はじめに

Webアプリケーションにおいて、$_GET や $_POST に格納されるリクエストデータは、すべて文字列になる。
たとえば、HTMLの form から送られてきた数値入力も、サーバー側では "123" という文字列として受け取られる。

ここでこんな疑問が湧いた。

「文字列以外のデータで、通信できないの？」

この問いを起点に、通信の本質や「テキスト形式」と「バイナリ形式」の違いを理解した。

テキスト形式とバイナリ形式のプロトコル

普段使う Web ブラウザは、HTTPというテキストベースのプロトコルを使って通信を行っている。
そのため、送信されるリクエストデータは、すべて文字列として扱われる。

一方、Webの世界には「バイナリ形式のプロトコル」も存在する。たとえば gRPC、MessagePack、Protocol Buffers などがそれに該当する。

では、ここで一度立ち止まり、通信の大前提を確認したい。

そう、インターネットを流れるすべてのデータは、最終的には0と1のビット列（バイナリ）に変換されて通信される。

たとえば文字列 "123" は、UTF-8 などの文字コードに従って、次のようなバイト列になる。

0x31 0x32 0x33  // "1", "2", "3"

たとえば以下のようなJSONデータを考えてみる。

{
  "id": 1,
  "name": "Taro"
}

これをテキスト形式で送る場合：

このように、構造そのもの（キー名や記号）まで文字列として送られるため、全体として冗長になってしまう。私達人間にとって理解しやすいというメリットがあるが。

一方で、バイナリ形式のプロトコルでは：

つまり、「構造」を表現するのにバイナリを節約できる。

たとえば "name": "Taro" は、次のようなバイナリ列になる。

12 04 54 61 72 6F

読みやすさを犠牲にすれば、データ量を小さくし、通信の効率を高めることができる。

「リクエストデータはすべて文字列になる」という既知の知識から、通信の本質がすべてバイナリであること、そしてテキスト形式とバイナリ形式の違いを理解した。
あたりまえに問いを立てることが新しい知識を得る機会になる。