はじめに
最近、Linuxの概念や仮想化技術について学ぶ中で、「Docker」に興味を持ちました。
最初は「Docker=仮想化ソフト」だと思っていたのですが、調べてみるとそれだけではなく、抽象的な説明が多くて、なかなかピンときませんでした。
さらに調べていくうちに、Dockerは長い技術の歴史の上に成り立っていることを知りました。
そこで、まずは背景となる「なぜDockerが必要とされるようになったのか?」を整理することから始めました。
1. 通常のサーバー環境(共有リソース)
普通、プロセス・ファイルシステム・ネットワークはOSの共有リソースとして、複数のアプリが使っている。
たとえば、AWSの1つのインスタンス上に php
、nginx
、mysql
を全部インストールすると、それぞれが同じOS環境を共有することになる。
このとき、例えば php
のバージョンを変更すると、それに依存している nginx
との連携がうまくいかなくなったり、他の構成に思わぬ影響が出る可能性がある。
こういった不具合は、すべてのアプリが同じリソース(プロセス空間、ファイル構成、ネットワーク)を共有していることが原因。
2. インスタンスを分けるという解決策
構成の衝突を避けたい場合、いっそのことインスタンスを分けるという方法がある。
例えば:
- EC2 A → nginx
- EC2 B → php
- EC2 C → mysql
この方法なら、各環境は完全に分離されるため、構成ミスや依存関係のトラブルは少なくなる。
しかしその一方で:
- インスタンス間の通信には、ポート開放やセキュリティ設定が必要
- IPアドレスやDNSの管理も増える
- 起動の順番、依存関係の制御も手動で行う必要がある
つまり、運用が複雑になってしまう。
3. Dockerを使った構成
そこで登場するのが Docker。
Docker を使えば、同じインスタンスの中に php
、nginx
、mysql
をそれぞれ独立したコンテナとして分けて動かすことができる。
コンテナは以下のような特徴を持ちます:
- 独立したプロセス空間・ファイルシステム・ネットワークを持つ
- 他のコンテナとリソースが干渉しない(バージョン衝突が起きない)
-
docker network
を使えば、同一ネットワーク内で簡単に通信できる -
docker-compose.yml
を使えば、依存関係や起動順も定義して一括起動できる
4. まとめ
構成方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
1台に全部入れる | 手軽に始められる | 構成衝突・再現性が低い |
インスタンス分割 | 環境の独立性が高い | 管理が煩雑・コストが高い |
Docker | 分離・連携・再現性のバランス◎ | Dockerの学習コスト(慣れが必要) |
Docker を使えば、バージョン管理も、起動順の制御も、再現性のある環境構築も、一気に解決できる。