前提:俺はテックキャンプを知らない
前提として、俺はテックキャンプに問題があるかないかは知らない。分からない。
どういう講習をやっているかも知らないし、採用している学習メソッドも知らない。受講していないのだから又聞きでしかない。
なので、採用担当者にはスクール卒を理由に書類で落とさないようにとは通達している。
これまでの卒業生が不出来だったために悪評が付くのは仕方がない話で、それはテックキャンプが悪いと思っている。卒業を認める水準が低いという事で、これは普通にどこの学校でもある話だ。
それはともかくとして、学歴不問を謳っている採用でスクール卒という理由で落とすのであれば、それはもはや学歴不問とは言えない。
俺はITエンジニアを測る物差しとして学歴は限定されていると考えているため、スクール卒も未経験者と見做して扱うようにしている。
ここではスクール卒である事が逆に不利に働いている事例というのをいくつか述べる。
なぜ受動的だとか自走力不足と言われるのか?
具体的で明確な理由がある。
GitHubにあげているソースの最終更新日が3ヶ月とか半年とか前なのだ。
スクールを卒業してから一回も触っていない。
それで毎日勉強してるだの言われても「なんだそりゃ」なのである。
GitHubのURLが書かれていたらPULLしてコミットログを見るくらいはする。そして俺はいつも思う。
「何もやってねえじゃねえか」
と。
採用担当者は無限に時間があるわけじゃない。というか、個々人を見るにはかなりタイトなスケジュールで動いている。立て続けに来る応募者対応、面接日程調整、積み上げられていく未選考書類、面接評価シートの記入、選考会議……はっきりいって採用活動はハードである。
ハードで当たり前なのだ。採用活動というのは、求職者の人生に影響を与えかねない仕事なのだから。
限られたリソースの中で、できる限り丁寧に一人ひとりを見ていく。
会社視点で言えば、未経験者の採用は年間300万円~400万円の投資を行い、採算がとれるかという事業だ。テックキャンプは100万とか金をもらって育てているが、企業は300万とかの金を払って育てるのだ。
この人にそれだけの投資をする価値があるか?
スクールの卒業課題が終わってから2ヶ月間GitHubを放置してます。そんなもの無いほうがマシである。それさえなければ書類は通ったかも知れない。
あなたがWEB経歴書に貼り付けているそのURLは、逆効果かも知れない。
技術は継続しないとどんどん脳味噌から剥がれていく
GitHubが更新されていない。それでも会ってみようというPR文を書いている場合もある。それではと書類を通過させ一次面接を設定してみる。
どういう事を勉強したか、どういう苦労をしたか、そして具体的に戦力となりうる技術をアピールしてもらう。
あなたが勉強したはずの事を、ほんのちょっと突っ込んだ質問をしたらもう答えられないのか、という事が多すぎる。あなた方はスクールを卒業した事に満足していないか? 現役のエンジニアをやっている俺たちだって、3ヶ月もその業務から離れるとブランクで生産性がガツンと落ちるのだ。
語学は習得より維持が大変だと聞いたことがある。エンジニアも同じだ。せっかく高い金を払ってスクールに行って、学習する取っ掛かりを作ったというのに、脳味噌からベロベロ剥がれ落ちているではないか。
スクール卒であるがために「これから勉強します」が通用しないのだ。だって一回やってないという事が見えちゃってるんだから。
就職して環境がかわってお金をもらう立場になればできると思っているのかも知れないが、企業から見ると就職して環境がかわってお金をもらわないと出来ない人なのである。
もっと言えば、環境がかわってもできるかどうか分からない人である。スクールで学んだことが実務では大して役に立たないという事は今更言うまでもない。はっきりいってスクール卒では即戦力にはなりえない。単体テストコードを書いてリグレッションテストの自動化まできっちりやって、負荷やパフォーマンスとかの評価工数も乗っけた工数見積もりをちゃんと出せますって、そんな事はないと思うのだ。
戦力化するまでにどのくらいの期間がかかるか、その金額はいくらか、企業はそれを判断しようとする。
スクール卒の技術評価は未経験と同じくゼロなのだ。ITエンジニアは職人である。自ら学べない、自分の課題を見つけられない、自分のスキルを自分で高められない人は向いていない。
スクール卒であるがために、ITエンジニアとしての資質の欠落が露呈してしまっている事がある。
マイナスにしかならないポートフォリオ
クローンだから悪いわけじゃない。そこになんの発展も見られないから悪いのだ。
WEB経歴書にURLを書くのであれば、当然見られる事を想定しているのだろう。
で、あればなぜ 「新規登録」 とか 「ログイン」 とかがあるのだろうか。それはきっと授業でやった事なのだろうが、そんな手間をかけてまで見る気にはなれないのだ。
誰に何を訴求している? 訴求層はどんな立場の人で、誰になにを伝えたい?
新規登録やログインが作れますなんてのはなんのアピールにもならない。
そんなものは取っ払って就活の採用担当者にアピールできる内容にしたらいい。
サイトを作って「凄いでしょ」って、そんなわけがない。技術をアピールしているのかデザインをアピールしているのかも分からない。定期更新がしてあるわけでもないスクールの課題で作りっぱなしのサイト。
殆どの場合、サイトの運用一つも満足に継続して出来ないという事がわかるだけである。
逆効果満点なのだ。無いほうがまだマシだ。
やっぱりスクールが悪いわけじゃない
結局の所、本人の資質の問題に帰結する。
スクール卒であろうとなかろうと関係ない。IT業界を舐めているというより、仕事を舐めているんじゃないかとすら思う。
スクール卒はポンコツだのなんだの言ってる人もいるが、それは自社の採用担当に見る目がなかったのだから仕方がない。スクール卒は地雷だとか言う声もあったが、じゃあ独学の未経験者に地雷はないのか? 経験者ならどうか?
採用者が期待はずれだと嘆く前に、採用や評価の方式を検討すべき項目だ。
スクール卒の場合、採用側にとって評価材料は比較的多いのだから、なにか見落としがあったのではないか? スクール卒とカテゴライズする事はそれほど正しいとは思えない。
話は逸れるが、ライザップのCMを観て俺もあんな身体になりたいな、と思う。
だがライザップの門を叩かないのは、結局の所自分が努力しないと結果は得られないと分かっているからだ。
ライザップは30万だかそのくらいするらしいが、あれは努力するきっかけの購入代金だ。
閑話休題。
TECH CAMPは70万とか100万とか書いていたが、意味合いは一緒である。買っているのはきっかけに過ぎない。せっかく大枚はたいて買った努力の種を、買ったことに満足して植えず育てずでは芽が出るはずもない。
ITエンジニア採用担当者がTECH CAMP(テックキャンプ)をはねるワケ
はっきり言って、テックキャンプは企業側からすると有能なフィルタである。
今回書いたような人を、はねればいいのだ。テックキャンプだから、スクール卒だからはねるのではない。
スクール卒であることで、不採用にしてくださいとわざわざ理由を提供してくれている場合があるのだから。
もしスクール卒業生(または在校生)でこれを読んでいる人がいたら、是非とも対策して欲しい。
GitHubを毎日のように更新するなどは、本当に努力しなくてはいけないから大変だが、逆に言えば単に本当に努力してその努力している事を見せればいいというだけの事だ。
そしてその方法は教えてくれているのだから、俺はテックキャンプの何十万円だかという価格設定が高いとも安いとも別に思わない。
もしスクール卒というだけでポートフォリオもGitHubも見てくれずに書類ではねるという会社があればどんな努力も通用しないのだが、そもそもそんな会社に入ってやる必要はない。
テックキャンプからだとエンジニア業務とはかけ離れた底辺SESが殆どだという声も見たのだが、俺はそれは違うんじゃないかと思っている。
スクールは関係なく、この業界にそういう会社がある以上、どういうルートでもそういう会社に当たる確率は当然ある。運が悪かったと思ってとっとと辞めて転職しちまえばいい。
あるいは。
厳しい事を言うが、その程度の会社にしか拾ってもらえない程度なのかも知れない。ここで書いたような事が全くできてないのに採ってもらえたとしたら、それは将来性を買われたのでなければ、安い労働力として採用されただけなのだ。
未経験から出来るかどうかはその人次第
さてテックキャンプの広告サイトを見ているとホリエモンと社長対談の動画があった。ホリエモンは言う。プログラミングなんか簡単で、誰でもできると。
うーん。
別に嘘とは言わないけどね。
正直俺もそんな事を考えていた時期があってさ。こんなもん三ヵ月も実務やりゃ誰だって出来るようになるだろって。
業務プログラマなんか過大なスキルは求められないっていうね。
しかしまあ技術力がある人もない人も見てきたけど、重要なのは技術力より仕事力かなとか思ったりもする。
ITエンジニアは職人だとか偉そうに書いておきながらなんだそりゃってなもんだが、見返してみると今回の記事そのものが偉そうだな。
結局のところ努力とか言うマゾ行為をいくらかはやる必要があるという話。
努力とかそういうの一切なしで、食べるだけで英語が喋れるほんやくコンニャクみたいなものは無いのと一緒で、スクールが魔法をかけてプロのエンジニアにしてくれるわけじゃなく、ちったー努力が必要だという夢のないお話。
なろう小説のように転生したり、ナメック星の長老に能力を引き出してもらえたりしないのが、俺らが住むこの現実という世界。
結局はその人次第だとかいう魔法の言葉でぶん投げて、明日の競馬の予想をやる。こんな時間まで何書いてんだ俺は。