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バイブコーディング所感と AI 開発活用ガイド

Last updated at Posted at 2025-07-27

バイブコーディング所感と AI 開発活用ガイド

はじめに

AI コーディングツールの普及により、ソフトウェア開発の現場は大きく変わりつつあります。本記事では、実際に AI を活用した開発経験をもとに、その成功例と実践的なノウハウを共有いたします。

AI の進化のスピードは速いため、あくまでも現時点(2025年7月27日)の情報であることにご留意ください。

まとめ

AI が得意なことを見極めて、うまく活用できると効果を最大化できます。
AI が苦手なことは周辺ツールを活用して回避します。
AI をこちらの流儀に合わせようとすると途端に難易度が高くなります。

AIコーディングのメリット

開発体験の向上

  • UIを含むアプリが一瞬で完成する感動的な体験
  • 楽しみながら開発を進められる
  • リポジトリ(プロンプト)を育てる楽しみ
  • コーディング作業の負担軽減
  • 認知負荷の低減

高速プロトタイピング

  • 0→1の作成が圧倒的に高速
  • プロトタイプ作成に特化した使い方が効果的
  • コードの管理は考慮せず、迅速な実装に集中

自立駆動の優秀性

  • 自律モードでの連続作業が優秀
  • 高価だが、自動的に進行する開発プロセスは価値がある
  • 完了を通知できるようにしておけば、続きの指示も迅速

外部サービス連携

  • GitHub、Slack、Discordとの連携が容易
  • ネットワークさえ接続されていればエージェントに依頼可能
  • クラウドで実行できるタイプなら Issue を立てるだけ

バックエンド開発での強み

  • CLI やバックエンドの開発に向く
  • エンティティやテストなど大量のコード生成に最適
  • DB定義からエンティティコード(POCO、DTO)の自動生成
  • DB型とプログラミング言語の型対応表の準備で精度向上
  • テストコードの列挙が得意(抜け漏れは人間が必要)

資料・ドキュメント作成の効率化

  • 要件を列挙して形式に落とし込むのが得意
  • 設計のたたき台を高速で作成可能(細部には人間の確認が必要)
  • 自然言語で記述できる内容に特に適している(品質は様々)
  • 定型的な作業に高い効率性を発揮

参考記事
「Cursorで要件定義をめっちゃ簡単に」を「rules」にしてさらに簡単にした

知識の拡張

  • 新しいフレームワークやライブラリの学習コストを大幅に削減
  • 未知の技術や手法を提案してくれることがある(ハルシネーションに注意)
  • AI がリコメンドしたライブラリやアルゴリズムから思わぬ解決策が見つかる
  • アイデア出しにも優れる

チーム開発での活用

  • 新人教育やコードレビューの効率化
  • 技術的な議論の促進(AIの提案を起点としたディスカッション)

AIコーディングの課題・デメリット

指示の精度問題

  • 曖昧な指示では期待通りの結果が得られない
  • 意図が伝わらなかったり、指示に従わないことがある
  • AIとの適切なコミュニケーション技術が必要
  • キャラクター設定が効果的な場合がある

参考記事
#AIお嬢様コーディング部 とは - エレガントなAI協働開発のススメ

記憶・学習の限界

  • プロンプトを工夫しても情報をすぐ忘れる
  • 都度明確な指示が必要
  • リポジトリ内のナレッジ蓄積効果は限定的

参考記事
Claude Codeの「すぐルール忘れる問題」を解決する超効果的な方法を見つけた気がする
Claude Codeの「すぐルール忘れる問題」をHooksで解決する

既存コードへの影響

  • 既存コードとのスタイルの不一致
  • フリーハンドでの修正は既存コードを破壊するリスクがある
  • TDD(テスト駆動開発)で品質を担保することが重要

コード品質の監視必要性

  • 高品質なコードを生成するには人間の監視が不可欠
  • バックグラウンド知識の共有が困難
  • プロダクトレベルのコードの維持は逆に時間がかかる

参考記事
AIでコーディングはどのくらい高速化できる?→実際は遅くなっていた 米国チームが実験 原因5つを特定

大規模開発での制約

  • コンテキストに収まらない大規模開発には向かない
  • 複数ファイルにまたがる処理が比較的苦手
  • 明確なファイル指定が必要

UI開発の限界

  • 画面確認手段の不足により、UI関連は不得意
  • Playwright でブラウザを使用すれば一部確認可能
  • マルチモーダル対応でも視覚的な問題に気づきにくい
  • 明らかに不適切な画像でも間違いと認識できない
  • CSS のスタイルが正常に適用できているか認識できない

設計の重要性

  • 適切な設計図なしでは意図と異なるコードが生成されやすい
  • 詳細設計まで作成するなら自分で実装した方が早い場合もある
  • TDDが効果的なアプローチ
  • UI を作成するときはデザインルールを定めておく必要がある

参考記事
【コピペOK】個人開発でApple風デザインルールを作ったら統一感のあるカッコいいUIにできた話

失敗ループのリスク

  • 自律モードやMAXモードでの無駄な処理繰り返し
  • 新規技術や困難な問題では解決困難

情報の鮮度問題

  • 学習データが古い場合が多い
  • Context7 や MSDocs 等の MCP の活用で最新情報を補完する必要

モデル切り替えの不安定性

  • モデルによって理解力やコーディングスタイルが変化
  • 自動選択では突然性能が低下することがある
  • コンテキスト理解の突然の消失

学習コストの存在

  • ツールが多く、覚えることも多い
  • プロンプトエンジニアリングのスキルが求められる
  • AIコーディングには独特のコツが必要

セキュリティとプライバシーの懸念

  • 機密情報やソースコードの漏洩リスク
  • 企業のコンプライアンス要件との整合性
  • 適切なデータ管理とアクセス制御の必要性

参考記事
「Devin/Cursor/Cline全社導入 セキュリティリスクにどう対策した?」に参加した

実際の開発実績

実際にバイブコーディングで開発したソフトウェアは以下の2本になります。
Windows 11、Visual Studio、VSCode で開発しています。

Scoop で、Windows でも Linux のコマンドを使えるようにしておくと便利です。
Node.js と Python は MCP で使用するので、開発しなくても入れておきます。

VoicevoxRunCached

VoicevoxRunCached

使用AI

  • ChatGPT o3: 要件定義
  • Claude Code Pro: コーディング、README など

技術スタック

  • C# 13
  • .NET 9
  • ConsoleApp

概要
Windows で VOICEVOX を簡単に呼び出すための中継コマンドです。
キャッシュ機能を持たせ、一度生成したボイスは即時再生できます。
生成に時間がかかる場合はフィラーを挿入し、自然な発話を再現します。

開発期間

  • 1日目:要件定義、アプリ作成
  • 2日目:リポジトリ整備
  • 3日目:フィラー機能追加
    毎日1セッションのリミットギリギリまで使いました。

アロエ健康記録ログ

アロエ健康記録ログ

使用AI

  • ChatGPT o3: 要件定義、TIPSの調査
  • Cursor Pro: コーディング、他すべて

技術スタック

  • React
  • TypeScript
  • Vite, Vitest
  • Tailwind CSS(v4)
  • PWA

概要
特定保健指導に対応した健康記録アプリです。
サーバー不要で、ブラウザだけで動きます。
毎日の体重、血圧などを記録し、グラフ化できます。
特定保健指導で聞かれる日課を記録でき、達成割合を表示できます。

開発期間

  • プロトタイプは1週間程度で完成
  • その後、様々な実験を実施

開発時に意識したポイント

AI の苦手な領域を任せない
AI が現時点で知らないことや苦手な分野を無理にやらせようとしても、その後の修正に大きなコストがかかります。
人間の場合は、苦手だったとしても自己学習して改善していきますが、AI の場合はそれがなく、時間が無駄になります。
コンテキストが理解できなくなって、修正→破綻→修正→破綻の無限ループに陥ることがあります。
画面側やデバイスの処理で見つかった不具合を直させようとしても指示が難しく直らないことが多いです。

コード規約なし
ビルドエラーになるような強制的な規則を入れても、AI はエラー発生を見て都度修正することになります。
コンテキストと時間の無駄になるので、美しいコードを書かせるのは諦めて、後でフォーマッターにかけるのがよいでしょう。
Context7、MSDocsなどの MCP を使って後から最新の情報を適用するのが効果的です。

細部レビューなし
動けば OK の精神で、開発速度を最大化します。
細かいコードを見ていくと、全部直したくなるので諦めて、動けばよしとします。

ツールを活用する
AI の苦手なことを無理にさせず、ツールによって解決します。
dotnet format や各種 Linter など、外部ツールを活用します。
プロンプトによる指示や、Claude Code Hooks/Git Hooks 機能で自動使用させるとよいでしょう。

事前に設計を作成する
自律開発させるためには、あらかじめ設計をしておくことが大切です。
設計を起こすのは AI の得意分野なので有効に活用できます。
デザインを後から統一するのは大変です。
デザインのルールも先に作っておくと一貫性のあるものにしやすいです。

バージョン管理の重要性
AIにコードを書かせるとき、どの段階で壊れるかわからないのでバージョン管理は必須です。
どうしようもなくなったときは、巻き戻して適切なプロンプトを与えた方がうまくいく傾向があります。

使用したツール

業務で使用する場合はプライバシーモードがあるものや安全なAPIプロバイダーを選びましょう。
従量課金でない場合はリミットがあるので、業務時間でフルに使用する場合は上位プランの検討をお勧めします。

OpenAI ChatGPT Pro(ブラウザ)

Pro は月額3000円程度です。
Free では使用できるモデルが制限されます。

Claude Code や Cursor の節約のために、要件定義、デバッグ目的で使用します。
体感ですが、他のAIよりも複雑な問題を解決できる割合が高いです。
(ChatGPT o3、Claude 4 Sonnet、Gemini 2.5 Pro あたりと比較)

チャット主体の使い方であれば、Claude や Gemini でもよいでしょう。
検索主体なら Perplexity が優れています。
正確さが重要な場合は NotebookLM が優秀です。

エージェントは GitHub 連携で Codex が使用できます。

参考記事
OpenAI Codexが開く新しい開発体験 — ウェブの風に吹かれても (2025年05月17日)

Claude Code Pro(CLI)

Pro は月額3000円程度です。

自律的なコーディング能力に優れています。
ある程度曖昧な指示でも自分で計画を立てて柔軟に実行できるのが強みです。
体感ですが、成果物は Cursor より一貫性があり、完成度が高いです。

当初は Linux(WSL2) でしか動作しませんでしたが、Windows ネイティブでも動作するようになりました。
Scoop などでよく使われるコマンドを入れておくとストレスが減ります。
プロンプトキャッシュ機能があって API の使用料を節約できるのが便利です。

現在最も人気があるのは Claude Code と思われます。

参考記事
【2025年07月版】AI 開発者向け Claude Code リンク集

Cursor Pro(VSCode カスタム)

Pro は月額3000円程度です。
プラン改定中でしたが、Pro だと1か月で10万行は編集できました。
使い方を工夫すれば無料だけでも十分使える印象です。

モデル指定だと月額内の使用リミットがあり、Auto モードだとリミットなしです。
Auto はどのモデルが使用されるかわからず、モデルによってコードの癖も変わります。
またモデルが切り替わったタイミングでコンテキストが乱れて使い物にならなくなることが多いです。
Cursor だけの現象ではありませんが、Cursor はバグってループする頻度が高いです。
コンテキストが長くなった場合や、難しい問題を解決させようとしたときにバグりやすいです。

5-6月頃にプラン変更があり、炎上しました。
以前(5月頃)は MAX モードにすると Claude Code くらいには自律的に書いてくれました。
現在(7月)は MAX モードを使用しなくても自律的に書いてくれるようになって Claude Code に似てきました。
MAX モードは従量課金になったので、それ以降は試していませんし、使用しなくても十分な印象です。

タブ補完で複数行一気に変更できたり、AIとマンツーマンで開発するのに向いており、自律性もあるので万能向きです。
コミットメッセージの自動生成も便利ですが、細かい制御ができないので好みは分かれます。

参考記事
【実体験】Cursor で開発時間50%短縮!マルチファイル編集の革命を3週間検証した結果

その他に使用・調査したツール

Gemini CLI Free(CLI)

Gemini CLI の無料枠はプレビュー期間のみです。
無料で試しやすいのは、Gemini CLI と Cursor、あとは OpenRouter の無料クレジットくらいでしょうか。

Gemini CLI は 2.5 Pro であればそこそこのコードを出力してくれました。
無料だとすぐに Flash に切り替わって、コーディングでは使い物にならない印象です。

Gemini は Web(React)系に強い印象です。

Web検索に強いのでドキュメント向きでしょうか。コンテキストウィンドウが広いのは強みです。

参考記事
Gemini CLIの"強み"を知る! Gemini CLIとClaude Codeを比較してみた

Cline(VSCode 拡張)

API による従量課金です。
コードプロバイダーとして API ではなく Claude Code と Gemini CLI を使用できます。

毎回確認しながら実行させるというコンセプトのようです。

Roo Code(旧名 Roo Cline)

API による従量課金です。

Cline より自律的に記述してくれます。
タスク分割機能に優れています。

参考記事
Roo Code(旧Roo Cline)を使ってみた

Kilo Code(Roo Code 派生)

API による従量課金です。

Cline と RooCode の良いところを組み合わせたエディタです。

AWS が Kiro を出したので紛らわしくなりました。

Windsurf(VSCode カスタム)

OpenAI が買収しようとして話題になりましたが、Google が引き抜きを行い買収を防ぎました。
その後は Devin に買収される話が持ち上がりました。

Devin(クラウド)

高額なプランしかありませんでしたが、従量課金プランが選択できるようになりました。

自律的なコーディングの先駆けです。

APIによる従量課金でよいなら、Claude Code や Cursor もエージェント機能があります。

OpenHands(旧名 Open Devin)(クラウド/セルフホスト)

API による従量課金です。

GitHub Copilot(GitHub 連携)

月額1500円なので、他に比べてリーズナブルです。

Roo Code などと組み合わせると軽いモデルですが API が使い放題になります。
ただし、軽いモデルの場合はコードの品質もそれなりです。

エージェントは GitHub 連携で使用できます。

参考記事
GitHub で自律的に動く Copilot Coding Agent を使い issue 対応(実装からPR作成まで)を丸投げしよう #意識低いAICodingチュートリアル #03

OpenRouter

API による従量課金です。
無料枠があります。

さまざまなモデルを使用できる API を提供します。
Cline、Roo Code、Kilo Code、OpenHands などと組み合わせて使用します。

MCP

AI が使用できるツールです。
与えすぎてもコンテキストを圧迫したり、適切に使用してくれないので厳選するのがよいでしょう。
なお、追加の仕方がわからなくても Claude Code などは、「Context7 を追加して」と依頼するだけで追加してくれました。

Context7

Context7 MCP

AI に最新のドキュメントを提供できます。
Web を検索してもらうより効率的で確実です。
メジャーなものには対応しています。
React 系は更新が早いので必須と言えるでしょう。
.NET 9 / C# 13 を使用してもらう際に活躍します。

Microsoft Learn Docs MCP Server

Microsoft Learn Docs MCP Server

.NET 9 / C# 13 を使用してもらう際に活躍します。
開発以外にも Azure などを使用する際にも活躍します。

Sequential Thinking MCP Server

Sequential Thinking MCP Server

難しい問題でもステップバイステップで実行できます。
思考モデルでない API を使用するときに有効です。

Cursor で使用している MCP Server

Cursor の場合はMCPサーバーを使用できる上限が少ないので、より厳選が必要です。

Cursor
{
  "mcpServers": {
    "c7": {
      "command": "npx",
      "args": ["-y", "@upstash/context7-mcp"]
    },
    "playwright": {
      "command": "npx",
      "args": ["@playwright/mcp@latest"]
    },
    "msdocs": {
      "type": "http",
      "url": "https://learn.microsoft.com/api/mcp"
    },
    "fetch": {
      "command": "uvx",
      "args": ["mcp-server-fetch"]
    },
    "datetime": {
      "command": "uvx",
      "args": ["mcp-datetime"]
    },
    "sthink": {
      "command": "npx",
      "args": ["-y", "@modelcontextprotocol/server-sequential-thinking"]
    }
  }
}
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