疑問の発端
プロセス間通信を学んでいると、よく登場するパイプという概念。しかし、「パイプを使えば通信ができる」という認識はあっても、実際にファイルとの違いが気になり始めました。ファイルとパイプは一体どう違うのか?これを深掘ります。
ファイルとパイプの違いとは?
まず、ファイルとパイプにはアクセス方法の違いがあることがわかりました。
- ファイルは、データがディスクに保存されており、ランダムアクセスが可能です。つまり、どこからでもデータを読み書きできます。
- 一方、パイプは、カーネルが管理するリングバッファという一時的なメモリにデータを格納し、FIFO(先入れ先出し)順でデータを処理します。そのため、データは順番通りにやり取りされます。
なぜパイプは競合が発生しにくいのか?
次に、競合状態という問題について深掘ります。通常、複数のプロセスが同じリソースにアクセスすると競合状態が発生し、データが壊れたり、順番が狂ったりします。しかし、パイプはFIFO順でデータを管理しているため、最初に書き込まれたデータが最初に読み取られるという特徴があることがわかります。これにより、複数のプロセスが同時にデータを書き込んでも、書き込み順にデータが処理されるので、競合状態が起こりにくいのです。
パイプの高速性について
また、パイプはディスクに保存されません。つまり、ディスクI/Oを使わずにメモリ内でデータをやり取りするため、非常に高速です。
ファイルとパイプの永続性の違い
パイプは、データが一時的にやり取りされる通信手段であり、ディスクには保存されません。そのためプロセスが終了するとデータは消失します。一方で、ファイルはディスクに保存されるので、永続的にデータを保存し、プロセスが終了しても残り続けます。
結論
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ファイルはデータを保存するための手段であり、ランダムアクセスが可能で、永続的な保存が行えます。パイプは、プロセス間での一時的なデータのやり取りに特化しており、FIFO順でデータを管理し、ディスクI/Oが発生しないため高速です。
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パイプは、競合状態を避けながら高速な通信を実現するため、特にプロセス間通信に向いていることが理解できました。