなるというアンチパターンはかなり多いです。

「一度決めたんだから...」と変えることに抵抗感がある気持ちもわかりますが、ビジネスの現場は常に不確実で予想外の出来事にあふれています。当然、優先順位が変わったり、実行してみたけど思惑が外れたり、途中で良い目標ではなかったことに気づいたりと四半期の中に様々な学びがあるはずです。

アジャイルよろしく、OKRにおいても変化に対して適応することは許されています(さらにいえば、期中に目標の調整を推奨しています。)

目標を下方修正するのは危険ですが、「コレジャナイ」と思った目標を放置して追わなくなるのはナンセンスです。目標を変えたり、「追いかけない」と決めたりすることで、常にOKRを追いかける意味のあるものにメンテナンスするとモチベーションが維持しやすいでしょう。

最後に

運用の方はぶっちゃけ慣れなんですが、目標を決める段はポイントを抑えただけではいい目標にならないのが難しいですね。

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