C++で例外をcatchしないとどうなるか？実行時エラーとその対処法

✅発生したエラーとその意味

terminate called after throwing an instance of 'std::invalid_argument'
  what():  0より大きい数値を入力してください。
run: line 1:     3 Aborted                 (core dumped) LD_LIBRARY_PATH=/usr/local/gcc-9.2.0/lib64 ./a.out

• terminate called after throwing an instance of 'std::invalid_argument'

→ std::invalid_argument 型の例外が投げられた（throwされた）あとに、terminate() が呼ばれて異常終了したことを示している。

• what(): 0より大きい数値を入力してください。

  → throw 時に渡したメッセージ（what() の中身）が表示されている。

  つまり、例外オブジェクトがなぜエラーなのかを伝えてくれている部分。

• Aborted (core dumped)

  → 例外が捕まえられなかった（catchされなかった）ため、プログラムがクラッシュ（Abort）して、メモリダンプが出力されたことを示している。

⚠️ 原因

以下のコード内でthrowによって例外（std::invalid_argument）が投げられているが、main()関数内でtry-catchによる処理がされていなかったため、プログラムが例外未処理のまま異常終了した。

if (val <= 0) {
    throw std::invalid_argument("0より大きい数値を入力してください。");
}

🛠 解決策

• 大前提：例外を投げたら必ずどこかで受け取って処理すること。
• 例外が発生する可能性のある関数を呼び出す時は、try-catch文で囲んで例外を適切に処理すること。
• これにより、プログラムのクラッシュが防ぎ、ユーザーに適切なエラーメッセージを提示できる。
• また、what()を使えば、例外の詳細なメッセージを取得可能。

✅修正後のコード例

#include <iostream>
#include <string>
#include <stdexcept>

std::string convertVal (int val, std::string type) {
    std::string result;
    int divisor;

    // 例外処理
    if (val <= 0) {
        throw std::invalid_argument("0より大きい数値を入力してください。");
    }

    // 16進数に変換する場合
    if (type == "hex") {
        divisor = 16;
    // 2進数に変換する場合
    } else if (type == "bits") {
        divisor = 2;
    }   

    // 以下で余りを16進数や2進数に変換していく
    while (val > 0) {
        int remaind = val % divisor;

        if (type == "hex" && remaind >= 10) {
            int diff = remaind - 10;
            char hex = 'A';
            hex += diff;
            result = hex + result;
        } else {
            result = std::to_string(remaind) + result;
        }

        val /= divisor;
    }

    return result;
}

int main () {

    try {
        std::cout << convertVal(0, "bits") << std::endl;
    } catch (const std::invalid_argument& e) {
        std::cerr << "入力エラー" << e.what() << std::endl;
        return 1;
    }

    return 0;
}

💡補足

• catchではconst std::invalid_argument& eのように「const参照」で受け取ることで、無駄なコピーを避けつつ安全に例外メッセージを参照できる。
• そもそもエラーとは、プログラムが正常に動かない状況全般のこと。その中で、意図的に throw できて、try-catch で対応できるものを「例外」と呼ぶ。
• Pythonのようなインタプリタ言語は、例外を自動で発生させてくれる場面が多いが、C++のようなコンパイル言語では、開発者が自分で throw して例外処理を書く必要がある。
• 例外処理の目的は、プログラムのクラッシュを未然に防いだり、安全に終了したり、代替処理を入れたりするため。